【東京・ロンドン徹底比較】店員は顎マスク、ハンドドライヤーも稼働中 「コロナ対策」に出るお国柄の違いとは?

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【東京・ロンドン徹底比較】店員は顎マスク、ハンドドライヤーも稼働中 「コロナ対策」に出るお国柄の違いとは?

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鳴海汐(ライター)

新型コロナウイルスの感染拡大防止対策。マスクやアルコール消毒といった基本的な対策にも、それぞれの国で微妙な違いがあるようです。2020年9月現在、仕事でイギリス・ロンドンに滞在するライターの鳴海汐さんが、東京とロンドンの違いをリポートします。

意外にもリラックスしたロンドン

 ヨーロッパの中で特に新型コロナウイルスの感染者数が多かったイギリス。現在はどのような状況なのでしょう。

 仕事の都合で2020年8月の下旬からロンドンに滞在している筆者が、コロナ対策における東京とロンドンとの違いを観察しました。

マスクを顎にずらしている店員も? イギリス・ロンドンの新型コロナ対策は(画像:写真AC)



 東京自体、少しずつ「平常運転」に戻りつつある印象はありますが、ロンドンではそれ以上にリラックスした雰囲気が流れています。

 今回の新型コロナウイルス感染が最初に拡大したのが中国・武漢だったため、当初は感染を恐れる人々がアジア人全般を避け、差別の対象にもなっていると盛んに報道されていました。

 渡英に当たってこのあたりを日本の知人や家族に心配されていたのですが、いまのところ特に冷たい視線を浴びていません。白人と黒人の友人によれば、「コロナが流行し始めた当初は中国人を避けていたけれど、感染があちこちで起こったからもう皆同じ」とのことでした。

マスクの色、主流は青と黒

 ロンドンの街では、東京ほどではないですが、想像以上にマスクをしている人がいるという印象です。

 ロンドンでは、2020年6月から公共交通機関で、7月からは店舗でのマスク着用が義務付けられています。違反すると最大100ポンド(約1万4055円、9月7日現在のレート使用、以下同)の罰金ということです。こういった場所では9割以上が着用している印象です。

 屋外でも、駅近くや店舗を利用したばかりと思われる人はそのままマスク着用をしていますが、駅や店舗から離れた住宅街などでは着けている人の方が少なくなります。

 ちなみにこちらはすでに最高気温が20℃を上回るかどうかといった涼しさ。テムズ川沿いをランニングしている人で、マスクをしている人はいません。

日本より割高、1枚約70円

 東京で一番メジャーなマスクの色は、サージカルマスク(不織布マスク)の白。韓国好きの若者を中心に黒の布マスク、夏はグレーの冷感マスクをしている人を多く見かけました。

 一方、ロンドンでは、青と黒が主流です。欧米ではサージカルマスクは青が一般的。内側が白、外側が青となっています。白い面に吸水性があるとのことです。

 特に青のサージカルマスクを着けている人が多いので、ひょっとしたら日本より安いのではないかと考えましたが、一般的な価格は、10枚入りで5ポンド(約703円)です。

 例えば大型スーパーの入り口付近にあった特設コーナーでは、やはりマスクは10枚入りが5ポンド。おひとりさま3点までとなっていて中国製でした。ていねいに、1枚あたり50ペンス(約70円)といった記載がポップにありました。

 都内では、50枚入りのマスクは1500円程度で売られていることが多く、1枚30円程度。

 経済協力開発機構(OECD)のデータによると、2019年の賃金水準でみると、イギリスは日本の1.2倍です。それに比べても、こちらではマスクが割高です。何人かに聞いたところ、毎日取り換える人とそうでない人が同じくらいいました。

 布マスクについては、黒が圧倒的に多いです。白はあまり見かけません。実はサージカルマスクも、黒が販売されています。筆者の友人もネットで見かけて、「お! これはかっこいい」と思って買ったそうです。

 フェースシールドは、たまに60代くらいの女性や子供が装着しているのを見かけます。店舗のスタッフであっても、移動中の市民であっても、マスクと併用しているパターンは見かけません。

アルコール消毒剤は割安感

 なおサニタイザー(アルコール消毒のスプレーやジェル)は、先ほどの大型スーパーでは、アルコール70%の500ml入りのものが3.99ポンド(約562円)。これは国産(イギリス産)です。

 東京都内ですと、1000円を超えていることが多いので、それに比べたらぐっと手に入りやすいでしょう。

 先頃、アルコール50%以上のもので新型コロナウイルスを除去できるとの実験結果が北里研究所(港区白金)と北里大学から発表されましたが、日本では、アルコール70%以下のものもたくさん店頭に並んでいます。

 一方こちらでは、アルコール70%以上のものばかり見かけます。

公共交通機関、細かなルールも

 バスや電車といった公共交通機関では、一部障害がある人と11歳以下の子ども以外はマスクをしていないと罰金の可能性ということですが、着けていない人は確実にいて、それもちょこちょこ見かけます。

 鼻を出している人や顎マスク(マスクを顎にずらし、口や鼻を露出させた着け方)の人もいます。

地下鉄の駅構内には、「エスカレーターで3段空けるように」や「追い越し禁止」などを伝える看板も(画像:鳴海汐)



 駅構内では、エスカレーターで3段空けるようにとか追い越し禁止といったルールが設けられていたり(筆者は追い抜かれましたが)、駅構内が一方通行になっていたりします。とにかく至るところにサニタイザーが設置されています。

 バスは、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つために、15人定員とか、2階建てでは30人定員とか書いてあります。

 明らかにオーバーしている場合もあれば、それで乗車拒否になったこともありました。これは本当にドライバーによります。

店内アクリル板は日本独特?

 飲食店でも、入り口にサニタイザーを設置しているところが多く、入店時に専用用紙に連絡先を記入するレストランやパブがあります。

 ロンドン市内では、サーブするスタッフはマスクをしている率が高いですが、完全ではありません。

 顎マスクで料理を運んできて、ソースはどうしますかと話しかけられたりします。たまたま見かけたイベントの屋台では、屋外のせいか、マスクしていないお店がほとんどでした。

新型コロナ対策への協力を呼び掛ける、マクドナルドの案内表示(画像:鳴海汐)



 ロンドンに来てから少なくとも10店以上の飲食店を訪れましたが、日本のように卓上にアクリル板があるようなところはありません。現地の人に、日本ではそんな設備があるところもあると話したら、意外な発想だったようでウケていました。とてもいい発想だと思うのですが。

 感染スポットになりやすいと言われるトイレについては、閉鎖しているスタバもありましたが、ほかの飲食店ではトイレを使える状況でした。

 そのトイレといえば。

 東京都内など日本ではハンドドライヤーが使用禁止になっていますが、ロンドンでは使えます。飲食店でも駅構内でも、たいていはダイソンの強力なハンドドライヤーが活躍しています。

 なぜだろうと調べてみたところ、当初ハンドドライヤーが危険視されていたのですが、ハンドドライヤー業界が微生物学者に調査を依頼し、ウイルスまん延の問題がないことが確認できたデータを政府に働きかけたようです(2020年5月21日付、「ThisWeekinFM.com」)。

 職場の衛生に関する政府のガイドラインなどにも、ペーパーかハンドドライヤーで手を乾燥させる設備を持つことが奨励されています。

マスクよりアルコール消毒

 ロンドンでは、ソーシャルディスタンスという表示やサニタイザーがそこらじゅうに設置されていますが、やはりマスクによる対策は日本に比べて弱いという印象があります。

 飲食店でも日本のようにおしぼりが出ない文化において、ウイルスが付着したかもしれない手をアルコールで消毒することはすんなり受け入れられたようですが、直接しぶきが飛んでくることに対しては比較的“無頓着”のように感じます。

 たとえソーシャルディスタンスが確保できない場合でも、人々はマスクなしで話をするのを怖がっていないようなのです。

 これについて何人かのイギリス人に聞いてみたところ、「海外出張のときは、うつるのもうつすのも怖くて大量にマスクを買った」という人もいました。

 しかし、

「われわれのカルチャーではないので、多くの人々が抵抗を覚えている」
「罰金が嫌だから着けているだけ」
「マスクはずっと変だと思っていた」
「イギリス人のほとんどはマスクの効用を理解しているけれど、ロンドンはイギリス人以外が多いからかも」

といった回答も。

 頭では理解していても、それまでなかった習慣だけにまだまだ浸透が難しいのかもしれません。

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