地元ポッキー首都圏版「ポッキー東京あまざけ」から発信、「東京もの」酒造りと日本文化
2019年2月21日
知る!TOKYO江崎グリコのご当地特産品を使用した「地元ポッキー」シリーズに首都圏限定版が登場しました。東京港醸造(東京都港区)の甘酒と酒粕を使った「ポッキー東京あまざけ」です。なぜ東京産「甘酒」が起用されたのかを探ってみると、その先に日本文化の発信と東京ものにこだわった酒造りがありました。
地元ポッキー首都圏版のコラボは、4階建ビルで酒を造る酒蔵
江崎グリコによるご当地特産品を使用した「地元ポッキー」シリーズとして、首都圏限定発売の「ポッキー東京あまざけ」が2月5日より販売開始されました。

これまでの商品ラインナップは、北海道は夕張メロン、東北地区は山形のさくらんぼなど、その地を代表する特産品が起用されています。首都圏版はなぜ「甘酒」という全国どこにでもあるものだったのでしょうか。

江崎グリコに理由を聞いたところ、「ひとつには、東京の酒蔵のものであり、米に至るまで原料全てが東京産であることに着目しました」と話します。
使用されている甘酒は、東京23区唯一の酒蔵、「東京港醸造(とうきょうみなとじょうぞう)」で造られています。同酒造は2011(平成23)年創業のため、知らない人も多いかもしれません。港区という大都会の中心部に位置する、地上4階建てのビルの中で、ほぼ手作業で酒造りを行っているという変わり種です。

同社の前身は1812年に江戸で創業した酒蔵「若松屋」でした。当時の若松屋には奥座敷があり、直接東京湾に通じる水路があったことから、多くの幕末の志士たちの密談の場ともなったそうです。そんな幕末史を刻む酒蔵でしたが、後継者問題や酒税法の変更などの影響で、酒造業を1911(明治44)年に廃業。その後、食堂、雑貨屋と業態を転換して屋号を継続してきました。
その酒蔵復活に挑んだのは、屋号を継いだ雑貨屋7代目の齊藤俊一さんでした。齊藤さんは、店のある商店街が衰退の一途をたどることに不安を募らせるなかで、先祖が酒蔵をやっていた話を思い出したといいます。
東京のど真ん中の港区に酒蔵を復活させたら、東京タワーと相まって、観光客が来てにぎわうのではないか。そう考え、大手酒造会社で20年以上酒造りを経験してきた寺澤善実さんを口説き落とし、二人三脚で約7年がかりで2011(平成23)年に酒造を復活させました。
現在、敷地22坪のビル内で徹底した温度管理を行い、寺澤さんが杜氏を務めて一年を通して酒造りを行っています。つまり、オールシーズン、新酒を提供しているのです。上槽(もろみを搾る工程)以外は瓶詰めに至るまで全て手作業。原料は東京産にこだわり、酒用の水も東京の水道水です。

「東京の水道水を使用」と聞くと、あまりいいイメージがないかもしれません。しかし、酒造りが盛んな京都・伏見に本社がある大手酒造の醸造技術者だった寺澤さんは、「東京都の水道水(利根川・荒川水系)は中軟水で、伏見の地下水とよく似た酒造りに適した水です。酒の味や色を悪くする鉄やマンガンはまったく含まれず、湧き水などに比べて衛生面でも安全です」といいます。
江崎グリコが今回コラボしたのは、そんなユニークな東京ものの酒造りを行っている酒蔵なのです。
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