金看板の「高カロリー路線」を撤廃? コメダ珈琲が銀座で「植物性メニュー」の店をオープンするワケ
ド派手なメニューが人気のコメダ どうもネット界わいには「コメダをキメる」という言い回しがあるようです。 「朝からコメダをキメてきた」 「コメダをキメねば夏は越せぬ」 ……ほかにもいろいろあるのですが、意味するところはカフェチェーンのコメダ珈琲店で、飲んだり食べたりするということ。 このような表現が生まれた理由のひとつに、同店メニューの「カロリーの高さ」があるようです。 バターたっぷりデニッシュパンにうずたかく盛られたソフトクリーム、そして甘~いシロップの3点セットがそろった名物「シロノワール」は、933kcal。そして1968(昭和43)年の創業から変わらず本社を置く名古屋の代表的味付け「みそカツパン」は、1298kcal。 ハイソでエレガントな東京の上品なカフェ文化を蹴散らすような、ド派手で手加減のない、そしてもちろんおいしいメニューの数々が人気を博して、今や全国に800店以上を数える人気チェーンへと成長を遂げています。 そのコメダ珈琲が2020年7月15日(水)、東銀座に「100%植物性メニュー」だけを提供する新しいカフェをオープンするとのこと。 あのコメダが植物由来メニュー。一体なぜ? そう思わずにはいられません。 「カフェ界のカロリー王」の称号を手放してしまうのでしょうか。真意を聞くべく9日(木)に開かれた事前試食会にお邪魔してみることにしました。 直径13cm 巨大なバーガーも植物性直径13cm 巨大なバーガーも植物性 東京メトロ・都営地下鉄の東銀座駅、5番出口の目の前に建つ銀座松竹スクエア1階にオープンするのが、「KOMEDA is □(コメダイズ)」東銀座店(中央区築地)。 店内は、古材で作った木のオブジェや自然の循環再生を表すビオトープ(水草などを配置した小池)があしらわれていて、植物への思いがひしひしと伝わってきます。 同社の事業開発部長・上石泰寿(かみいし あんじゅ)さんは冒頭のあいさつで、「コメと大豆がメインの食材であること」「『地球』とくつろぐ喫茶店を目指したこと」を強調しました。なるほど、だから店名はコメダイズなのですね。 この日の試食会で提供されたメニューは、2種類。 まず登場したのは、テリヤキソースがたっぷり絡んだパティに、トマトとアボカドのスライスがこれでもかとはさまった「アボ照り」バーガー。 とにかく大きいテリヤキバーガー。もちろん植物性。トマトとアボカドも新鮮(2020年7月9日、遠藤綾乃撮影) 直径13cmにもなる巨大なバーガーです。付け合わせにはホクホクのフライドポテトも。 ソースはみりんやしょうゆ、そしてみその風味が効いていて日本ならではの味わいが感じられます。大豆製のパティは、肉に遜色のない食べ応え。何せサイズが巨大ですから、ひと皿で大人の男性でも十分満足できる量・味に思われます。 ちなみにお値段は1080円(税込み)。 米粉だけで、もっちり、ふんわり 続いて運ばれてきたのは、国産の米粉を100%使用した「コメパンケーキ」塩メープル。 米粉で作られたパンケーキ。もっちり、ふんわり(2020年7月9日、遠藤綾乃撮影) メニュー開発を担当した、べっぴんプラス(名古屋市)の廣瀬ちえさんによると、米粉だけで作るパンケーキは食感が固くなりがち。そこで、お米と水で作られたライスジュレと呼ばれる材料を絶妙に配合し「もっちり」と「ふんわり」を実現したのだそう。 トッピング用のメープルシロップも豆乳で作ったホイップクリームも、もちろん植物性。ちょっとだけ振りかけられた塩が甘みを引き立てて、甘い物好きも納得の1品でしょう。 こちらもお値段は1080円です。 なぜ植物性メニューを作ったのかなぜ植物性メニューを作ったのか 植物性メニューのおいしさを存分に味わったところで、当初の疑問です。コメダ珈琲はなぜ今、このようなカフェをオープンさせることにしたのでしょうか。 開店に向けて同社の臼井興胤(うすい おきたね)社長が寄せたコメントには、次のような言及がありました。 「還暦を過ぎても365日肉を食べ続けてきた私の食生活が、温暖化や異常気象を含む地球規模の環境破壊につながっていることを知ってから、肉を休む日があっても良いのでは? と考えるようになりました。(中略)たまには、お肉を離れて100%植物由来のメニューでくつろいでみませんか?」 “肉食系”の社長が植物性に思いを致したのは、地球環境への配慮からでした。 事業開発部長の上石さんが言葉を継ぎます。 「地球温暖化の大きな原因のひとつは『家畜』だと言われています。牛を飼育することで温室効果ガスの主因とされるメタンガスが発生しますし、餌にする穀物や水、牧草地などを大量に消費するため、水質汚染や森林破壊にもつながるとされています」 ただし、そこはコメダ珈琲。 「たとえ地球にやさしい料理でも、おいしくなければ長続きしません。おいしさにも食べ応えにもこだわった自信はあります。どのメニューも100%植物性とは思えない、と感じていただけたらうれしいです」(上石さん) 大通りに面した全面はガラス張りの明るい店内(2020年7月9日、遠藤綾乃撮影) 地球環境に配慮して菜食を選ぶベジタリアンやヴィーガンといった人たちもいますが、まだまだ少数。同店が目指すのは「誰でも何気なく来店して、植物性とは気づかないまま、おいしい料理をおなかいっぱい食べてもらうこと」。 「大勢の人が気軽に関わってこそ、地球環境の改善は進んでいくものと思いますから」と、上石さんは話します。 ちなみに、植物性なのでカロリーは低いのかと、メニュー開発の廣瀬さんに尋ねたところ「カロリーを下げることよりもおいしさを重視しました」との返事。 カロリーを(あまり)気にしない方向性は健在のようです。よかった、とホッと胸をなでおろすコメダ珈琲ファンも多いのではないでしょうか。 ※ ※ ※ 同社が威信をかけて開店する100%植物性メニューのカフェ、コメダイズ。果たして熱烈なコメダファンたちからも支持を得て、「今日はコメダで植物キメてきた」と言われるようになるのでしょうか。 オープンは2020年7月15日(水)朝7時です。コメダの代名詞・モーニングのジャムなども、もちろん全て植物性です。
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