絶滅寸前の昭和系「大型映画館」 都内に残った最後の1つはどこにある?

シネコンの台頭で絶滅寸前の大型映画館。そんな大型映画館ですが、都内に今も残っているのはどこでしょうか。ミゾロギ・ダイスケさんが解説します。


シネコンの台頭が生んだもの

 その昔、都内の繁華街には800~1000人規模のキャパシティーを持つ大型映画館が何館もありました。多数の客席、それが満席となった様子は昭和のロードショー館特有の面白さであり、映画を見る際の高揚感を高める役割を果たしていました。

 しかし、シネマコンプレックス(以下:シネコン)が映画興行の中心となることで、やがて大型映画館は減少していきます。

 現在、都内のシネコンで、単一スクリーンの客席数がもっとも多い「ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場」(港区台場)のスクリーン1が612席と、全体的にスクリーンごとの客席数は少なくなっているのです。

 では、懐かしい昭和スタイルの大型映画館は絶滅してしまったのでしょうか? 答えはノー。800人以上を収容できる館は東京23区に1館だけ残っています。見方を変えれば、“1館しか残っていない”とも言えます。

 では、各エリアの大型映画館にはどのようなものがあり、いつ頃、消えていったのでしょう。

1000人級映画館が3館並んでいた昭和時代

●銀座・有楽町・日比谷エリア
 今は「日比谷シャンテ」がある場所に、「有楽座」(1572席)と「日比谷映画劇場」(1375席)、その向かいに「日比谷スカラ座」(1197席)と、日比谷にはかつて大型映画館が3館もありました。

ところが、老朽化した有楽座と旧・日比谷映画劇場は1984(昭和59)年に閉館。有楽町駅前に生まれた複合商業施設「有楽町マリオン」内に新設された「日本劇場」(944席)、「日劇プラザ」(666席)が、その役割を引き継いでいます。

都内屈指の大型映画館だった「松竹セントラル1」

 ただし、この2館も今はありません。2000年代の「日劇1・3」→「TOHOシネマズ日劇」という2度の改称を経て、2018年に日比谷地区にオープンしたシネコン「TOHOシネマズ日比谷」にバトンを渡しました。

「TOHOシネマズ日比谷」が入居する東京ミッドタウン日比谷(画像:(C)Google)



 日比谷スカラ座はビルの建て替えにより1998(平成10)年に閉館し、2年後に「日比谷スカラ座1」として復活するものの、客席数は656に半減されました。現在は491席に減った上で、TOHOシネマズ日比谷のScreen12として営業中です。

 また、銀座中央通り沿いの「テアトル東京」(1248席)、歌舞伎座の近くにあった「松竹セントラル1」(1156席)も都内屈指の大型映画館でした。

 テアトル東京は早々と1981年に幕を閉じ、跡地に「銀座テアトルビル」が建ちます。しかしそれも取り壊され、2019年に「コナミクリエイティブセンター銀座」が完成。松竹セントラル1は1999年に閉館。今はそこに「銀座松竹スクエア」という高層ビルが建っています。

大型映画館がにらみ合っていた歌舞伎町

●新宿エリア
 歌舞伎町では、広場を挟んで1000人規模の映画館がにらみ合っていました。東宝系の「新宿プラザ劇場」(1044席)と、東急系の「新宿ミラノ座」(1064席)です。歌舞伎町には、ほかにも中小の映画館が多数ありましたが、この2館がボス的存在だったと言えます。

新宿プラザ劇場は2008年に再開発で閉館され、今そこにあるのはシネコン「TOHOシネマズ新宿」です。新宿ミラノ座は2014年まで営業されました。その跡地には、映画館や劇場、ホテルなどからなる複合施設の建設が予定されています。

2008年に新装会館した「新宿ピカデリー」(画像:(C)Google)

 靖国(やすくに)通り沿いの旧「新宿ピカデリー1」(820席)も新宿を代表する映画館のひとつ。ここは2006年に閉館となり、シネコン「新宿ピカデリー」に生まれ変わりました。

“最新の大型映画館”は1991年に道玄坂に

●渋谷エリア
 最上階にプラネタリウムを擁した渋谷駅前の「東急文化会館」内には「渋谷パンテオン」(1119席)、「渋谷東急」(824席)とふたつの大型映画館がありました。東急文化会館は2003年に閉館となり、今そこに建っているのは「渋谷ヒカリエ」です。

「渋谷東宝」(1026席)があったのは道玄坂です。閉館後、同じ場所に四つの映画館が入るビル「渋東シネタワー」が誕生したのは1991年でした。

「TOHOシネマズ渋谷」にリニューアル前の「渋東シネタワー」。2009年11月撮影(画像:(C)Google)



 そのなかで「渋東シネタワー2」は最多時に825席ありました。これが事実上、もっとも新しい非シネコンの大型映画館です。時は流れ、渋東シネタワーは2011年にシネコン「TOHOシネマズ渋谷」にリニューアルされ、渋東シネタワー2は改装、分割されました。

最後のとりでは有楽町マリオン内に

 そのなかで「渋東シネタワー2」は最多時に825席ありました。これが事実上、もっとも新しい非シネコンの大型映画館です。時は流れ、渋東シネタワーは2011年にシネコン「TOHOシネマズ渋谷」にリニューアルされ、渋東シネタワー2は改装、分割されました。

最後のとりでは有楽町マリオン内に

 さて、最後に今も残っている都内唯一の大型映画館について触れておきましょう。それは、有楽町マリオン内にある「丸の内ピカデリー1」です。

今も残る都内唯一の大型映画館「丸の内ピカデリー1」の所在地(画像:(C)Google)

 その席数は802。チケット販売方法、内装や館内インフラは、時代に合わせて進化していますが、コンサートホールのような2階席もある大規模な客席は壮観であり、シネコンにはない趣があります。

 また、隣の「丸の内ピカデリー2」(586席)、「マロニエゲート銀座」の並びにある、「丸の内TOEI①」(511席)、中央区築地にある「東劇」(435席)も、中規模ながら、歴史の長い非シネコン型の映画館です。こうした館では、昭和の映画館の匂いをほのかに感じることができるでしょう。

※座席数は閉館時を原則としており、改装される以前は記載した数字より多かった館があります。また、車椅子用の席は含まれていない場合があります。


【画像】都内に残った最後の「大型映画館」

画像ギャラリー

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