人はなぜ「散歩番組」を思わず見てしまうのか? 過去から現在までを振り返って考えてみた
2020年11月30日
お出かけ近年人気の散歩番組。その魅力の理由について、芸能コラムニストの高杉順平さんが解説します。
かつては珍しかった大人の平日散歩
僕(高杉順平、芸能コラムニスト)はあちこちに雑文を書くことを仕事にしており、サラリーマンではないため、平日の昼間に都内をブラブラ歩くことが習慣になっています。
今ならそんなこともありませんが、かつてはいい大人が昼間からブラブラしているのは怪しいということで、近所の人から警察を呼ばれたこともあります。事情を説明するとすぐにわかってもらえましたが、当時は珍しかったのかもしれません。
そうやって昼間からブラブラしていると、町の変化やそこを歩く人たちの変化もわかってきます。

2006(平成18)年くらいから、仕事をリタイアした人たちが散歩をする光景をよく見るようになりました。理由はいくつかありますが、ひとつは当時始まったテレビ朝日の『ちい散歩』の影響だと思われます。
『ちい散歩』が面白かったワケ
『ちい散歩』は俳優・地井武男さんが散歩の達人としてさまざまな町を歩く番組で、僕もよく見ていました。
この番組は散歩ブームの火付け役となったと言われ、実際にその影響力を目の当たりにしたことがあります。

ブラブラと散歩している途中、僕が動画を撮影していると、高齢の女性に「ちい散歩の方?」と声をかけられたのです。このご婦人は、僕が『ちい散歩』のスタッフで、ロケ地の下調べをしていると思われたようです。
『ちい散歩』の面白さは、スタッフが入念に下調べをした町の情報をベースに、地井さんが散歩しながら、目についたところで足を止め、ロケを行うスタイルを採っていました。
実際は事前に取材のアポを入れているのですが、どこか予定調和ではない面白さがありました。こういった散歩番組はそれまでありそうでなかったため、人気が出たのでしょう。
また、番組のスタッフだった人から聞いたのですが、地井さんはスタッフ全員の名前を覚えていて、ひとりひとりを名前で呼んでいたそうです。そういう心遣いがチームの団結力を高め、面白い番組を作るきっかけとなったのかもしれません。
その後、『ちい散歩』の関連本を持って散歩する人を多く見かけるようになりました。僕も書店でそれらの本を探したところ、多く並んでおり、これはひとつのムーブメントだと感じました。
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