八王子・立川より地味でも魅力満載 新撰組のふるさと「日野市」を巡る【連載】多摩は今(7)

八王子市と立川市の陰に隠れて、いまいち地味な印象のある日野市。しかしそんな同市には魅力がたくさんあるのです。まち探訪家の鳴海侑さんが解説します。


地味だが多様でユニークなまち

 立川市と八王子市の2市は「多摩の中心」と呼ばれています。立川市は行政機関や大型商業施設が中心市街地近辺に多く、対して八王子市は古くから交通の要衝として知られ、人口が多いのが特徴。この2市はJR中央線で10分ほどで結ばれています。そして2市の間に位置する自治体が日野市です。

日野市(画像:(C)Google)



 日野市の人口は約18万7000人(2021年5月1日現在)。人口では立川市(約18万5000人〈2021年5月1日現在〉)とほぼ同じ。隣接する2市が注目されることが多いため、日野市は人口規模の割に注目される機会が少ないのが実情です。

 しかし市内の今を見ていくと、実に多様でユニークなまちであることがうかがえます。

「新撰組のふるさと」をアピール

 日野市は北端には多摩川、南端には多摩丘陵の尾根が通り、中央部に多摩川の大きな支流のひとつである浅川が流れています。昭和の大合併前は北が日野町、南が七生村と別の自治体で、そのほとんどが浅川を境としていました。

 そこで今回は浅川を境に北と南に分けて、今の様子を見ていきます。

 まずは浅川の北側を見ていくと、都心から伸びてくる鉄道路線としてJR中央線が通っています。JR中央線の日野市内には日野駅と豊田駅の2駅があります。

 新宿側にある日野駅は台地のへりにある駅で、駅の東は江戸時代に甲州街道の日野宿があったエリアです。日野宿は東京都内にある甲州街道の宿場では唯一、本陣(日野市日野本町)が現在も残っており、入場料を払って見学することも可能です。

日野市日野本町にある日野宿本陣(画像:(C)Google)

 日野宿の本陣近くには、江戸末期に古武道の一派である「天然理心流」の道場がありました。ここで剣術を学んでいたのが土方歳三や井上源三郎といった、のちに新撰組の中核メンバーとなる人物です。彼らが日野出身であったことから日野市は「新撰組のふるさと」としてシティープロモーションを行っています。

日野といえば日野自動車

 日野駅から都道256号(旧国道20号)に沿って坂を登ると台地になっており、ここには昭和初期に工場が立地していきました。

 なかでも有名なのは日野自動車(日野市日野台)です。日野自動車の社名はまさしく地名の「日野」からとられており、現在も国内のトラックやバス製造企業としては最大手です。日野自動車のほかにもコニカミノルタや富士電機などの工場が立地し、「日野5社」と呼ばれました。

日野市日野台にある日野自動車本社(画像:(C)Google)



 日野市内北部を走るJR中央線のもうひとつの駅、豊田駅はJR中央線の車庫のひとつ、JR豊田電車区の最寄り駅で、豊田駅を始終点とする電車も多く運行されます。駅は日野駅と同じく台地のへりにあり、駅の北側が丘の上、駅の南側が丘の下になっています。

2014年にはイオンモールも開業

 駅の北側に飲食店やビルが立ち並び、そのさらに北には大型商業施設のイオンモール多摩平の森(同市多摩平)があります。多摩地域に四つあるイオンモールのうちのひとつで、2014年に開業しました。

 イオンモールらしいテナント群ですが、駅近くの立地であることから駐車場は小さく、敷地も四角いことから、イオンモール特有の長い通りはなく、コンパクトにまとまっている印象も受けます。

イオンモール多摩平の森のある多摩平地区とその地形(画像:国土地理院)

 もともとは都市再生機構(UR)の多摩平団地の一部でしたが、立て替えにより団地が高層棟になり、空いた土地にイオンモールが開業しました。イオンモールのほかにも、民間分譲マンションや図書館が新たに多摩平地区に作られています。再開発事業が行われたといっても、自然環境を大切にしており、多摩平地区を歩いていると緑を多く目にできます。

使い勝手のよい高速バス停も

 日野市北側は都心からのアクセスルートとして、JR中央線のほか、日野駅と豊田駅の間を抜ける国道20号線(日野バイパス)と中央自動車道も通っています。

 市内にインターチェンジはありませんが、高速バスの「中央道日野バス停」があります。このバス停につながる側道には日野市のコミュニティーバスのバス停があり、1時間に1~2本、日野駅や高幡不動駅にアクセスすることのできるバスがやってきます。

中央道日野バス停(画像:(C)Google)

 また日野市東部を南北に走る多摩都市モノレールの甲州街道駅も中央道日野バス停から徒歩7分の位置にあり、多摩エリアから中央道を走る山梨県や長野県などに向かう高速バスに乗るためには使い勝手のよいバス停です。

南側には関東三大不動が鎮座

 今度は浅川を挟んで日野市の南側を見ていきましょう。

 先述した通り、高度経済成長期前の「昭和の大合併」までは七生村(ななおむら)という違う自治体で、そのためにJR中央線沿線とはまた違った雰囲気があります。具体的には北部が早くから工業地帯であったのに対して、高度経済成長期までは農村地域であったため、どことなくのどかな雰囲気です。

 こちらには都心からのアクセスルートとして京王線が通り、市内には4駅があります。なかでも高幡不動駅は駅に隣接して車庫があるほか、同じ京王電鉄の動物園線や日野市東部を南北に貫く多摩都市モノレールと接続しており、日野市南部の中心となっています。

日野市高幡にある高幡不動尊金剛寺(画像:写真AC)

 駅名の由来となったのは駅から歩いてすぐの所にある高幡不動尊金剛寺(日野市高幡)です。関東三大不動のひとつで、重要文化財の仁王門や不動堂、高さ約40mの五重塔などさまざまな建造物があり、見ていて飽きません。また、境内には丘があり、丘の中には四国八十八カ所巡礼を模した参拝コースが作られています。

子どもに人気の行楽施設もいっぱい

 高幡不動から南に行くと多摩丘陵を生かした住宅地や行楽施設があります。中でも多摩動物公園駅周辺は

・多摩動物公園
・京王れーるランド
・京王あそびの森 HUGHUG(以上、日野市程久保)

から構成される一大お出掛けスポットとなっています。

 まず駅名ともなっている多摩動物公園は、広い敷地を生かして放養形式で展示をしており、なるべく群れで飼育されています。飼育されている動物はコアラやライオンをはじめ300種類で、中にはタスマニアデビルやユキヒョウといった珍しい動物もいます。また昆虫館も充実しています。

日野市程久保にある多摩動物公園(画像:写真AC)



 京王動物園線の多摩動物公園駅を出て正面にあるのは京王れーるランドで、ジオラマやミニ電車のほか、鉄道ファンの間では名車として知られる「5000系」をはじめとした京王電鉄の車両が実車展示されているコーナーや運転シミュレーターもあり、子どもから大人まで楽しめます。

 京王あそびの森 HUGHUGはリニューアル前の京王れーるランドがあった場所に作られた子ども向けの遊具施設。国内最大級のネット遊具をはじめ、「木育・体育・知育」をコンセプトにしたさまざまな遊具が置かれており、雨の日でも子どもたちがめいっぱい身体を動かして遊ぶことができます。

 ここまでざっと日野市の特徴をご紹介してきました。どうしても同じJR中央線沿線では隣接する八王子や立川に話題や足が向きがちではありますが、歴史や工業、行楽施設が充実している日野市もぜひ注目してみてください。


【古地図】明治初期の日野市

画像ギャラリー

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