高級かき氷で一世風靡も 都内で閉店相次ぐコールドスイーツ店、いったいなぜ?

海外のコールドスイーツチェーンが相次いで日本から撤退しています。その理由はいったい何でしょうか。都市商業研究所の淡川雄太さんが解説します。

アイスモンスターが9月6日をもって日本撤退

 アイスクリームやかき氷が食べたくなるこの季節に悲しいニュースが飛び込んできました。台湾発の大手フルーツかき氷店「ICE MONSTER(アイスモンスター)」が9月6日(日)をもって日本からの撤退を発表したのです。

アイスモンスターの日本最後の店舗となったグランフロント大阪店。東京からも8月31日限りで撤退した(画像:淡川雄太)



 実は、日本から撤退したコールドスイーツチェーンはこのアイスモンスターだけではありません。

 ここ数年、新型コロナの影響を受ける以前から世界各国のアイスクリームやかき氷店が相次いで日本からの撤退を発表しており、「外国に行かないと食べられない味」となっています。果たしてその理由とは――。

なぜ「わずか5年」で撤退なのか

 アイスモンスターは1997年に台湾・台北市の東門・永康街で羅駿樺(Frank Lo)により創業した「冰館 ICE MONSTER」が前身。

 芒果冰(マンゴーかき氷)ブームの火付け役として有名になり、日本人観光客からも人気となっていましたが、創業者の離婚などに伴うお家騒動を理由に2010年をもって一時閉店していました。

 その後、2012年に「アイスモンスター」として台北市大安区忠孝東路に再開業して台湾各地への店舗展開をおこなうと、2013年11月にはCNN「世界のスイーツトップ10」認定を受けるなど世界的な人気を集めることとなりました。

 2014年にはコンテンツ産業を手掛ける「トランジットジェネラルオフィス」と食品卸「片岡物産」が共同出資する日本法人「アイスモンスタージャパン」を設立。2015年4月に日本1号店となる旗艦店「ICE MONSTER OMOTESANDO(アイスモンスター表参道店)」を出店しました。

 その後、全国各地へと店舗展開を進めていましたが、2019年9月には旗艦店となる表参道店を閉店。さらに、2020年に入ると新型コロナウイルスの感染拡大もあって夏を待たずに店舗網を大きく縮小しており、ついにわずか5年での「日本撤退」を発表することとなったのです。

コールド・ストーンも縮小

 さて、先述したとおり「コールドスイーツチェーンの日本撤退」は新型コロナの影響を受ける以前から相次いでいました。

 小売店のカップアイスなどが人気となっており、知名度抜群の「Haagen-Dazs(ハーゲンダッツ)」も2013年までに国内実店舗を全て閉店したほか、「オーガニック」と「コットンキャンディー味(わたがし)/チャンキーモンキー味(チョコバナナ)」などの個性的な味付けを特徴としていた「BEN&JERRY’S(ベン&ジェリーズ)」、韓国のかき氷カフェチェーン「ソルビン(雪氷)」も2020年1月から2月にかけて日本から撤退。

2020年1月に日本から撤退した「ベン&ジェリーズ」。国内最後の店舗はららぽーと豊洲にあった(画像:淡川雄太)



 さらに、歌を歌いながらアイスを混ぜることで話題を呼んだ「Cold Stone Creamery(コールド・ストーン・クリーマリー)」も2020年夏時点で日本全国に9店(うち7店が首都圏)のみとなるなど店舗網の縮小が続いており、大手「不二家」の傘下となっている「Baskin-Robbins(サーティワン・アイスクリーム)」以外の多くのチェーンは定着しないまま撤退する例が目立っています。

日本からの撤退相次ぐコールドスイーツチェーン、一体なぜ?

 その一番の理由として挙げられるのが、コンビニエンスストアなど「大手小売店のスイーツ強化」です

 日本では、身近な場所にさまざまな種類のスイーツを気軽に選ぶことができるコンビニエンスストアやスーパーマーケットが多くあり、特に近年コンビニ各社はいずれも「スイーツ強化」をおこなうことで集客力の向上を目指しています。

 今やこうしたコンビニのスイーツ強化は、中小のケーキ店のみならず大手の「不二家」などが運営する直営実店舗の経営を脅かしているとさえ言われています。

台湾のアイスモンスター(台北市)。「ホットモンスター」の看板も見えるが、日本ではホットメニューが定着しないまま撤退となった(画像:淡川雄太)

 実際「ハーゲンダッツ」も、日本から直営実店舗を撤退したにも関わらず、小売店への商品展開は逆に強化されており、コンビニなどで季節限定商品が登場するとネットで大きな話題となることもあります。

 例えばアイスモンスターのかき氷はコンビニスイーツとは比べ物にならない本格的なものであった一方、主力商品の価格帯は1500円前後(台湾店舗の約2~3倍)という「高級路線」を採用。

 格安のコンビニスイーツや、600円程度で販売される大手ファミレスのフルーツかき氷との競争は酷なものであったといえるでしょう。

日本の「気候」も敗因ネックに

 もうひとつの理由は日本の「気候」が挙げられます。

 日本と同様に多くのコンビニが街角にあるにも関わらずコールドスイーツチェーンが根付いている国・地域を見ていくと、台湾や香港など日本よりも平均気温が高いところが目立ちます。

 とはいえ、台湾であっても台北の1月の平均最高気温は19度。アイスクリームの売り上げが増えるのは気温が23度ほどまで上がった時点だといい、台湾でも秋冬はアイスクリームの売り上げは芳しくないと思われます。

 そこで、台湾のアイスモンスターが冬季限定で展開しているのがホットスイーツやホットドリンク「HOT MONSTER」です。

 実は日本のアイスモンスターでも「HOT MONSTER ~ICE MONSTER meets VAN HOUTEN~」として期間限定でホットドリンクやフルーツフォンデュを展開していたほか、韓国発の「ソルビン」も「チーズピザトッポギ」などの期間限定でホットメニューを展開していました。

 しかし、どちらも「フルーツかき氷を食べに行く店」というイメージが強すぎるためか、国内の店舗ではあえてホットメニューを頼む客は少ない印象で、あまり定着しないままの「日本撤退」となってしまいました。

8月31日まで明治神宮駅に出店

 アイスモンスターでは日本撤退を前に、8月31日(月)まで明治神宮(原宿)駅の1番出口前(イベントスペース「jing」敷地内)にキッチンカー店舗を催事出店。

アイスモンスターは「東京最後の店舗」として8月31日まで明治神宮(原宿)駅の1番出口前にキッチンカーを出店していた(画像:ウラカシ)



 また、関西では9月6日までJR大阪駅前のグランフロント大阪にも催事店舗を出店しており、後者では現在も通常店舗より価格を抑えた1000円以下のミニ商品の販売も行われています。

【画像】アイスモンスターの主力商品だった「マンゴーかき氷」を見る

画像ギャラリー

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