郊外の隠れた名路線 「多摩モノレール」はなぜ“アニメ作品”にたびたび登場するのか?

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郊外の隠れた名路線 「多摩モノレール」はなぜ“アニメ作品”にたびたび登場するのか?

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上北台駅(東大和市上北台)と多摩センター駅(多摩市落合)を結ぶ多摩都市モノレール。実はアニメ作品にもたびたび描かれていることで多くのファンを引き付けています。多摩モノレールとアニメ作品が好相性な理由とは?

多摩モノレールとアニメ作品との親和性

「多摩都市モノレール」は、跨座型(こざがた)と呼ばれる車体の重心が走行軌道の上にある形のモノレールです。

アニメにもたびたび登場する多摩モノレール(画像:写真AC)



 1本の走行軌道に車両がまたがって走行する方式で、上北台駅(東大和市上北台)と多摩センター駅(多摩市落合)を結んでいます。

 2000(平成12)年1月10日に現在の全区間が完成し、多摩地区の交通利便性の向上と近隣との交流に大きく寄与している交通機関です。

 また、交通インフラというだけでなく、沿線情報誌「たまモノ」の発行や各種グッズの販売、車両基地ツアーといったイベントなど、親しみやすい取り組みが多いことも多摩モノレールの魅力のひとつです。

 そんな多摩モノレールですが、多くのアニメ作品に登場することで認知度も高くなっています。作品名をいくつか挙げてみましょう。

・魔法少女まどか☆マギカ
・とある科学の超電磁砲(レールガン)
・とある魔術の禁書目録(インデックス)
・パパのいうことを聞きなさい!

 なぜ、多摩都市モノレールは多くのアニメ作品に出てくるのでしょうか?

 理由は大きくふたつ考えられます。

アニメに登場しやすい理由ふたつ

 ひとつは、遮蔽物(しゃへいぶつ)の少ないモノレールや駅周辺が“絵になる”という点です。

 登場するアニメ作品では『とある科学の超電磁砲』や『とある魔術の禁書目録』のように、オープニングに登場するものも多く、さらにはそのほとんどが下から見上げた駅や車両を描いています。高台を走り、高台に駅のあるモノレールの特徴を生かした構図で描かれています。

 特に多摩モノレールは、都心部でないこともあって自然が豊かな地域や親しみを感じる住宅街・店舗が眼下に多く見られるという点で、駅からの景色や駅を見上げる景色をを描くのに都合が良いと考えられます。

住宅街を見下ろす多摩モノレール(画像:写真AC)



 もうひとつは、学園都市のモデルにしやすいという点です。

 多摩モノレールの駅には「中央大学・明星大学駅」と「大塚・帝京大学駅」という大学名を冠した駅名がふたつあり、いずれも駅名の通り大学の近くに駅が作られていて、周辺は学生街となっています。

 これらの大学の周辺は、大小さまざまな公園や川といった自然が多く、飲み屋街などとは違った、別の意味の“にぎやかさ”を見ることができます。

 これらの理由から、学校を舞台にした作品のモデルにしやすいと考えられます。

 では、自然豊かな景色を魅力に持ちアニメにもたびたび登場する多摩モノレールの周辺には、どのような名所があるのでしょうか。

 今回は、五つの名所をご紹介します。

1. 国営昭和記念公園(立川北駅)

 立川北駅から徒歩約8分の場所にあり、公園の入り口からは駅もしっかりと見える、米軍立川基地の跡地に作られた「国営昭和記念公園」(立川市緑町)。

国営昭和記念公園(画像:写真AC)



 広大な敷地の中は、森のゾーン・広場ゾーン・水のゾーン・展示施設ゾーン・みどりの文化ゾーンと区分けされています。公園内の木々や草花はもちろん、季節によって花火やイルミネーションを楽しめるスポットになっています。

 とにかく広いことが特徴の公園ですが、約2000台のレンタルサイクルが準備されているので、無理なく快適に散策することができます。休日の気分転換に、こちらの公園でリフレッシュしてみるのはいかがでしょうか。

2. 土方歳三資料館(万願寺駅)

 万願寺駅から徒歩約2分の場所にある、新選組副長の土方歳三の子孫が開いている「土方歳三資料館」(日野市石田)。

 各種の書簡や実際に身に着けていた鎖帷子(くさりかたびら)をはじめ、日付は限定されていますが愛刀である「和泉守兼定」といった、ゆかりの品々が多数展示されています。

 同じく万願寺駅の周囲には、生家の跡地である とうかん森や墓所である石田寺もあるので、ひとつの駅の周辺だけで土方歳三の聖地巡礼をすることができます。歴史好きの方にはおすすめのスポットです。

3. 大塚神明社の大イチョウ(大塚・帝京大学駅)

 大塚・帝京大学駅から徒歩10分ほどの場所にあり、モノレールに乗っていても見ることのできる、樹齢約500年の大イチョウ(八王子市鹿島)を、間近で見ることができます。

 周囲は学生街ということもあり、高層ビルやマンションは少なめ。

 その代わりに複数の公園が近くにあることや、駅近くには大栗川が流れていることから、自然豊かな住宅街という雰囲気を味わうことができるので、周辺を散策するだけでも気分転換になります。

4. 高幡不動尊 金剛寺(高幡不動駅)

 高幡不動駅から徒歩5分の場所にある「高幡不動尊 金剛寺」(日野市高幡)。

高幡不動尊 金剛寺(画像:写真AC)



 関東三大不動のひとつに数えられ、新選組副長である土方歳三の菩提寺としても知られており、ゆかりの品々や資料の展示もされています。

 また、境内には重要文化財でもある仁王門や不動堂をはじめ、多くのお堂を見ることができ、その周りも木々や草花が見られます。

 年間通して行事も豊富で、あじさいまつり・菊まつり・もみじまつりといった、季節を感じることのできる行事も楽しめます。

5. 多摩湖(上北台駅)

 多摩モノレールの北の終着駅である、上北台駅近くにある「多摩湖」(東大和市)は、駅からちょこバスという同市のコミュニティーバスと徒歩で20分ほどと、やや離れた位置になりますが、「新東京百景」にも数えられ、桜と紅葉の名所としても知られています。

多摩湖(画像:写真AC)



 貯水池としての側面もあり、ネオルネッサンス様式で「都選定歴史的建造物」にも選ばれています。レンガ造りで、円筒型の胴体とドーム型の屋根が特徴という第1取水塔と周囲の豊かな自然との対比はとても絵になります。

 バードウォッチングのスポットとしても知られているので、景色と野鳥を見ながら癒されてみてはいかがでしょうか。

沿線には自然豊かなスポットがたくさん

 このように、沿線の各種名所を見ても、多摩モノレール周辺には多くの自然があふれていることがお分かりいただけると思います。

 また、このほかにも多摩動物公園(多摩動物公園駅)やサンリオピューロランド(多摩センター駅)といった、家族連れで遊べる施設もあるので、世代を問わずに楽しめるのも多摩モノレールの魅力です。

 東京都内でありながらも自然豊かな景色を見られる多摩モノレールに乗って、アニメの聖地巡礼と合わせて自然の美しさを味わってみてはいかがでしょうか。

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