リポビタンDでおなじみ「大正製薬」が表参道のど真ん中に緑あふれる「公園カフェ」をオープンさせた理由

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リポビタンDでおなじみ「大正製薬」が表参道のど真ん中に緑あふれる「公園カフェ」をオープンさせた理由

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東京有数のおしゃれスポット、表参道。この街のど真ん中に2020年夏、カフェ店舗を備えた公園がオープンしました。手がけたのは大正製薬。なぜ大手製薬会社が公園を? その理由を知りたくて、現地に足を運びました。

表参道交差点に現れた公園スペース

 2020年夏、東京メトロ表参道駅のすぐ目の前に、カフェ店舗を備えた公園スペースがオープンしました。都心ではなかなか見掛けない、ちょっと腰を下ろしてひと息つける憩いの場。近隣で働く会社員や散歩途中の親子連れがふらりと立ち寄り、思い思いの時間を過ごしていきます。

 手がけたのは、「リポビタンD」や「パブロン」でおなじみの大正製薬(豊島区高田)です。なぜ大手の製薬会社が、この場所に公園とカフェをオープンさせたのでしょうか。

地上3mの高さから眺める街の表情は

 公園の名前は「RAIZIN R番地 OMOTESANDO PARK(ライジン アールバンチ オモテサンドウパーク)」。

 ご存じRAIZINは同社が展開するエナジードリンクのブランド名で、現在発売中のシリーズはカフェイン・カロリー・糖類ゼロというのが特長です。この商品をPRするのが開園の主目的ですが、何も知らずに訪れても十分満喫できる空間と言えそうです。

表参道の交差点にオープンした「RAIZIN R番地 OMOTESANDO PARK」(2020年7月29日、ULM編集部撮影)



 例えば、公園の大部分を構成する階段状のスペース。気持ちの良い木製素材と芝生で組まれていて、晴れた日には思わず腰を下ろしたくなる開放感です。

 17段を上り切った最上部の高さは、地上から約3.2m。植栽に囲まれたベンチに座って人や車が行き交う表参道の交差点を見下ろすと、都会の騒がしさからちょっとだけ距離を置いた心地よさと、都会のど真ん中とは思えないリラックス気分を味わえるはず。

 周囲に並ぶ木製ベンチは高低差の付いた緩やかな曲線のあるデザインなので、晴れた日はこれに背中を預けてちょっとウトウトするのも気持ち良さそうです。

ショウガ入りのメニューが多いワケ

 そして併設のカフェも目玉のひとつ。

 ドリンクメニューは、RAIZINを緑茶やオレンジジュースで割るという斬新な飲み方を提案するノンアルコールカクテルから、夏季限定「ライジン スウィーティーレッド」を使ったカクテルまで多彩。もちろんコーヒーなども取りそろえています。

 それらのドリンクと一緒に楽しみたいフードメニューは、ふわふわのスクランブルエッグを挟んだ「オムレツオモテサンド」や、大人の男性も満足できそうな三元豚とんかつサンドなど、こちらも充実のラインアップ。

表参道をもじったOMOTE SANDというネーミングもかわいい(画像:大正製薬)



 多くのレシピにショウガが使われているのは、RAIZINがカフェインの代わりに採用している新素材「エネキストラ」が、アジアの伝統料理に使われるショウガ科の植物・ガランガルから抽出した成分であることを表現しているから。

「10~20代の若者が中心のエナジードリンク市場ですが、RAIZINに関しては、若者だけでなく30-40代の愛飲者も多いのが特長です。新しいRAIZINの商品特長が支持されているのではないでしょうか。そうしたブランドコンセプトをこの公園でも体現できるよう、メニューやカフェの内装にも自然のテイストを多く取り入れました」

 そう話すのは、大正製薬マーケティング本部の高木憲一郎さんと安部美保さんです。温かみのある木製テーブルが並ぶ店内インテリアのほか、今どき欠かせない「SNS映え」を意識して、ドリンクの鮮やかな色彩やサンドのかわいらしい断面にもこだわったといいます。

こんなにいろんな人がいる街だった

 6月27日のオープン以降、高木さんと安部さんには意外な驚きがあったといいます。それは、この場所を利用する人の年代や性別が実にさまざまだということ。

オリジナルドリンクやフードメニューが楽しめるカフェ(2020年7月29日、ULM編集部撮影)

「実際にオープンしてみると休日に親子連れが遊んだり、友人同士のグループがいたり、ひとりで訪れる人がいたりと、本当に幅広い方々に利用いただいています」(高木さん)

「表参道というと若い女性の街というイメージでしたが、こんなにさまざまな表情を持っているとは、とあらためて気づかされました」(安部さん)

ふと立ち止まる時間が欲しいときに

 自由にくつろげるスポットは、都心部になればなるほど見つけるのが難しい貴重な空間。誰もがせわしなく行き過ぎる表参道の交差点にRAIZIN R番地がオープンしたことで、ふと足を止めて腰を下ろす“小休止”の時間が生まれました。

地上約3mから眺める表参道の交差点。この高さから見下ろす機会は今までなかった(2020年7月29日、ULM編集部撮影)



 そういえば、こんなにゆっくり表参道の街を眺めたことって今までなかったなあ……。そんなちょっとした気づきとともに、いつもと違う街の表情を発見するきっかけの役割も、この場所は果たすのではないでしょうか。

 公園のテーマは「Refresh & Reboot」。頭と体をちょっと休めて、また再起動する。忙しい毎日を送る都会人にこそ、そんな時間が必要なのかもしれません。

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