都会の公園に欲しいのは癒し? それとも最新施設? 今こそ考えたい公園の「本質」とは

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都会の公園に欲しいのは癒し? それとも最新施設? 今こそ考えたい公園の「本質」とは

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中村圭(文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナー)

東京都心部の公園内に、新しい施設が次々とオープンしています。これまでに無かった新しい施設も多く、驚いている人もいるかもしれません。こうした流れの背景について、文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナーの中村圭さんが解説します。

新宿、渋谷、池袋などで次々と

 最近、東京都心部の公園内に新しい施設が次々にオープンしています。都市公園が変わりつつあるという印象を持つ人も多いのではないでしょうか。

 2020年7月22日(水)には新宿御苑(新宿区内藤町)インフォメーションセンターが、国立公園の興味関心を喚起する情報発信拠点「National Parks Discovery Center」を併設してリニューアルオープンしました。

 アートギャリーや全国の国立公園で販売されている商品を購入できる物販コーナーのほか、各国立公園の詳細や植物・動物を紹介した「My Park Finder」、ボトルを台に乗せると各国立公園の映像が出てくる「Nature in a Bottle」、4K映像で各公園の風景を楽しめる「Virtual Nature Experience」など、デジタルを駆使した内容になっています。

 7月16日(木)には新宿中央公園(同区西新宿)に「SHUKNOVA」がオープンしました。同公園の芝生広場に交流拠点として開発された民間施設です。

新宿中央公園の交流拠点施設「SHUKNOVA」ポケットパーク側(画像:新都市ライフホールディングス)



 1階にはレストラン「むさしの森ダイナー」やカフェ「スターバックスコーヒー」があり、2階にはヨガ・ボルダリング・ランニングステーションの三つの機能を有した「PARKERS TOKYO」が導入されています。また「ENGAWA TERRACE」、「MIHARASHI TERRACE」という2か所の無料開放エリアがあり、公園の芝生を眺めながらのんびり過ごすこともできます。

公園が担う「第3の居場所」

 池袋では2016年4月2日(土)に「南池袋公園」(豊島区南池袋)が、サード・プレイス(住宅、職場以外の「第3の居場所」)をコンセプトにリニューアルしました。生産者と消費者の“食を介するつながりの場”を目指したカフェレストラン「Racines FARM to PARK」や、芝生広場などでのんびり過ごせるスペースを提供しています。

 同じく池袋の「中池袋公園」(同区東池袋)は、2020年7月1日(水)に全体開業した八つの劇場を内包する大規模複合施設「Hareza(ハレザ)池袋」の一角として、同施設に先行する形で2019年10月22日(火・祝)にリニューアルオープン。

 今までの砂地から石張り舗装にし、「池袋ハロウィンコスプレフェス2019」などのイベントスペースとして活用できるよう整備されました。

中池袋公園、「Hareza池袋」の全景(画像:東京建物、サンケイビル)



「Hareza池袋」内には中池袋公園とガラス越しに一体化した大階段状のイベント空間「パークプラザ」も設けられています。

 これらの開発とは様相が異なりますが、渋谷では7月28日(日)に、宮下公園(渋谷区神宮前)が「MIYASHITA PARK」としてオープンしました。

 ハイブランドファッションから居酒屋までさまざまな店舗が複合された「RAYARD MIYASHITA PARK」や、次世代ライフスタイルホテル「sequence MIYASHITA PARK」などからなり、公園機能は最上階に設けられています。

都市公園、開発の歴史

 都市公園は、都市における緑とオープンスペースの確保、防災スペースの確保、都市居住者へのレクリエーションの提供などを目的に、戦後の高度経済成長期からバブル期にかけて整備が推進されていきました。

 1990年代半ばに開発のピークを迎え、その後は開発ペースが鈍化していきますが、一方で国内が人口減少社会に突入していったことから、人口ひとり当たりの都市公園などの面積は、2020年現在も10平方メートルの水準を維持している状況です。

 人口増加を背景に拡大する都市開発に合わせて急ピッチで公園を整備しなくてはいけなかった時期は過ぎ、都市公園は「量から質」の時代になったと言われています。昔と今とでは都市公園に求められる機能も変化しているでしょう。

 近年、都心部の商業ビル開発が活発ですが、その中には屋上に庭園を設けたり、緑の多いテラスを設けたりする事例が多く見られます。

新宿中央公園の交流拠点施設「SHUKNOVA」芝生広場側(画像:新都市ライフホールディングス)



 都市の緑地保全のための緑化という側面もありますが、高層ビルに囲まれた中でも「緑の多い環境でゆっくりと食事をしたりお茶をしたりしてくつろぎたい」というニーズが多いことも事実です。開発余地の限られた都心部において、緑が多く広いスペースのある公園は残された優良な立地に違いありません。

 都市公園の開発のピーク期からは20年以上が経過しており、多くの都市公園は老朽化して補修が必要な時期に来ています。しかし、地域財政はひっ迫しており、都市公園に民間の投資を誘導し、公園管理者の財政負担を軽減することが不可欠となってきています。

 また、公共施設における収益性、サービスの見直しが言われる中、住民のニーズに沿うといった観点からも、民間事業者の発想やノウハウが必要とされています。都市公園という資産をより有効に活用することが望まれていると言えるでしょう。

民間力を引き出す新制度の創設

 このような流れによって2000(平成12)年頃から都市公園への民間活力の導入の促進が図られてきました。

 特に現在の開発のトリガーとなったのが、2017年の都市公園法の改正による「PARK-PFI」の創設です。

中池袋公園、「Hareza池袋」夜の景観(画像:東京建物、サンケイビル)



 PARK-PFIとは、公募対象公園施設の設置とその周辺の園路、広場など特定公園施設の整備・改修を一体的に行う者を公募により選定する制度。

 事業者が設置する施設から得られる収益を公園整備に還元することを条件に、設置管理許可期間を上限20年まで延長し、建ぺい率の12%まで上乗せ、自転車駐車場・看板・広告塔など占用物件の設置といった特例措置がインセンティブとして設けられています。

 また、公募前に民間事業者の意見を聞く「マーケットサウンディング」を実施することなどにより、従来よりも民間事業者の提案の自由度が高くなったという効果があります。

 PARK-PFIによって公園整備事業全体が注目され、公園の持つポテンシャルがあらためて認識されるようになりました。そして、積極的に民間活力を導入しようとする自治体や参入したい民間事業者が増えていきました。

 都市部の公園だけでなく、自然が豊かな公園にグランピングやアドベンチャーパークなどを導入する事例もあります。今も各地で計画が進展しており、今後も都市公園における民間開発は拡大していくと考えられます。

古い公園の良さも残していけたら

 民間事業者が多く参入するということは、一定のサービスクオリティー、デザインクオリティーを満たした幅広い層に受け入れられる施設が公園に増えるということです。

 きれいで使い勝手の良い施設が増えることは喜ばしいことですし、事業効率の観点からも正解と言えるでしょう。

 一方、今は地域の特性を生かした個性のある開発が多く見られますが、数が増えるにつれてナショナルチェーンの集合体になるなど均一化していく懸念もあります。

 古い公園には独特の個性があり、「都会のエアポケット」となっていることも一考していただけたらと筆者(中村圭。文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナー)は考えています。

 新型コロナウイルス感染拡大や連日の猛暑でなかなか遠出のできない状況ですが、時には近くの公園へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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