洋服から日用品まで「ネット通販」派の20代 試着もせずに買う驚きの理由とは

コロナ禍で苦戦を強いられる百貨店などと対照的に、ますます著しい成長を遂げるEC市場。とりわけ20代では直近1年間で6割超が利用しているということが分かりました。洋服や化粧品も、試着をしなくても抵抗なく購入できてしまう心理とは? 進化するEC市場の現状について、TesTeeトレンド分析担当の橿村芽久未さんが独自のデータを基に読み解きます。


東京の百貨店が軒並み苦戦する中で

 東京はじめ全国の若年層を対象に調査分析を行っている「TesTeeLab」「それ、わたし調査します」(運営・テスティー、中央区日本橋兜町)のアンケート結果から、最新のトレンド動向を探る連載。今回のテーマは「EC利用とコロナによる環境変化に関する調査 」の結果をもとに、これからのECトレンド予測とその販売方法や注目理由についてご紹介します。

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 三越伊勢丹ホールディングス(新宿区西新宿)が発表した2020年4~12月期連結決算は、純損益が347億円の赤字。前年同期の78億円黒字と比べるまでもなく、コロナ禍で苦戦を強いられた様子がうかがえます。

 日本百貨店協会(中央区日本橋)によると、東京にある12社25店の2020年12月の売上総額は約1472億円で前年同月比15.9%減。とりわけ化粧品(25.2%減)や衣料品(23.9%減)が大きく減少しました。

EC市場、コロナ以前から拡大の一途

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により「外出の自粛」「密の回避」などが推奨され、実店舗を中心とした小売業界が厳しい局面に立たされている一方で、堅調に売り上げを伸ばしているひとつに「電子商取引(EC)」が挙げられます。

20代が洋服や化粧品を買うのは、百貨店などの実店舗よりもネット通販――。その傾向はコロナ禍でより鮮明に(画像:写真AC)



 もともとインターネットを通じた消費は年々市場規模が拡大しており、2019年の日本国内の消費者向けECの市場規模は19.4兆円(前年18.0兆円、前年比7.65%増)と、右肩上がりで成長していました(2020年7月経済産業省「電子商取引関する市場調査」)。

 日用品からファッション用品まで、店頭に赴くことなく自宅で商品を閲覧、吟味して購入が可能なことから、人との接触や混雑のリスクも回避でき、コロナ禍でいっそう強みを発揮する市場と言えます。

20代の6割超が直近1年にネット通販

 今回は若い世代のEC利用状況をひも解くため、「EC利用とコロナによる環境変化に関する調査」を2021年1月、20代の男女1016人(20代男性501人、20代女性515人)を対象に実施しました。

 まず、全1016人を対象に「直近1年以内にEC(ネット通販)」を利用しましたか?」と尋ねたところ、「(ECを)利用した」と回答した人は男性で62.7%、女性で65.6%。男女とも、およそ3人にふたりがネット通販を活用しています。

 EC利用者が「購入した商品のジャンル」を聞く問い(複数回答)では、男性は「日用品」が最も多く38.2%、次いで「ファッション用品」が36.3%と3割を超え、「食品・お取り寄せ・グルメ(デリバリーを除く)」が24.2%と続きました。

 一方、女性は「ファッション用品」が54.1%、「日用品」は45.0%、「美容・コスメ」が33.1%と回答。男性に比べて、女性は5位までのいずれのジャンルでも購入経験の割合が高く、中でもファッションや美容に関する買い物を中心にEC利用していることがわかりました。

コロナ禍でネット通販の利用が増えた20代は、男女とも6割超(画像:テスティー)



 従来、ファッション用品なら実店舗での試着を、コスメ関連なら百貨店のコスメカウンターなどでのタッチアップ(お試し)を経て購入を検討するのが一般的でしたが、若い世代はこれらをネットで購入することに対して抵抗を覚えなくなっていると言えそうです。

 こうした変化の背景には、EC市場の成長に伴ってインターネットを活用したショッピング体験がさまざまに進化を遂げている状況があります。

実店舗とそん色ない接客とライブ感

 例えば、通信サービスなどを展開するスピンシェル(文京区後楽)が運用する「LiveCall(ライブコール)」は、店頭での購入体験を提供する「オンライン接客」のサービス。

 事前に日時指定を行うことで、実際の店舗で働く店員と顧客がオンライン上で双方向のコミュニケーションを取ることができます。実店舗にいるかのような顧客体験を提供することで、ECでは取り扱いの難しいとされるセミオーダー・フルオーダーメイドの商品や個人に合わせたパーソナルスタイリングの提案を含む購買体験を可能にしました。

 また、商品紹介をリアルタイムで行うテレビショッピングのインターネット版とも言える「ライブコマース」も、国内で注目度が高まりを見せています。

 SNSの普及、データ通信の進化により動画コンテンツが盛り上がっている中で、新しく販路として浮上したのがこのリアルタイムショッピングと言えるでしょう。

 楽天やYahoo!などのECモールにライブコマース機能が付いた「ECモール型」や、有名人やSNSで人気のあるインフルエンサーを起用して商品を紹介する「キュレーション型」など。リアムタイムならではの販売戦略として、個数・期間限定商品の紹介や、リアルタイムチャットに寄せられたコメントに対して紹介者がリアクションを交えて紹介を進めていく配信など、その活用方法は多岐に渡ります。

 こうした市場の進化も背景に、「新型コロナウイルスの影響を受けてネット通販で商品購入する頻度は変化しましたか?」という問いでは男性で62.4%、女性で64.8%と、ともに6割以上が「とても増えた/やや増えた」と回答しました。

 冒頭でも触れた通り、外出自粛要請が発令されたことや、繁華街や各地方で都心部の飲食店営業時間が短縮されたことにより、「#おうち時間」「#stayhome」などのSNSハッシュタグも流行したことも記憶に新しいですが、自宅で過ごす時間が増えたこともEC利用増加に影響を与えたと推測することができる結果となりました。

コロナ禍が消費者にもたらした変化

 ちなみに、全員を対象に「外出自粛要請を受けて、環境に変化はありましたか?」と聞いたところ「変化があった」と回答した人は男性で26.9%、女性では34.2%。「どちらとも言えない/変化はなかった」という回答も3割ほどとなりました。

「変化があった」と回答した人に「外出自粛の期間(~現在まで)にあった、環境や心境の変化」を聞いたので、自由回答の一部をご紹介します。

●消費行動の変化
・出来るだけネットで買い物して外出を減らした(24歳男性)
・美容にお金を使うようになった(24歳女性)
・フィットネス器具を買った(23歳男性)
・新しい家電を買った(21歳女性)
・自粛期間中家にいることが多く、趣味を兼ねてゲームを購入(25歳女性)

●気持ち・心境の変化
・家族、友人の大切さを改めて感じる(20歳女性)
・気持ちが落ち込むようになった(28歳男性)
・必要な外出かどうか考えるようになった(27歳女性)
・外に出ることがストレスになった(22歳女性)
・丁寧に生きよう 無駄なものは捨てよう(23歳女性)

外出自粛の期間を経て、環境や心境に変化を感じている人も約3割(画像:写真AC)



 さまざまな回答が挙がりましたが、消費意識や心境の変化が伺える内容が散見されました。

※ ※ ※

 消費者にとっては外出の自粛による消費行動の変化があり、小売業界は営業時間の短縮に伴う実店舗への来客減少など、どちらにとっても変化があるコロナ禍で、インターネットにおける販路の拡大は重要な商品認知や購買契機となっていくのではないでしょうか。


【調査結果】ネット通販 利用者が多いのは男性と女性、どっち?

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