都心部の大規模施設、昔を調べたら貨物駅! 広大な土地には理由があった

東京都心の大規模施設は元々鉄道の貨物駅だった場所があります。その歴史について、フリーライターの小林拓矢さんが解説します。


都心にある貨物駅

 東京都心部は狭いエリアに多くの人や建物が集まっていますが、広大な敷地を利用した大規模施設もあります。そういった施設はもともと武家屋敷だったり、戦前の軍隊の練兵場だったりすることが少なくありません。

 江戸時代において、江戸は現在の東京都心部よりももっと狭い範囲で、新宿や代々木、原宿あたりは郊外でした。そして江戸が東京になり、その範囲を拡大し続けるにあたって、都心部は広くなっていったのです。

 現在では考えられませんが、貨物列車が都心まで乗り入れ、貨物を扱っていた時代がありました。そのころの貨物駅は広大な土地を生かして、現在、大規模施設となっています。今回は、そのような場所を紹介します。

 汐留や飯田町などの都心部には、かつて貨物専門のターミナルがあり、全国からさまざまなものが運ばれてきました。高速道路網がなかった時代、鉄道は主たる貨物輸送の手段だったのです。

 昔からの貨物駅は、いまでは荒川区にある隅田川駅(荒川区南千住)くらいです。東京の貨物駅は1973(昭和48)年以降、東京貨物ターミナル駅(品川区八潮)が中心となっています。なお、1都3県の郊外部にはコンテナ扱いを行う大規模な貨物ターミナルが複数あります。

 現在は全てコンテナの移動で済ませていますが、以前は、貨車のなかに荷物を直接入れ、手作業で荷物を扱いました。それゆえ、都心ダイレクトの貨物駅が必要でした。

汐留の高層ビルは貨物駅の跡地だった

 共同通信社(港区東新橋)や日本テレビ放送網(同)など、メディア関連が集積し、新しい高層ビルが立ち並ぶ汐留シオサイトは、新しいビジネス街として注目されています。

 ここにはかつて貨物の汐留駅があり、1986(昭和61)年まで使用されていました。また1914(大正3)年の東京駅開業までは「新橋駅」として、旅客のターミナルでもありました。

1985年頃の汐留駅(画像:国土地理院)



 1995(平成7)年に再開発が始まり、現在では13棟の高層ビルが立ち並ぶエリアとなっています。そのなかにはコンラッド東京などの高級ホテルもあります。これだけの施設を見ると、汐留駅がどんなに広かったのか、言い換えれば、都心に広大な土地が存在していたのかがわかります。

紙の流通施設があった飯田町駅

 似た例を見ていきましょう。飯田橋駅周辺には「アイガーデン」という再開発地区があります。ここにはかつて貨物の飯田町駅がありました。もともとは甲武鉄道の駅として1895(明治28)年につくられ、旅客のターミナルとしても使用されていましたが、1933年に貨物専用駅になりました。

 飯田橋駅周辺は出版社や印刷会社などが集中するエリアです。そのため、飯田町駅は紙の流通施設としての性格を強めていきます。1971年に飯田町紙流通センターという会社が設立され、流通倉庫と貨物駅が一体となった施設となります。

 しかし新聞や出版物の印刷所が郊外に移転し、都心に紙を集める必要が減ったため、コンテナの扱いができない貨物駅として不便な駅になりました。

1985年頃の飯田町駅(画像:国土地理院)

 結局、駅は1999年になくなり、跡地にはJR貨物の本社ビル(現在は別の場所に移転)、ホテルメトロポリタンエドモントの新館(千代田区飯田橋)、日建設計東京ビル(同)などがつくられました。この敷地は、線路を引き込んだような場所となっており、かつて駅があったことを感じさせます。

ヨドバシ・百貨店の敷地が興味深い

 最後は秋葉原駅です。秋葉原駅近くにはかつて神田青果市場(1990年に大田区へ移転)がありました。そのためか、周辺に倉庫施設が多く、市場の移転後、その跡地の再開発でヨドバシカメラ マルチメディアAkiba(千代田区神田花岡町)や秋葉原クロスフィールド(同区外神田)がつくられ、駅周辺も整備されました。

 元貨物駅を利用した商業施設といえば、タカシマヤタイムズスクエア(渋谷区千駄ヶ谷)です。埼京線や湘南新宿ラインが走っている路線は、もともとは山手貨物線であり、貨物を新宿駅や渋谷駅などに運ぶための路線でした。また、武蔵野線などがなかった時代、東北と中京・関西などを行き来する貨物列車もこの場所を通っていました。

1985年頃の現タカシマヤタイムズスクエア周辺の様子(画像:国土地理院)



 タカシマヤタイムズスクエアは、1996年に新宿貨物駅の跡地を再開発してできた建物です。この建物の敷地は南北に長いものとなっており、東西の幅は狭くなっています。ここには現在、新宿高島屋や東急ハンズ新宿店などがあります。線路沿いの敷地に何かができる場合、やたらと長細い建物となりますが、タカシマヤタイムズスクエアはそのいい例でしょう。

 秋葉原の再開発地区も同様です。おおまかにいえば、この再開発地区は線路沿いにあるといえます。線路沿いゆえに敷地は広くても長細く、そこを利用して再開発を行うため、その土地に合った建物ができるのです。

 貨物駅とその周辺施設を再開発したところは、広くていい場所ゆえに現在も栄え、一方でその敷地に特徴的なケースが見られることも多いです。土地の利用のしかたが変わっていく中で、過去の痕跡が見えるのも面白いのではないでしょうか。


【画像】30年前とまるで別物? 「秋葉原駅」周辺の様子

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