意外と知らない? 東京ドーム「地下」にはいったい何があるのか

プロ野球やコンサートなど、さまざまなイベントにも利用される東京ドーム。そんな東京ドームの地下にはいったい何があるのでしょうか? 知られざる秘密に迫ります。

知っているようで知らない地下

“地上最強の男”を目指して、さまざまな強敵と戦う範馬刃牙(はんまバキ)が主役の格闘漫画『刃牙』シリーズ。己の肉体と技術だけで最強になろうとする男たちのバトルは読者の胸を打ち、熱く燃えあがらせてきました。2021年9月に連載30周年を迎え、もはや日本でもっとも有名な格闘漫画といっても差しつかえないでしょう。

 そんな『刃牙』の主な戦いの舞台は、東京ドーム(文京区後楽)の地下6階に隠された地下闘技場です。現実ではプロ野球やコンサートなど、さまざまなイベントにも利用される東京ドームですが、

「地下には何があるのか?」

と考えたことがある人は、さほど多くないのではないでしょうか。むしろ誰もが意識しない死角だからこそ、『刃牙』で秘密裏に開催される裏格闘大会の舞台になっているのかもしれません。

東京ドーム(画像:写真AC)



 そこで今回は、東京ドームの地下の様子をご紹介します。あの大きなドームの真下には何が潜んでいるのか。この機会に、普段は見えない世界をご覧ください。

東京ドームは地下2階

 東京ドームは、日本初の屋根つき多目的スタジアムとして日建設計(千代田区飯田橋)と竹中工務店(大阪市)が設計し、1988(昭和63)年に開業しました。「東京ドーム何個分」の例えでよく使われる面積は4万6755平方メートル。高さは地上56.190mとなっています。

 設計の特徴としてはドーム内に取りこんだ空気の圧力で屋根を支える、エアー・サポーテッド・ドーム構造が挙げられます。屋根で雨風を防げるので、野球やコンサートといった大型イベントを、天候に左右されず開催できるのが強みです。

『刃牙』シリーズの『バキ道』11巻(画像:板垣恵介、秋田書店)

 階数は地上6階、そして地下2階です。『刃牙』作中でも空手家・加藤が言及していますが、現実の東京ドームは地下2階までしかありません。

 その地下2階のスペースに東京ドームならではの秘密があるのです。

雨水を活用するエコ貯水槽

 まずひとつ目の秘密は、東京ドーム地下に設置された貯水槽です。

 地下の貯水槽では災害への備えとして消防用水をためており、その量はなんと1000t。さらにトイレの洗浄水なども貯水槽から出されているなど、まさに東京ドームの水の要といえます。

貯水槽のイメージ(画像:写真AC)



 貯水槽の水源のひとつは、自然に降った雨。まず東京ドームを覆う屋根膜に落ちた雨水は、そのまま地下に流して防災用水とドーム内用水に振りわけます。ドーム内用の雨水は中水道装置を通してろ過し、ドーム内で再利用する仕組みです。

 貴重な水を無駄にしない、とてもエコな貯水槽です。この雨水再利用システムは全国的に評価されており、国土交通省でも水資源を有効活用する例として、『河川事業概要』で言及されるほどです。

 なお、雨水の再利用先は主にトイレの流し水です。飲み水やお手洗い用には使われていませんのでご安心を。

グラウンド地下に隠された自転車競技バンク(競争路)

 東京ドームが建っている場所には、かつて後楽園競輪場がありました。後楽園競輪場は、都公認の競輪ギャンブルで、大いににぎわっていましたが、1973(昭和48)年の都営競輪廃止をきっかけに衰退。後楽園競技場と改称し、夏期はプール、冬期はゴルフ練習場として営業していましたが、1984年に閉場しました。

東京ドーム(左)と1963年頃の後楽園競輪場(画像:国土地理院、時系列地形図閲覧ソフト「今昔マップ3」〔(C)谷 謙二〕)

 かつて同じ場所に競輪場が存在した名残なのでしょうか。東京ドームの主役である屋内グラウンドの地下には、1周400mの自転車競技用バンクが隠れています。グラウンドの芝を撤去して1からコースを組みたてるため、バンクを作るには19時間もの長い作業が必要とのこと。

「東京ドームで自転車?」と、あまりピンとこない人もいるかもしれません。ですが、東京ドームはかつて自転車にまつわるイベントで、よく会場として利用されていました。2008(平成20)年には北京オリンピック自転車競技選手団の壮行会にも使われ、東京の自転車イベントを受けとめる土台として機能していたのです。

 近年ではスケジュールなどの事情から東京ドームのバンクは使われておらず、東京2020オリンピックでも日の目を見ることはありませんでした。いつかまた、その姿を私たちに現す日はくるのでしょうか。

地下40mを走る南北線

 東京一帯を毛細血管のように駆けめぐる地下鉄は、都心の地下を考えるうえで外せない存在です。しかもその地下鉄が東京ドームの真下を走っているとなれば、なおさらではないでしょうか。

 東京ドームの最寄り駅は、東京メトロ南北線の後楽園駅です。後楽園駅から一駅隣の飯田橋駅へ向かう際に、南北線は東京ドームの真下をその名のとおり、南北を横断するルートで通過します。

東京メトロ南北線の後楽園駅(画像:写真AC)



 なぜ、地下鉄が東京ドームの真下を走っているのでしょうか。南北線の歴史を記した『南北線建築史』によると、その原因は、東京ドーム近隣の小石川後楽園にありました。

 小石川後楽園は特別史跡に指定されており、その地下を掘りすすめる工事は不可能でした。小石川後楽園をよけて南北線をつなげるルートとして、東京ドームの地下に白羽の矢が立ったのです。

 ちなみに東京ドーム地下を通過する路線は地下40mの位置にあり、階層でいうとなんと地下6階。なんの偶然か、『刃牙』の地下闘技場と同じ地下6階なのです。刃牙たちが闘技場で死闘を繰りひろげているそのすぐ横では、地下鉄がガタンゴトンと走っているのかしれません。

地下から見える東京ドームの1面

 大興奮のスポーツや華やかなイベントに隠れた、東京ドームの地下。いつもは気にしないそこをのぞいてみると、東京ドームの新たな1面が見えました。東京ドームを訪れる際は、目に見える地上の建物や催しだけでなく、地面の下にも思いをはせてみてはいかがでしょうか。

2022年3月から始まる「連載30周年記念 地上最強刃牙展ッ!in東京ドームシティ」(画像:板垣恵介、東京ドーム、秋田書店、キャラアート)



 当然ですが、『刃牙』で描かれた地下闘技場は現実の東京ドームには存在しません。しかし、2022年3月から東京ドームシティで開催予定の「連載30周年記念 地上最強刃牙展ッ!in東京ドームシティ」では、実物大の地下闘技場を再現するプロジェクトが進行中です。

 数々の名勝負を展開した地下闘技場をその目で見たい人は、ぜひチェックしてみてください。

【1987年撮影】懐かしの「後楽園球場」を見る

画像ギャラリー

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