東京に誕生 自称「日本一心地良い」喫煙所ってどんな場所? 狙いを聞いてみた

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東京に誕生 自称「日本一心地良い」喫煙所ってどんな場所? 狙いを聞いてみた

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東京都内に「日本一心地良い」ことを自認する喫煙所が誕生しました。一体どのような場所で、どのような狙いがあるのでしょうか。

「喫煙のイメージを刷新したい」

 日本国内における喫煙者の割合は年々減少し続けています。

街角で見掛ける喫煙所。あなたはどんなイメージを持っていますか?(画像:写真AC)



 日本たばこ産業(JT。港区虎ノ門)の「2018年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の喫煙率は27.8%、女性は8.7%。男性に関しては1968(昭和43)年の83.7%と比べて55ポイント以上減少したことになり、この半世紀でのすさまじい変化を見て取ることができます。

 とはいえ男性の約4人にひとり、女性は約11人にひとりの喫煙者がいる以上、公共空間における喫煙所が今も必要スペースであることは間違いないでしょう。

コロナ禍にも見られたマナー違反

 2020年4月1日(水)に改正健康増進法が全面施行されたことで、屋内が原則禁煙となったほか、多くの利用客が出入りするためコンビニでは店頭の灰皿を撤去した例が数多くあります。

1965~2018年までの成人喫煙者の性別・年代別の推移(画像:健康・体力づくり事業財団)

 一方で、新型コロナウイルスが国内で猛威を振るった同月はいわゆる「3密」を防ぐためとして東京都が公衆喫煙所の一時閉鎖などを要請。

 その結果、外出自粛期間中で街の人出は激減しているにもかかわらず閉鎖喫煙所周辺にポイ捨てされたたばこの吸い殻が散乱するなど、あらためて喫煙者のマナーが問われることになりました。

 非喫煙者がたばこを疎ましく感じ、時に強く嫌悪する理由には、こうしたマナー違反行為をはじめ「副流煙の臭いが好きではない」「喫煙者の服や持ち物に付いたたばこの臭いが嫌」などがしばしば挙げられます。

 健康増進法が施行された今、喫煙者にとって分煙の徹底はもちろんのこと、臭いエチケットにもいっそう気を配りたいところ。

 そんななか「喫煙のあり方をイノベーション」し「日本で最もココチよい喫煙所」を自認する喫煙スポットが東京都内にオープンしました。一体どのような場所なのでしょう。

服への臭い移りが少ない排煙設備

 場所は、千代田区神田と港区赤坂のいずれもオフィスビル内の計2か所。

「THE TABACCO」と名付けられたこの喫煙所イノベーション・プロジェクトを担当するコソド(渋谷区円山町)担当者によると、特長は次の三つです。

1.利用者がぎゅう詰めになって煙が充満することを防ぐため、ゆとりあるスペースを確保

2.おしゃれなカフェにいるような、ミニマルで落ち着きのあるデザインの導入

3.排煙・集じん設備と冷暖房を駆使し「これまでの室内喫煙所になかったほどクリーンな環境」を実現

「日本で最もココチよい喫煙所」をうたう喫煙スポット(画像:コソド)



 特に3番めの臭い対策に関しては、導入するビルによって導入設備などの条件が異なるため一概に数値化はできないものの、複数の喫煙者・非喫煙者に喫煙所内の臭いをかいでもらう調査を行い、「煙たい、という印象はない」「従来の喫煙所のように服に臭いが移ることが少ない」といった感想を得たとのこと。

 また喫煙所の隣には、コーヒースタンドを設けて飲み物やたばこの販売も行っているそうです。

あえてパステルカラーの関連商品

 さらにもう1点、興味深いのは、同プロジェクトのためのオリジナルTシャツ(長袖)やトートバッグも展開していること。

 イラストレーター・金安亮(かねやす りょう)さんによるデザインで、ビル群と緑が同居するアーバンな空間に女性が寝そべりリラックスした様子でたばこをたしなむ風景が描かれています。

同プロジェクト「THE TABACCO」の関連商品のロングTシャツ(画像:コソド)

 喫煙とオリジナルTシャツにどんな関係が? と思うかもしれませんが、こうした商品展開にも「喫煙のあり方をイノベーション」するという同プロジェクトの意図が込められているのだとか。

 同社の担当者によると、同プロジェクトで目指すのは、喫煙者にとっても非喫煙者にとっても「心地よい都市空間」を創り出すこと。そのためには、「昨今ますます肩身が狭く、街の隅へと追いやられがちな喫煙所のあり方をあらためて見直すことが有効なのでは」と指摘します。

 色で例えるなら灰色や焦げ茶色といったイメージを抱かせる喫煙を、あえてパステルカラーの洗練されたイラストで表現した商品展開も、そうしたプロジェクト意図を体現するひとつ。

「喫煙者が積極的に立ち寄りたくなる喫煙所を設けることが、結果として路上喫煙やポイ捨てなどのマナー違反を減らしていくことにもつながるはず」と考えているといい、今後2020年中にあと2か所、翌2021年には13か所、同種の喫煙所を東京都内に開設していく予定といいます。

誰にも心地よい都市空間作りとは

 たばこは健康を害するという共通認識が社会に浸透した今、非喫煙者が「副流煙を吸いたくない」と考えるのは当然の権利。それをかなえるために改正された健康増進法でもあります。

 ただ一方で、喫煙そのものや喫煙者全体をむやみ一辺倒に批判しても、必ずしもマナーの向上や街の美化に直結しないことは、この間、私たちの社会が身をもって体験してきた通りです。

 であるならば、隅に追いやられがちな喫煙空間をあらためて捉え直し、前向きな方向へ再定義する方が、喫煙・非喫煙のすみ分けをより促してお互いにとっての心地よい空間作りにつながる――というのは、なるほど理にかなっているように思われます。

2020年5月に1万307人を対象に実施された「たばこに関するアンケート」の結果(画像:マイボイスコム)



 ネットリサーチのマイボイスコム(千代田区神田錦町)が2020年5月1日(金)から5日(火)までに行った直近調査(1万307人対象)では、喫煙者の割合は17.6%。

 喫煙者が普段吸っているたばこのタイプを問う質問では、「紙巻たばこ」が83.9%と圧倒的。アイコスなどの「加熱式たばこ」は31.7%でした(複数回答)。

 2020年4月に施行された改正健康増進法の認知率は74.0%。同法により店舗や施設などの屋内が全面禁煙になることについては、「賛成」「どちらかといえば賛成」が計80.0%を占め、「反対」「どちらかといえば反対」は7.1%にとどまりました。

 また、屋内全面禁煙による生活面での変化については、「外出の際にたばこを持ち歩かなくなり、自宅でしか吸わなくなると思う」(男性31歳・喫煙者)、「今まで(たばこの煙が嫌で)避けていた飲食店に行くかもしれない」(女性28歳・非喫煙者)などの声があがっています。

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