義両親の介護をひとりで……手伝わない夫を責める前に、まず妻がすべきこと【東京女子お悩み相談】

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義両親の介護をひとりで……手伝わない夫を責める前に、まず妻がすべきこと【東京女子お悩み相談】

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秋カヲリ

ライター、心理カウンセラー

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東京で働く女性たちは、日々どんな悩みを感じているのでしょうか。今回は、平日は仕事、週末は義両親に介護に奔走するY美さん(35歳)の話です。

杉並区に住むY美さん(35歳)の場合

「義父母の介護がしんどいです。同居はしていませんが、近所に住んでいるためちょっとした買い物や料理などを頼まれ、土日は介護で終わってしまいます。子どもは小学生で、土日は夫が家で面倒を見ている状態。老人ホームに入るほどの介護レベルではなく、これがずっと続くのかと思うと気が遠くなります」

 そう言ってため息を漏らすのは、杉並区在住のY美さん(35歳)。小学生の男の子を育てており、平日はオフィスで時短勤務をしています。毎週土曜日に義父母宅へ行き、お風呂場の掃除や、食事の作り置き、食材の買い出しなどをしているといいます。

義両親の介護に疲れを感じているY美さん。夫は何をしているのかというと……(画像:写真AC)



「もともと土曜日だけという話だったのですが、義父母だけでは手が回らないことが多く、結局日曜日も向こうの家に行って買い出しや掃除を手伝っています。平日は働いているので、毎日働き通しの感覚で、体も心も休まりません」

 Y美さんの夫は何をしているのかというと、子どもの面倒を見ながら家の掃除や買い出しをしてくれているため、責める気にはなれないそうです。

「本当は夫に義父母の面倒を見てほしいとも思うのですが、夫は作り置きするほど料理ができるわけではなく、かえって効率が悪いので私がやっています。気疲れするので、本当は夫に義父母宅に行ってほしいのですが……」

 さて、ここまでのY美さんの発言の中に、悩みの根っこになっている課題が隠れています。意外にも課題は義父母や夫ではなく、Y美さん自身にあるのです。それは一体何でしょうか?

状況改善に最も重要なこと

 みなさんお分かりかと思いますが、この悩みは「夫が義父母宅に行って介護する」ことで解決します。でもそれができていない原因は、Y美さん自身の考え方にあります。

「夫は作り置きするほど料理ができるわけではなく、かえって効率が悪いので私がやっています」

 この結果重視の考え方が、Y美さん自身の首を絞めています。

ひとりで抱え込んでしまうと、気づかぬうちに自分の首を絞めることにもつながる(画像:写真AC)



 結果重視の考え方だと短期的にしか物事を見られず、伸びしろが生まれません。長期的に物事を見れば、結果だけではなくプロセスを重視できるようになり、

「今は夫に作り置きのスキルがないけど、とりあえず教えながらやってもらって、夫が義父母宅で介護できるようにしよう」

と思えるはずです。

 Y美さんだって、もともと作り置きのスキルに長けていたわけではないでしょう。日々料理をするなかで培ったものであり、夫だって時間をかけて経験を積めば同様に作り置きなどの料理ができるようになります。

必要なノウハウを夫と共有する

 もちろん夫に丸投げするだけではうまくいかない可能性があるので、Y美さんは夫に簡単なレシピから教えたり、初心者向けの料理本を渡したりして、じっくりノウハウを共有していきましょう。

夫と一緒に作り置きレシピを勉強し、ノウハウを共有することで先々の効率化が望める(画像:写真AC)



 目先の効率ばかり考えて「自分がやったほうが早いから」と背負い込んでいたら、いつまでたっても夫は変わりません。家族のためにも自分のためにも、夫の料理のスキルアップを目指すべきなのです。

 結果よりもプロセスを重視しなければ、人は成長しません。仕事や育児でも同じです。

 人を育てるには「だれでもすぐに分かる結果」ではなく「結果に至るまでのプロセス」をしっかりと見て、評価するのが大事なのです。

 そうやってプロセスを踏んでいけば、将来的には今よりもずっと効率が良くなり、楽になるはずです。

家族でも嫌われる勇気を持つ

 夫婦共働きの世帯数は当然ながら東京都が全国で最も多く、2017年の時点でほぼ半数(49.1%)が共働き世帯です(総務省統計局「2017年就業構造基本調査」)。

 仕事と家庭の両立に奔走する女性が多いものの、交通の便がいいため親族が近隣に住んでいたら密なコミュニケーションを求められるケースもあるでしょう。それを負担に感じる場合は、適度な距離感を保つ方法を考える必要があります。

 もちろん、適度な距離は人によって異なり、家族同士で一致するとは限りません。自分にとっての適度な距離が、家族にとっては近過ぎたり遠過ぎたりすることも多いでしょう。

家族にとっての最適な距離を、互いに折り合いを付けながら見つけていく(画像:写真AC)



 全員にとってのベストアンサーは存在しないので、できる範囲で折り合いをつけつつ、自分の精神衛生を守れる距離を保つのがベターです。

 義父母には特に気を遣いがちですが、嫌われまいと行動するとあなたの人生の時間の多くを義父母に割くことになってしまいます。「夫のため」と思って無理すると、だんだん夫が憎く思えてきてしまうこともあります。

 義父母のため、夫のためといった自己犠牲は諸刃の剣。長期的な関係には不向きで、結局は亀裂を生みます。ときには「嫌われてもいい」と振り切る覚悟も必要です。

気持ちと時間の余裕は大切なもののために

 すべてを突っぱねろとは言いませんが、家族に負の感情を抱かない範囲で行動しましょう。それ以上の行動はあなたのキャパを超えているので継続できません。

 一度当たり前になった習慣をやめるにはエネルギーが要りますし、相手にも不満を抱かせやすく、関係が悪化する原因になりやすいです。お互いのためになりませんから、断る勇気、嫌われる勇気を持って行動してください。

 そうして守った心の余裕は、本当に大切にしたい人やものごとに充てましょう。

※記事の内容は、個人のプライバシーに配慮し一部編集、加工しています。

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