深夜アニメ『イエスタデイをうたって』が描く、2000年代初頭の淡き東京の記憶
2020年4月30日
ライフ静かなブームを呼んでいる、深夜アニメ『イエスタデイをうたって』。世田谷を舞台に描いたこの作品の魅力は何でしょうか。法政大学大学院教授の増淵敏之さんが解説します。
作品タイトルはロックバンドの曲名から
この4月からテレビ朝日の深夜アニメ枠「NUMAnimation」(毎週日曜1時30分~)で放送が始まった、『イエスタデイをうたって』が静かなブームになっているようです。

作品の舞台は2000年代初頭のためか、どこかノスタルジックな雰囲気が漂っています。現在までわずか20年弱しかたっていないにも関わらずそう感じるのは、時代の加速度が増しているからかもしれません。
アニメの原作は、女性漫画家・冬目景(とうめ けい)による作品です。
1998(平成10)年から「ビジネスジャンプ」に不定期連載され、同誌休刊後、「グランドジャンプ」で連載を再開。2015(平成27)年まで続きました。その間、連載が途中で大きく空いたこともありますが、足掛け18年の長期連載作品となりました。
この作品のタイトルは、ロックバンド「RCサクセション」が1970(昭和45)年にリリースしたセコンドシングルのカップリング曲から取ったと言われています。
リアルな日常が中心の群像劇
冬目の描く画はデッサン風、作風は『黒鉄〈KUROGANE〉』『羊の歌』など、日常を描きつつ幾分ファンタジー色の強い、淡く叙情的な作風で多くのファンに支持されてきました。
しかし『イエスタデイをうたって』はリアルな日常が中心の群像劇で、ファンタジックなのはせいぜい、主人公のひとりであるハルが家でカラスを飼っていることぐらいでしょうか。
ちなみにカラスを実際に飼う場合には鳥獣保護法の関係上、自治体からの「鳥獣の捕獲等許可証」を取得しなければなりません。

冬目は一点もののイラストも多く手掛けており、こちらもファンが多く、これまでも数多くの画集を発表しています。『イエスタデイをうたって』関連では、2008(平成20)年の「イエスタデイをうたって画集―YESTERDAYS―」(集英社)、2015年の「イエスタデイをうたって画集―YESTERDAYS― 2」(同)があります。
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