「いま現実に起きていることの延長線」 紀里谷和明監督の新作映画が現代日本に訴えること【7000字インタビュー前編】
2021年4月3日
ライフ『CASSHERN』や『GOEMON』などの映画作品で知られる紀里谷和明監督が、最新作『新世界』の予告映像を発表しました。この作品に込めた思いとは? 単独インタビューの内容を2回に分けて紹介します。前編は、「20年後」の世界に対する危機感について。
「20年後の東京」を描く問題作
たとえば100年先の未来を想像するとき、おそらく誰もが壮大な夢の世界を思い描くのではないでしょうか。「ドラえもん」のような万能ロボットが誕生しているのではないか? 瞬間移動が可能になっているのではないか? 日常の不便や苦労は、何もかも全て解決されているのではないか――?
では、それが「20年後」だとしたら。語りのトーンはとたんに暗澹(あんたん)としたものに変わるはずです。あらゆる仕事を人工知能(AI)に奪われているかもしれない、自分や多くの人が貧困に陥っているかもしれない、地球環境はより悪化しているかもしれない……。
両者の違いはなぜでしょう。100年先が幸せな空想に過ぎないのに対して、20年後は現在と地続きの確実に訪れる世界だということを、私たちが知っているからかもしれません。確実に訪れる未来への不安とはつまり、いまある世界に対する懐疑とイコールとも取れます。
私たちが必ず体験するであろう「20年後」とは果たしてどのような世界か。この物語の舞台は、そんなごく近い未来の日本・東京です。
いま現実に起きている延長線上
大規模な震災が引き金となって、国のあらゆるシステムが崩壊した世界。スラムと化した街を犯罪者が跋扈(ばっこ)し、派閥を組んだ新たな支配層たちは8年にもおよぶ勢力争いを全国各地で激化させている――。
『CASSHERN』(2004年)や『GOEMON』(2009年)、ハリウッド進出作『ラストナイツ』(2015年)などで知られる、映画監督・紀里谷和明氏の最新作『新世界』。2022年の公開に向けて2021年1月末、同作の予告映像がYouTube上で発表されました。

SF的とも取れる設定とCGを駆使した映像美で描かれる作中世界はしかし、単なる空想ではありません。「いま現実に起きていることの延長線であり、実際の世界がこれからどうなっていくのかということの縮図を表現している」ものなのだと、紀里谷監督は語ります。
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