東京と神奈川の県境の一部に「妙にクネクネしたところ」があるのはなぜか【連載】東京うしろ髪ひかれ地帯(4)
2020年6月7日
知る!TOKYO東京と神奈川の県境を流れる多摩川。そんな多摩川に一部、奇妙な部分があります。いったいなぜでしょうか。都内探検家の業平橋渉さんが解説します。
ええ、ここも東京なの?
東京といっても、23区のような大都会ばかりではありません。奥多摩や高尾山に行くと東京の自然に驚かされますし、また地図を見ると妙なところが東京になっていることにも気づきます。
東京都と神奈川県の県境は、まさに複雑怪奇そのものです。東京に住む大半の人は、多摩川を境にして河口から北側が東京都で、南側が神奈川県だと思っているでしょう。
ところが、地図を見るとそうとは限らないのです。

多摩川を越える大師橋(川崎市)よりも少し上流、「大師の渡し碑」があるところでは、右岸の川崎市側に少しだけ東京都があったり、逆に二子玉川では左岸に神奈川県があったりします。この「奇妙な県境」はなぜ生まれたのでしょうか。
多摩川は本来の暴れ川だった
その理由は、多摩川の流路の変遷に関係しています。
2019年に発生した台風19号によって20か所あまりの護岸が壊れたことで、本来の多摩川は暴れ川であることが改めて認識されました。
山梨県甲州市にある標高1941mの笠取山を源に2000m級の山が連なる関東山地から流れ出す多摩川は、利根川や荒川と比べて流れが急勾配です。

そのため、ひとたび増水すると流れが強く、周囲に甚大な被害をもたらします。なお治水の行き届いていなかった江戸時代には、何度も洪水が発生しています。
多摩川では1907(明治40)年と1910年に相次いで洪水が起こり、流域に被害が出ました。これに対して現在の川崎市側の住民は1914年、神奈川県庁に押しかけて治水工事を要求。このときに住民たちが編みがさをかぶっていたことから、この出来事は「アミガサ事件」と呼ばれています。

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