専門ライター直伝! 「散歩の習慣」がつかない人が今すべき必勝法とは

  • おでかけ
専門ライター直伝! 「散歩の習慣」がつかない人が今すべき必勝法とは

\ この記事を書いた人 /

増田剛己のプロフィール画像

増田剛己

散歩ライター

ライターページへ

外出がはばかれるコロナ禍でなまった体には散歩が打ってつけです。そんな散歩の楽しみ方について、散歩ライターの増田剛己さんがコツを伝授します。

糖尿病発覚で自転車断ちを決意

 健康のために歩かなきゃと思いながら、家でついゴロゴロしている人は少なくないでしょう。筆者(増田剛己、散歩ライター)もかつては自転車に乗っていて、歩かない日が続いていました。

 転機となったのは、2003(平成15)年に糖尿病と診断されてからでした。そのとき、医者から歩くことの大切さを教えられ、以来、歩くことを日課にしようと決めました。

 それでもスーパーマーケットに行くときは自転車を使っていたため、思い切って自転車を知り合いに譲りました。そして、外出するときはすべて徒歩という状況を作ったのです。

散歩のイメージ(画像:写真AC)



 その後、スーパーマーケットには歩いて行くようになりました。ただこのような目的のある場合はいいのですが、そうでない場合が結構多く大変でした。目的もなく家のまわりを歩いてみましたが、これが面白くないのです。

 当時、筆者が歩く時間はたいてい夜でした。コースをいろいろと変えてみましたが、15分も歩くと飽きてしまいます。これではまずいと思い、始めたのがポータブルCDプレーヤーで音楽を聴きながら歩くことです。

 これはうまくいきました。聞きたいCDを1枚選んで、聞きながら歩き始めます。1枚聞き終わるまでとにかく歩きます。ただ、しばらくしてこれは止めることに。夜、ヘッドホンで両耳をふさいで歩いていると、車にぶつかりそうになり危険だったからです。

ラジオ散歩を初めて規則正しい行動に

 ならば周囲の音が聞こえるように、イヤホンを片耳だけにして、音楽ではなく落語のCDを聞き始めました。これは結構続きました。落語に飽きたら、本の朗読CDを買いました。ちょうどこのころ、ポータブルCDプレーヤーからmp3プレーヤーが主流になったように感じます。

小型ラジオ。まだテレビの地上波がデジタル化していなかった頃、FMラジオでテレビの1~3チャンネルの音声が聞けた(画像:増田剛己)



 その後、小型ラジオを持ち歩くように。筆者は毎日19時にNHKのニュースを見ており、当時、テレビの1チャンネルと3チャンネルの音声をFMで聞けたため、歩きながらNHKニュースの音声だけを聞くことをやっていました。

 結果、歩く時間も固定されることになりました。とにかく19時になるとラジオを持って出掛けます。NHKの19時のニュースが終わったら、落語や本の朗読を聞きながら歩きました。雨の日には傘をさし、とにかく毎日、19時から20時過ぎまで歩いたのです。

 現在ならスマートフォンがあるので、簡単に同じことができますね。

電話は必ず歩きながら実施

 現在、仕事で電話を使うのは少なくなりましたが、筆者が散歩を始めた2003年頃は打ち合わせなどでまだ電話を使うことが多かったので、電話をかける際にも歩くことにしました。

 幹線道路や繁華街は雑音が多く会話しにくいので、住宅街など静かな場所を選んで歩いていました。打ち合わせだけでなく、電話取材をされるときも歩きながら答えていました。

 電話しながら歩くようになり、電話の要件などをメモするため、筆記用具と小さなノートを持ち歩くように。夜型だった生活はこのころから朝型に変わり、そこから飛躍的に散歩に出掛ける「口実」が増えてきました。

 例えば、街に建っている説明版などがあればメモしました。それらが溜まってくると、インターネットで検索して、自分なりの散歩コースを作って歩いてみました。

コンパクトデジタルカメラ(画像:増田剛己)

 小さなメモ帳以外に、必ず持っていたのがコンパクトデジタルカメラです。というのも、昼間の散歩に出掛けると、季節ごとに咲く花や植物など、撮影したくなるものがずいぶんあることに気が付いたからです。また各区の教育委員会が作った坂の説明版もデジタルカメラで撮影しました。

 そして撮った画像をブログで公開していたら、散歩や街歩きに関する原稿を依頼される機会が増えていったのです。

 散歩する様子をブログに書いていて、自分がすっかり散歩のエキスパートになったつもりでしたが、実際そうではありませんでした。散歩や街歩きの記事を書き始めてみると、まだまだ知らない「散歩の世界」があったのです。

歩くための口実は本当に無限大

 例えば、七福神巡りです。

 東京にはかなりの七福神があって、それらを紹介するだけでもいろいろな記事が書けました。七福神を巡るための厳格なルールは存在せず、自由に巡ることができます。普通にお参りをしながら歩いてもいいですし、台紙をもらって七か所の御朱印をもらいながら歩くこともできます。

筆者の七福神巡りの様子(画像:増田剛己)



 要は、スタンプラリー感覚で巡ることができるわけです。コースによってはミニ御本尊を買って船に乗せるタイプのものもありました。お正月などの限られた時期しか対応してくれないところもありますが、その多くは年中受け付けています。コースは1日で巡れるように設定されているので、歩くのにはちょうどいいかもしれません。

 散歩記事を書くようになってから、古地図を見ながらの散歩もずいぶんやりました。最初は古地図そのものを持ち歩いていましたが、最近はスマートフォンアプリで古地図を見ながら歩いています。

 落語や小説の舞台を歩くという散歩もずいぶんやりました。昔の人が歩いたコースをそのまま歩くのは独特のロマンがあります。というのも、時代は変われど、その道筋や距離は変わらないからです。

 例えば、若き日の坂本龍馬が江戸で剣術修行をするために道場に通ったという道筋を歩きました。そのときはまるでタイムスリップしたような感覚になって、とても楽しかったことを覚えています。

 そのほかにも、町中華を食べ歩いたり、ナポリタンを出すお店を探すべくいろいろな街を歩いたりしました。最初は料理しか興味がありませんでしたが、次第にお店の名前や外観などに興味がわき、昔ながらの飲食店の掲げるのれんの写真を撮って歩いたこともあります。

 こうして挙げるとキリがないのですが、散歩や街歩きの記事を書いたことでわかったのは、歩くための口実は本当に無限大だということです。

 ぜひ皆さんも、健康のためにもいろいろと散歩の口実を見つけて、外を歩いてみてはいかがでしょうか。

関連記事