大ヒット映画の聖地、日本唯一の「気象神社」も！高円寺氷川神社―東京神社案内【4】

　高円寺氷川神社は、埼玉県や東京都に200社以上ある氷川神社の一つで、御祭神は素戔嗚尊（スサノオノミコト）です。そして境内には、日本で唯一という「気象神社」があり、映画『天気の子』の聖地としても知られています。今回は、禰宜の紺谷大進さんに神社を案内していただきました。

「映画『天気の子』の人気で、境内にある気象神社には国内外から多くの参拝者が訪れるようになりましたが、氷川神社は源頼朝公による奥州征伐の際に創建され、農業の神としてこの地で信仰を集めていました」（紺谷さん）

　もともと気象神社は、1944（昭和19）年に、杉並区馬橋地区にあった旧日本陸軍の陸軍気象部の構内に創建され、気象予報を行う観測員が予報的中を祈願したといいます。そして戦後に高円寺氷川神社に移されました。

「気象神社は戦後、GHQの神道指令で撤去されるはずでしたが、調査漏れにより残されたようです。そして、先々代の宮司が受け入れることになり高円寺氷川神社に遷座されることになりました」（紺谷さん）

　気象神社で祀（まつ）られているのは八意思兼命（ヤゴコロオモイカネノミコト）です。日本神話では、天照大神が「天の岩戸」に隠れ世界が暗闇になる「岩戸隠れ」で、八意思兼命は岩戸から天照大神を出す知恵を出します。

「天照大神は太陽の神ですので、世界に太陽を取り戻した八意思兼命は『気象の神』として祀られました。また名前の『八』から晴、曇、雨、雪、雷、風、霜、霧の八つの気象条件を司ることができるとされています」（紺谷さん）

　気象神社は、その名の通り気象に関する祈願成就のために参拝者が訪れますが、その目的は必ずしも「晴天」祈願だけでは無いようです。

「やはり晴天祈願の参拝者が多いのですが、気象予報士の合格祈願や、『天気の子』の聖地巡礼の方もいます。晴天祈願は横浜DeNAベイスターズさんをはじめ、屋外スポーツ関係者やイベント会社の方も多く祈祷に訪れます。面白いのはエアコンメーカーさんが『猛暑』祈願に来たり、タイヤメーカーさんがスノータイヤが売れるように『降雪』祈願に来たりします」（紺谷さん）

　高円寺氷川神社の御朱印はカラフルで凝ったデザインが人気で、遠方からも多くの方が求めに来るといいます。

「もともとはシンプルなデザインでしたが、デザイナーの提案でカラフルな御朱印となりました。以前は天候によって授与する御朱印が異なっていましたが、今では月替わりのデザインとなっています」（紺谷さん）

　授与品は、仕事や就職がうまくように祈願する氷川神社の「仕事守」、気象神社では晴天祈願の「晴守り」や、神社の名物猫だったミケさんをモチーフとした「みまもり」などが人気です。

　2022年、高円寺氷川神社では「高円寺お天気フェス」が開催され、クイズ大会や気象予報士によるトークショーが行われました。

「高円寺を『天気の街』にしようと、街おこしでフェスを開催しました」（紺谷さん）

　日本で初めて天気予報が行われた6月1日の「気象記念日」には、毎年例大祭が行われ、また境内には気象観測装置が設置されているなど、とことん天気にこだわっています。

「気象神社だけ参拝される方も多いのですが、まずは氷川神社を参拝してからお参りいただければと思います。今後、神社の入り口に気象予報の電子掲示板も設置する予定ですので、そちらにも注目していただければと思います」（紺谷さん）

■高円寺氷川神社(こうえんじひかわじんじゃ)
住所：東京都杉並区高円寺南4-44-19
TEL：03-3314-4147
参拝時間：早朝〜17:00
社務所受付：9:00～16:00（不定休）
アクセス：JR高円寺駅より徒歩2分
※最新情報は公式サイトをご確認ください