【終戦76年】減り続ける8月15日の「戦争関連番組」 私たちは風化する記憶とどう向き合うべきか?

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【終戦76年】減り続ける8月15日の「戦争関連番組」 私たちは風化する記憶とどう向き合うべきか?

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県庁坂のぼる

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終戦記念日がやってきました。今年も例年同様、関連番組が放送されますが、戦争の記憶は日増しに遠いものとなっていきます。そんなときこそ改めて番組を通して、戦争の悲惨さを感じてみてはいかがでしょうか。

戦争関連番組が減っている

 2021年8月15日(日)、日本は敗戦から76年目を迎えました。平成生まれだけでなく、21世紀生まれの若者が世の中に出てくるようになった今、戦争の記憶も大きく変化しています。

 筆者が小学生の頃、祖父母に戦争体験を聞いてくる宿題がありましたが、今ではどうなのでしょうか。テレビ番組も8月15日は日中、追悼番組を放映し、夕方以降は懐メロ、あるいは戦争映画など、さまざまな形で「今年も8月15日がやってきた」と感慨深くなりました。

太平洋戦争のイメージ(画像:エーアンドイーネットワークスジャパン)



 しかし現在、テレビ番組表を見ると戦争関連番組が減少している印象は否めません。民放ではTBSが15時30分から「戦後76年「つなぐ、つながる」SP へいわとせんそう~戦場からのメッセージ~」を放映。

 日本テレビでは24時55分からドキュメンタリー「メアリーが伝えるヒロシマ」を、テレビ朝日は13時55分から「ラストメッセージ“不死身の特攻兵” 佐々木友次伍長」を放送します。

 民放よりも多くの時間を割いているのはNHKです。

 13日には終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」を放映していますが、15日11時50分からは例年通り「全国戦没者追悼式」を中継。21時からのNHKスペシャルは「開戦 太平洋戦争~日中米英 知られざる攻防~」、Eテレは9時から「無言館の扉 語り続ける戦没画学生」、20時からは「丸木位里・俊「沖縄戦の図」 戦争を描いてここまで来た・佐喜眞美術館」を放送します。

1993年時点で懸念されていた番組数

 戦争関連番組が減っている背景にあるのは、何といっても当事者の減少です。子どもの頃に空襲を体験した人ももう80代です。かつて、戦前からの流行歌を年代を追って紹介する、テレビ東京系列のスペシャル番組「昭和歌謡大全集」がありました。

 1992(平成4)年から2007年まで、年2回前後のペースで計29回放送されましたが、今思えばリアルタイムに「昭和の記憶が薄れていく」ことを感じさせる番組でした。

 当時は「懐メロ」というと、この番組で流れていたような昭和の歌を指しましたが、今では1990年代でも「懐メロ」として扱われます。戦争の記憶が薄れるのは当然でしょう。

 メディア、とりわけ地上波テレビ局から戦争関連番組が減少したのは、今に始まったことではありません。

広島平和公園(画像:写真AC)



「朝日新聞」1993年7月31日付夕刊では、各局が放送する戦争関連番組の減少を報じています。記事によれば、この年のNHKを除いた民放各局の放送動向は次のようになっています。

●フジテレビ
ドラマ:収容所(ラーゲリ)から来た遺書
ドキュメンタリー:45年目の自衛隊、被爆資料のメッセージ

●テレビ朝日
ドラマ:橋田寿賀子スペシャル 失われたとき~女たちの太平洋戦争2」
ほか:「テレメンタリー」枠で戦争をテーマにする予定

●日本テレビ
特別番組なし「ドキュメント93」枠で戦争や核を3回にわたって特集

●TBS
特別番組なし「THE・プレゼンター」枠で戦争花嫁を特集

●テレビ東京
特別番組なし「ドキュメンタリー人間劇場」枠で特攻隊を特集

 これで少ない印象なのですから、今年は戦争関連番組はほとんどないといっても過言ではありません。

戦争は「天災」ではない

 ちなみにこの頃は、終戦記念日前後に戦争映画のテレビ放映がたびたび行われていただけでなく、「連合艦隊」などの太平洋戦争に関する作品のほか、日露戦争がテーマの「日本海大海戦」まで放映されていました。

「少ない」と書かれた1993年以前のデータをみてみると、確かに各局競って制作されている年があります。例えば昭和の終わった1989年夏は、ドラマだけで次のようなラインアップになっています。

NHK:失われし時を求めて

日本テレビ:リトルボーイ・リトルガール、凍れる瞳、故郷

TBS:翔べ!千羽鶴

テレビ朝日:ボクらの疎開戦争!

 このうち「故郷」「翔べ!千羽鶴」「ボクらの疎開戦争!」の3本は15日の同じ時間帯での放送です。「故郷」は脚本が市川森一、「翔べ!千羽鶴」は監督が舛田利雄、「ボクらの疎開戦争!」は主演が武田鉄矢と財津一郎と、かなり力の入った作品となっています。

 しかし近年は「事情をわかっている人が、わかっている人に向けて制作している」感は否めません。

東京の風景(画像:写真AC)



 以前、小学校の道徳教育に関して取材した際に、現場の教員から戦争を小学生に教えることが困難になっていると聞いたことがあります。ともすれば子どもは戦争を「天災と同一に捉えてしまう」ので、それをどう違うかをわかるように説明するのが大変とのことでした。

 1945年8月15日、東京は快晴でした。戦争が終わったことを知った当時の人たちは、虚脱感や開放感がないまぜになった気持ちを、自らのなかでどのように消化したのでしょうか。

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