コロナ禍で大注目の「テイクアウト」に、他人は一体いくら支払っているのか

  • ライフ
コロナ禍で大注目の「テイクアウト」に、他人は一体いくら支払っているのか

\ この記事を書いた人 /

稲垣昌宏のプロフィール画像

稲垣昌宏

ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員

ライターページへ

コロナ禍以降、大きな注目を集めたテイクアウトメニュー。そんなメニューに、消費者たちはいったいいくらくらい金額を払っているのでしょうか。ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の稲垣昌宏さんが解説します。

都内人気店も続々参入

 都内で六本木などに3店舗を展開する、ニューヨークスタイルのステーキハウス「ウルフギャング・ステーキハウス by ウルフギャング・ズウィナー」。

 同店は2020年に入ってからテイクアウトやデリバリー用のメニューを充実させ、また各種アプリの導入やタクシーによるデリバリーなど、新しい試みに次々と取り組んでいます。

テイクアウトメニューのイメージ(画像:写真AC)



 背景にあるのは新型コロナウイルスの感染拡大で、店舗での外食に一定の制限がかかったことがあげられます。

 テレビなどメディアでも、行列ができるほどの人気店がテイクアウトに参入していることや、人気メニューが連日報道されています。

 筆者(稲垣昌宏)が上席研究員を務めるホットペッパーグルメ外食総研は、全国的に緊急事態宣言が発令されていた5月の飲食店のテイクアウトに関する実態について調査しました。

テイクアウト利用者、30代女性で70%超

 まずはテイクアウトの実施率ですが、5月に一度でも飲食店から料理のテイクアウトを行った人は58.1%でした。

 性年代別は、20~30代女性と30代男性のテイクアウト利用者が目立ち、30代女性で70.2%、20代女性で66.1%、30代男性で63.8%でした。

2020年5月に飲食店から食べ物や飲み物をテイクアウトした業態(画像:リクルートライフスタイル)

 業態別で最も多かったのは「ファストフード」で24.8%、2位は「牛丼、カレー等、一品もの専売業態」で16.0%、3位は「和食料理店」で12.6%、僅差で4位が「ファミリーレストラン、回転すし等」で12.4%などとなっています。

典型的なテイクアウトの食事形態とは

 それでは、どのような食事のテイクアウトが多く利用されているのでしょうか?

 テイクアウト利用の食事シーンを聞いたところ、「夕食」が最多で69.5%、また「昼食」も53.0%ありました。

 食事の相手は「家族・親族(19歳以上のみ)」が最多で28.4%、「夫婦2人で」が23.7%、「1人で」が22.1%、「家族・親族(小学生以上18歳以下の子を含む)が20.2%となっています。

テイクアウトメニューのイメージ(画像:写真AC)

 また、食事の場所は「自宅」が圧倒的に多く95.8%。テイクアウト利用者の多かった20~30代女性は「昼食」での利用が多く、同じく利用の多い30代男性は「1人で」「家族・親族(未就学児を含む)」が多かったことが特徴として挙げられます。

 これらをまとめると、最も典型的なテイクアウトでの食事は

・自宅で
・夕食に
・家族、親族と

食べていることになります。

 これらの調査結果は、新型コロナウイルスによる自粛期間中においても、大手のファストフードチェーンの売り上げが前年超えしたニュースとも整合性がある結果となっています。

利用動機は「安全」「作るのは手間」など

 テイクアウトを利用した動機で最も多かったのは「持ち帰って食べるほうが、自分や家族が安全」で45.9%、2位は「毎食、家で作るのは手間がかかる」で45.2%、3位は「定期的に食べたくなるメニューがある」が41.2%、4位に「自分では調理しにくい・できないメニューが楽しめる」が36.3%という結果でした。

テイクアウトメニューのイメージ(画像:写真AC)



 利用動機については男女でスコア差が大きく、女性のほうが多くの利用動機を持っている傾向があります。

 例えば「持ち帰って食べるほうが、自分や家族が安全」は30~60代女性、「毎食、家で作るのは手間がかかる」は20~40代女性、「自分では調理しにくい・できないメニューが楽しめる」は20~30代女性、「自炊で食べられるものに飽きた」は20~50代女性で多いなど、各年代で複数項目において支持する割合が高くなっています。

 安全であることはこの時期の必須要件として、その他の利用動機に注目すると、女性は「料理の手間からの解放」、男性は「定期的に食べずにいられないメニュー」が、テイクアウト利用の動機として大きいことがわかりました。

テイクアウトは外食より1000円以上もお得

 最後に費用について聞きました。

 テイクアウトの単価(ひとり一食分あたり)について、平均額が最も高かったのは「夕食」で平均1708円でした。次いで、「昼食」が平均1054円、「夜食」が平均971円、「朝食」が平均575円となっています。「喫茶、おやつ、間食」は平均673円です。

食費のイメージ(画像:写真AC)

 性年代別は「夕食」で60代女性が平均2107円と最も単価が高く、「昼食」で60代男性が平均1227円と最も単価が高いという結果でした。「夕食」「昼食」とも60代が男女それぞれで最も高い平均単価となっており、逆に単価が最も低かったのは、「夕食」が20代女性で平均1541円、「昼食」が40代女性で平均952円です。

 弊社の別調査は、外食で行う夕食の平均単価は平均2589円(2018年度、飲酒する場合も含む)となっています。夕食のテイクアウト予算が平均1708円と聞くとけっこう高額に思える人も多いと思いますが、外食することに比べて、平均で1000円以上も節約できることになります。

 今の時期は魅力的な店舗の、魅力的なメニューをお得に楽しむことができるテイクアウトも上手に活用して、ウィズコロナ時期の食生活を充実させていきたいものですね。

●調査概要
調査方法:インターネットによる調査
調査対象:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県)、東海圏(愛知県、岐阜県、三重県)に住む20~69歳の男女
調査対象:夕方以降で1日2軒までの外食・中食
調査期間:2020年6月1日(月)~2020年6月9日(火)
有効回答数:平均1万136件(首都圏5820件、関西圏2771件、東海圏1545件、補正後数値)
※調査結果は、平成30年人口推計に基づく割り付け(性年代別10区分 × 地域別25区分 = 250セル)別の構成比に合わせてサンプル数を補正したウエートバック集計を行っている。

関連記事