渋谷駅から徒歩5分 そびえ立つ清掃工場 中はどうなっている? 見学会に参加してみた

2018年11月27日

お出かけ
ULM編集部

JR渋谷駅の新南口から徒歩5分の場所にある渋谷清掃工場。山手線の車窓からも見える同工場の中では、いったい何を行っているのでしょうか。取材しました。


JR渋谷駅の新南口から徒歩5分の好立地

 私たちが日々捨てている可燃ごみは清掃工場に運ばれた後、いったいどのように処理されているのでしょうか。渋谷区にある「渋谷清掃工場」(渋谷区東)でほぼ毎月開催されている個人見学会に参加して、その様子を見てきました。

渋谷清掃工場の脇を通る山手線(2018年6月15日、ULM編集部撮影)

 渋谷清掃工場があるのは、JR渋谷駅の新南口から徒歩5分の好立地。約9000平方メートル(東京ドームの約5分の1)の敷地内に、2001(平成13)年7月竣工の地下3階・地上6階建の工場が建っています(見学者は1~4階のみ移動可)。

 1日あたり、200tのごみを焼却できるため、渋谷区が収集する可燃ごみの収集量(約4万8000t、平成28年度)は余裕をもって処理できるようです。敷地内にある煙突の高さは、なんと149m。工場の横を走る山手線の車窓から見て、驚いた人も少なくないでしょう。

渋谷清掃工場の入口付近の様子(2018年6月15日、ULM編集部撮影)

 見学には事前予約の電話が必要です。先着順で定員50人。当日、まずは4階の見学者説明室へ向かいます。この日は平日金曜ということもあって、参加者は7人(子ども1人)と少なめ。室内はだいぶ落ち着いた雰囲気です。工場を運営する東京二十三区清掃一部事務組合(清掃一組)によると、休日の見学会は親子連れで多くにぎわうといいます。

東京23区のごみと資源の流れを表した図(画像:東京二十三区清掃一部事務組合)

 見学者説明室ではまず、清掃一組のスタッフが本日の流れを説明。続けて、東京23区のごみ処理に関するDVDが約15分上映された後、見学会がスタート。まずは現在いる4階から1階の駐車場へ移動します。

子どもに大人気のごみ収集体験

 1階駐車場で参加者を待っていたのは、渋谷区清掃事務所のスタッフとごみ収集車。見学会のためにわざわざ駆け付けてくれたとのこと。ここでは、ごみ収集車を使った収集体験を行うことができるようです。ごみ収集車は、体験用にカッティングが施された特別車で、名前は「ごみえる君」。小学生の環境学習にも使用されているそうです。

ごみ収集車を使った収集体験に参加する親子連れ(2018年6月15日、ULM編集部撮影)

「どなたか、やってみたい方いらっしゃいますか」

 事務所スタッフの声に勢いよく手を挙げたのは、今回唯一の子連れ主婦。2tまでごみを積めるという収集車に、模擬用のごみ袋を一生懸命積み込んでいきます。

 収集車の側面部分がスケルトン状になっているため、荷箱の中に積み込まれたごみ袋がどのように入っていくのかが一目瞭然。続けて行われたテールゲート(荷箱を開ける扉)の開閉パフォーマンスは、大人でも楽しめるほどの迫力がありました。

ごみ収集車のテールゲートの開閉パフォーマンス(2018年6月15日、ULM編集部撮影)

 なお、事務所スタッフからごみ出しについてお願いも。「ごみは水分を十分に切ってから出してください」。収集時にごみ袋が破裂して、スタッフに汚水がかかるケースがあるからだといいます。皆さん、気をつけましょう。

臭気が漏れない工夫がスゴい

 収集体験のあとは、2階へ移動。ここからは清掃一組のスタッフによる案内で、工場内の設備を見学していきます。

 2階でまず目に入るのが、工場1階部分の「プラットホーム」の様子です。プラットホームとは、渋谷の街からごみを集めてきた収集車が、「ごみバンカ」(ごみを焼却するまで溜めておく場所)にごみを投入する場所のこと。ここにはいくつかのゲートがあり、収集車はそこから次々とごみを投入していきます。

プラットホームの様子を眺める参加者(2018年6月15日、ULM編集部撮影)

 投入時の臭い漏れが気になりますが、そこはご安心を。ごみを焼却するための空気をごみバンカから取り入れているため、プラットホームの気圧は低く設定されており、ごみの臭いが外に漏れない作りになっているのです。気圧が低い方に流れる空気の特徴をうまく利用した作りといえます。お見事。また、出入口には自動扉とエアカーテンも採用しています。

最大出力4200キロワットまで発電できるという発電機室(2018年6月15日、ULM編集部撮影)

 次は蒸気タービンが設置された発電機室へ。ごみを焼却して得た熱エネルギーで発生させた蒸気を使って、最大出力4200キロワットまで発電できるそうです。得られた電力は工場内だけでなく、余ったぶんは電気事業者に売っているとのこと。ちなみにこの時点での出力は3070キロワットでした。

 続けて、炉室(給じん機と焼却炉)を見学します。給じん機は、ごみを砕いて焼却炉に供給する機械です。機械の外面のみのため、具体的な動きは見られません。

映像(録画)で流されている焼却炉内の様子(2018年6月15日、ULM編集部撮影)

 焼却炉内の様子も直接見ることはできませんが、その代わりに焼却時の映像(録画)がディスプレイで流されているので、おおまかなイメージはつかめます。画面全体が真っ赤なので、とにかく何かがすごい勢いで燃えていることだけは分かります。

 ちなみに、渋谷清掃工場で採用している焼却炉は「旋回流型流動床焼却炉」というタイプのもの。工場のパンフレットには以下の説明文があります。

流動床焼却炉の仕組みを示した図(画像:東京二十三区清掃一部事務組合)

「焼却炉の中に砂を入れ下から空気を吹き込むと、砂は沸騰したお湯の様に躍り出します。この状態の砂を600~700度に熱し、その中にごみを投入して完全燃焼するのが流動床炉です」

 イマイチよく分からないので、清掃一組のスタッフに尋ねてみると、「石焼き芋を作るようなイメージでしょうか」とのこと。分かるような分からないような感じですが、この焼却炉は渋谷清掃工場のセールスポイントのひとつになっているようで、とにかく高性能なようです。

工場内に設置されたスラグに関する説明文(2018年6月15日、ULM編集部撮影)

 この焼却炉を使って、ごみを850度以上の高温で24時間連続して焼却すると、ダイオキシン類の発生を抑えられるそう。なお、可燃ごみの焼却灰は、溶かすと「スラグ」と呼ばれる砂状の物質になり、土木資材にリサイクルできるとのこと。焼却灰はそのほかにも、セメントの原料として使われているそうです。

収集されたごみは深さ14mの穴の中へ


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