「また参加したい」の声続々、乾杯しながらお絵描きする「ペイントパーティー」に潜入
「とても楽しかった」「友達も誘ってまた参加したい」ーーそんな声が次々と寄せられている「ペイントパーティー」。東京都内を中心に開催を重ね、評判が広がっています。乾杯しながら絵を描くことがどれほど楽しいのか、実際のパーティーにお邪魔して確かめてみました。デッサンなし。初心者でも塗り絵のように描ける 東京を中心に、各地で開催されている「ペイントパーティー」が盛況です。飲み物を片手にお絵描きを楽しみながら、参加者同士が交流するという内容で、銀座、新宿、渋谷、池袋、横浜などの飲食店を会場に、毎週末に複数のイベントが開催(2019年1月現在)。参加者の約3割がリピーターで、クチコミを通じて参加者の輪が広がっているといいます。12月の週末、銀座で開かれたイベントを訪ねました。 描き方のコツを説明する、講師のマウリシオ・ゴメス・ロチャさん(ULM編集部撮影) この日の課題は、ゴッホの「星月夜」。参加者は、日本在住の中国人を中心とした20~30代のグループ。以前ペイントパーティーに参加した人から仲間へとクチコミが広がり、参加希望者が多く集まったため、急きょ貸し切りになったといいます。 講師は、メキシコ出身の画家・壁画家、マウリシオ・ゴメス・ロチャさん。最初に空の青色を素早く塗り、その上に重ねて雲や月を描いて描いていく工程を説明。「月の色を塗るときは、夜空の色と混ざらないように、まず下地として白色を塗りましょう」など、分かりやすいアドバイスも。 初心者でも簡単に描けるよう、デッサンをせず、最初から塗り絵のように描いていけるように教え方を工夫しているといいます。 空の色を塗り始める参加者。ペイントパーティーは、画材などの準備が不要で、エプロンや筆、絵の具なども貸し出してくれる(ULM編集部撮影) 絵を描くイベントではあるのですが、基本はあくまでパーティ。下地の絵の具が乾くのを待つ間、飲み物を手におしゃべりを楽しんだり、お互いのキャンバスを見せ合ったりしながら、ワイワイと話が弾みます。 絵を描く合間に飲み物で乾杯する参加者(ULM編集部撮影) パーティーも後半に差しかかり、絵の工程も進んでくると、パーティーはいっそう熱を帯びてきます。同じ作品を手本に描いていても、参加者ごとに違いが現れてきます。 「上達」ではなく、絵を一緒に楽しむことがゴール「上達」ではなく、絵を一緒に楽しむことがゴール パーティ後半になると、絵を描くのが楽しくなってきたのか、口数が少なくなり、絵に熱中し始める人が続出します。なかには、講師の話を聞かないで、もとの「星月夜」とはかけ離れたオリジナル作品へと「脱線」していく人も。 絵に集中して筆を動かす参加者(ULM編集部撮影)ある男性参加者の作品。「だんだん楽しくなってきて、先生の話も聞かずに、どんどん自分の好きなものを描いてしまいました」と笑う(ULM編集部撮影) お手本から脱線していく参加者を見ても、講師のマウリシオさんは笑顔を絶やさず、次のように話します。 「自分好みにアレンジしたり、好きなように描いていってもいいんです。上手くなろうと頑張るよりも、まずは自分らしいダイナミックな絵を完成させる方が、満足度が高いはず。何より、参加者が生き生きと絵を書くことで喜んでいるのを見るのは、本当に楽しいです」 パーティ開始から2時間、全ての参加者が絵を完成させました。お互いの作品を見ながら笑い合い、最後に記念撮影も。 参加者に感想を聞いたところ、「普段は家でゲームばかりしているが、今日はとても楽しかった。また参加したい」(20代男性)、「この作品を自分で描いてみたかったので、とても楽しかった」(20代女性)、「もっと上手くなりたい。友達を誘って、また挑戦してみたい」(20代女性)など、充実したひとときを感じているようでした。 完成した絵を見せ合う参加者(ULM編集部撮影) 取材では、「また参加したい」という複数の声を聞くことができました。絵を描くことを純粋に楽しみ、その喜びを分かち合えることが、参加者の満足度につながっているように感じられました。 ペイントパーティーを運営する、株式会社タリス副社長の木村征子さんにそのことを伝えると、「完成した絵は持ち帰れるので、自宅で絵を見る度に、パーティーの日の楽しい思い出がよみがえるのではないでしょうか」とつけ加えてくれました。 好評を集めるペイントパーティーは、活用の幅も広がっています。2017年にはFacebook Japanの社内交流を目的に、同社オフィスでペイントパーティーを実施、20代から50代まで幅広い男女の社員が参加したといいます。 「スタッフの人種も出身地もさまざまなため、お互いのことを知る良いきっかけになっているようです。企業で活用いただく場合、ふだんあまり話すことのない他部所の人との交流や、チームビルディングなどに役立つと思います」(木村さん) 通常のペイントパーティーは公式サイト「Painty」から事前申し込みをした参加者が集まるため、お互い初めての人同士が同席するケースもありますが、貸切利用であれば、都心ではなくお住まいの地域での開催なども対応できるといいます。2019年2月からは、名古屋でもペイントパーティーを開催していく予定です。 もともとは海外でさかんに行われていたといわれるペイントパーティー。参加者の声が広がるにつれて、日本でも新しい文化として多くの人に親しまれていきそうです。
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