IOCの東京五輪マラソン札幌開催案、あなたはどう思う? 衝撃と混乱が導く末にあるものとは

IOCが提案したマラソン・競歩の札幌開催案について議論が紛糾しています。いったい同案は適切といえるのでしょうか。フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


「スポーツに適した温暖な気候」がアダに

 開催を2020年に控えて準備が整えられてきた東京五輪ですが、ここにきてその開催・催行に暗雲が立ち込めています。その契機になったのは、IOC(国際オリンピック委員会)がマラソン・競歩競技を札幌で実施することを提案したことです。

オリンピックのマラソン競技のイメージ(画像:写真AC)

 2019年9月から10月にかけて実施されたカタールドーハのマラソン大会は、暑さ対策のために真夜中にレースをスタートすることになりました。それでも気温は30度を上回り、棄権者が続出。こうした事態に、IOCは危機感を強めました。

 近年地球温暖化の影響から、真夏は35度を超えることは珍しくありません。これほどの高温下で競技をすることは、命に関わります。真夏の東京で五輪を開催することについて、以前から一般市民や各種競技団体のほか、政界からも心配する声があがっていました。

 例えば、2014年の参議院特別委員会で、アントニオ猪木議員(当時)から疑義が呈されました。長らくプロレスラーとして活躍したアントニオ猪木議員は、スポーツ政策を推進していた政治家でもあります。それだけに、“アスリートファースト”を考えての指摘といえます。しかし、まっとうにも思えるアントニオ猪木議員の指摘に対して、東京都や東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は事態を重く受け止めませんでした。

 東京都や組織委員会が7~8月という真夏の開催に固執する理由は、招致の際に提出した立候補ファイルに「スポーツに適した温暖な気候」と記述したからです。開催時期ありきで招致したために、いまさら開催時期を変更・撤回できないのです。

 暑さを和らげるため、東京都や国土交通省は威信をかけてヒートアイランド対策に全力を挙げます。マラソンコースになる道路では、遮熱舗装という最新技術を用いて気温の上昇を抑えようとしました。しかし、目に見えた効果は出ていません。

 ほかにも過去の五輪大会を参考にし、スタート時間を早める変更を2度も行っています。しかしいくら時間を早めても、真夏の東京はマラソン・競歩に適している環境とは言いがたい状況です。有効な暑さ対策ができないまま、東京五輪の開催日は刻一刻と近づいてきます。そして、IOCがついに重い腰をあげた格好です。

真夏のマラソン・競歩 常に危険と隣り合わせ


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