カレーマニアがあえて今「黄色いカレー」に注目するワケ
2020年3月8日
ライフ近年、華やかにデコレーションされたスパイスカレーがブームです。その一方で、オーソドックスな「黄色いカレー」がひそかに支持を集めていると言います。いったいなぜでしょうか。カレー研究家の小野員裕さんが解説します。
マニアの間でひそかなブームに
そば屋や食堂、中華料理屋に行くと「黄色いカレー」をたまに見かけます。このようなカレーは戦前から昭和の終わり頃まで全国のいたるところにありましたが、今は限られた店でしか提供されていません。
近年はやっている、華やかなデコレーションのスパイスカレーとは相反するその素朴な絵姿。しかし最近、マニアの間でひそかなブームとなっているのです。いったいなぜでしょうか。黄色いカレーの詳細とその歴史について、簡単に触れましょう。
そもそもどのようなカレーなのか
黄色いカレーのプロトタイプは、明治初頭にもたらされた「洋食としてのカレー」です。洋食としてのカレーはその後、徐々に日本風にアレンジされていきました。
1904(明治37)年、早稲田にあった「三朝庵」でカレー南蛮(うどん、そば、丼)が生まれました。周辺にあった洋食屋のカレーが人気となったため、店の客足が途絶えて危機感を覚えた店主が試行錯誤の末に生み出したと言われています。その後、全国のそば屋や食堂でも広く提供されるようになりました。

そば屋のカレーは基本的に、カエシ(そば、うどんつゆなどの元となるもの)をだしで伸ばし、カレー粉と具を入れて片栗粉でしめるのが伝統のスタイルです。それはみたらし団子のような餡(あん)で、やや褐色の透明感のあるものでいわゆる「カレー丼」。これは、黄色いカレーと少々異なります。
黄色いカレーのスープは、そばつゆやしょうゆ、塩などで整えて具を入れ、片栗粉ではなく小麦粉でしめると出来上がります。とは言っても、片栗粉でしめたものにも黄色いものもあるので、その選別はやや不鮮明です。
この調理法は、そば屋のカレー南蛮と洋食カレーが融合して出来上がったもので、いつ頃考案されたのかは定かではありません。洋食屋の複雑な工程で作るカレーより安直でおいしいカレーが作れることから、全国の食堂やそば屋で提供されるようになったと考えられます。
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