本日公開『竜とそばかすの姫』の仮想世界はすでに現実? 大臣がアバターになっちゃった例も

2021年7月16日(金)に劇場公開された細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』。主人公の女子高生が仮想世界の中で歌姫として活躍するストーリーですが、そんな仮想空間の活用は、すでに現実世界の東京でも着々と現実のものとなっています。具体例を紹介します。

仮想空間で活躍する女子高生の物語

 夏休みシーズンは、毎年アニメ映画が盛り上がりを見せます。2021年夏の注目作品といえば、7月16日(金)に公開されたばかりの『竜とそばかすの姫』でしょう。

『時をかける少女』『サマーウォーズ』などで知られる細田守監督の最新作ということで、公開前から話題を呼んでいました。

細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』。ダイハツ工業の自動車「ムーブ」など、さまざまな企業とのコラボレーションも展開している(画像:(C)2021 スタジオ地図、ダイハツ工業)



 物語の主人公は、自然豊かな高知県の田舎に住む17歳の女子高校生すず。幼い頃に母を事故で亡くし、父とふたり暮らしをしています。母と一緒に歌うことが大好きだったすずは、母の死をきっかけに歌うことができなくなっていました。

 そんなすずはある日、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界「U(ユー)」の存在を知ります。「U」では自分自身の分身「As(アズ)」を作り、全く別の人生を生きることができるのです。

 すずは「ベル」と名付けたAsとして歌うことができるようになり、瞬く間に歌姫として世界中の人気者になっていきます。

 しかし彼女の前突然、「竜」とよばれる謎の存在が現れ……というストーリーです。

 本作の重要なポイントとなるのは、やはりネット上の仮想世界「U」。

 細田監督が2009(平成21)年に制作した映画『サマーウォーズ』でも、「OZ」という仮想世界が登場しましたが、本作の「U」が作中でどのように機能するのか楽しみです。

身近に進むバーチャルの世界

 ところでこの仮想空間について、皆さんはどのような印象を持っているでしょうか? アニメなどフィクションの中に登場するものというイメージを持っている人もまだまだ多いかもしれません。

 しかし実はそれだけではなく、現実世界をバーチャルに落とし込んだ施策がすでにいくつも展開されています。意外と身近なところで活用されているので、その例を見ていきましょう。

 架空の風景ではなく現実の風景そのものをデータ化し、バーチャル空間に再現する技術として「デジタルツイン」というものがあります。現実そっくりの世界をデジタル上に「ツイン(ふたご)」のように再現することを意味する言葉です。

 このデジタルツインの実現を目指して現在、東京都で進められているのが「東京都3Dビジュアライゼーション実証プロジェクト」です。

 都市空間をコンピュータ上で分析し、予測モデルを構築することで、街中の交通量データから混雑状況をシミュレーションするなど、より良い生活環境を築くことを掲げています。

 このプロジェクトの一環として、西新宿、渋谷、六本木エリアの3D都市モデルが作成されました。東京都がYouTubeで公開した動画では、混雑・オフィスの疎密・天気などの状況が可視化されています。

 なかでも面白いのは、道路のナビゲーション機能における「日陰ルート検索」です。

デジタルツインの街並みと日照データを組み合わせて「日陰ルート」を検索するシミュレーション(画像:東京都デジタルサービス局)



 通常ナビゲーションでは最短経路が表示されるものですが、時間とともに変化する日照状況をプラスすることで、日に当たる時間を最小限にしたルートを探し出してくれます。

 データの精度やプライバシー、知的財産権など、配慮すべき課題はあるものの、このようにより便利な生活をもたらしてくれる存在としての可能性を秘めているのが、デジタルツインだといえるでしょう。

バーチャルに可能性を見出す百貨店

 空間を再現するとともに、ユーザーがアバターを動かして楽しめる例もあります。

 2021年3月、三越伊勢丹ホールディングスは伊勢丹新宿本店をバーチャル・リアリティー(VR)で再現し、仮想空間での買い物を楽しめるサービスを開始しました。

VRの世界に広がる「仮想・伊勢丹新宿店」(画像:三越伊勢丹ホールディングス)



 専用アプリ内に新宿東口の街並みが再現され、そのなかに伊勢丹の店舗があります。仮想空間の技術で再現された店内を、ユーザーはアバターの姿で移動、販売員と会話も可能です。

 そして商品にはそれぞれECサイトリンクが張られており、気に入ったものがあれば各ECサイトから購入手続きする、という流れで買い物を楽しめます。

 このようにデジタル技術による集客に力を入れる背景には、やはり2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大があります。店舗での売り上げが減少するなかで、若い世代や地方在住の消費者を新たに呼び込むための狙いがあるのです。

 こうした試みが今後の購買行動にどのような変化をもたらしていくか、注目したい点です。

国も活用、ビジネス向け会議をアバターで?

 近年、東京都心を中心にリモートワークを始める人が増えました。同時に、ビデオ会議システムを日常的に活用するビジネスパーソンも格段に増えました。

 しかし、会議の形はまだまだ進化を遂げています。それをかなえてくれるのが仮想空間の技術です。

 VR事業などを展開するSynamon(品川区西五反田)は、「NEUTRANS(ニュートランス)」という独自のプラットフォームを開発し、それをビジネス向けに発展させたサービス「NEUTRANSBIZ(ニュートランスビズ)」を展開しています。

2021年5月、「NEUTRANS」を活用して行われた内閣官房・国際博覧会推進本部事務局の会議(画像:Synamon)



 NEUTRANSBIZは従来のビデオ会議と違い、VR空間で会議ができるサービス。ユーザーはVR用ヘッドセットを装着し、好みのアバターの姿でVR空間にある「会議室」に入ります。こうして集まった人たちで会議が行われるのです。

 画面に映るアバターは上半身と両手のみであるものの、身振り手振りや発言時の口の動きと連動します。これは現状多くのビデオ会議で指摘されるような、発言のタイミングが図りにくいなどのストレスを軽減してくれます。

 このように複数人で集まる機会にこそ、バーチャル空間は有効に機能すると言えそうです。

もはやアニメの世界だけのものではない

 こうして見ると、仮想空間はもはやアニメやフィクションの中だけの話として捉えることはできません。生活やビジネスの現場など、仮想空間はすでに身近なところで活用されるようになってきています。

 今はまだ目新しい感覚がありますが、やがてこれが当たり前の時代が到来するかもしれません。だとすれば今は、時代の移り変わりを迎えるまさに歴史的な「過渡期」と言えるのかもしれません。

【画像ギャラリー】アバターになってしまった大臣、いったい誰?

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