廃線跡からレトロ団地まで 東京で鉄道が通らない唯一の市「武蔵村山」を巡る【連載】多摩は今(1)
2020年9月26日
お出かけ都内の「鉄道のないまち」として知られる武蔵村山市。そんな同市の魅力について、まち探訪家の鳴海侑さんが解説します。
なぜ鉄道がないのに「市」なのか
東京は、高密度で複雑な鉄道網が特徴的な都市です。都心部から郊外まで複雑に絡み合いながら鉄道路線網が広がり、路線図を見て目が回る思いをした人は少なくないでしょう。しかしながら、そんな東京都でも鉄道の通っていない自治体があります。伊豆諸島にある2町7村と多摩地域にある武蔵村山市、西多摩郡日の出町、西多摩郡檜原村の1市1町1村です。
このうち武蔵村山市は、「市」であるにも関わらず鉄道の通っていない自治体なのです。

では、なぜ鉄道がないのに「市」になれるほどのまちの規模なのでしょうか。そしてどんなスポットがあるのでしょうか。市内をめぐりながら探っていきたいと思います。
かつて2万人以上が暮らした都営村山団地
武蔵村山市は立川市の北に位置し、人口は約7万2000人(2020年9月現在)です。
アクセスは、立川駅からバスまたは多摩都市モノレールを利用します。多摩都市モノレールを利用すると、立川北駅から乗ること約15分。終点の上北台駅からすぐ北を走る新青梅街道を西に600mほど歩くと武蔵村山市に入ります。「鉄道が通っていないまち」といっても案外市境のすぐ近くに鉄道路線が通っているのです。
新青梅街道沿いをさらに西に歩いて行くと、上北台駅から10分ほどのところで左手に大きな空き地と団地が見えてきます。ここは都営村山団地で、1966(昭和41)年に424棟の住棟が建てられ、一時期は約2万3000人が生活していました。
武蔵村山が「市」になったのは1970年と団地ができた4年後ですから、都営村山団地は武蔵村山「市」を生み出す大きな要因となった場所といえるでしょう。
現在は古くなった住棟の建て替えが進められている途中で、人口は約6000人と減少はしているものの、現在も多くの人が住んでいます。
広大な団地の中には建て替え前の中層住棟と建て替え後の高層住棟の双方が見られ、また団地内と団地西側に商店街があります。団地内にある「村山団地中央商店街」は両側の建物の間隔が西へ行くほど狭くなっており、最寄りバス停の「店舗前」バス停からみると奥行きがあるように感じられる構造になっています。

商店街には昔懐かしい個人商店も多く、八百屋や肉屋などがあるほか、住民の高齢化に伴う移動ニーズの変化に応えるための送迎自転車のステーションもあります。レトロな雰囲気と住民の生活が見える場所です。

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