東京駅からワンコインで行ける! 高速バス「1時間プチ旅行」の知られざる魅力とは
東京駅から川崎市「東名向ヶ丘」バス停まで 全国各地を網の目状に結ぶ高速バス。東京からも多くの路線が発着し、中には10時間以上かけて青森県や福岡県まで行く路線もあります。一方、近場で気軽に利用できる高速バスもあり、鉄道との車窓とはまた違った車窓を楽しめます。 今回紹介するのは東京駅と静岡県や愛知県を結ぶ「東名ハイウェイバス」です。静岡や愛知はちょっと遠いと思う人も多いとは思いますが、この高速バス路線は途中のバス停での乗降が可能になっています。 その中でも東京駅から最も近い乗降可能なバス停「東名向ヶ丘」バス停(川崎市)までは所要時間40分、運賃は470円。ワンコインで手軽に高速バスの車窓から東京の風景を楽しむことができます。 では、「東名ハイウェイバス」はどのようなルートを走るのでしょうか。出発地点は東京駅にある東京駅高速バスターミナルです。このターミナルからは主にJRバスが全国各地へ向けて発車します。 東京駅の東京駅高速バスターミナル(画像:(C)Google) ひっきりなしに発着するバスのなかで今回乗るのは、東名高速方面に向かうバス。さらにそのなかでも便名に数字の便数のみついているか、「東名ライナー」という愛称がついているバスです。 基本的に静岡行き、あるいは浜松行きのJRバスが該当します。「スーパーライナー」という愛称がついている便は東名向ヶ丘バス停を通過してしまうので注意しましょう。 バスのチケットは当日東京駅のカウンターで買い求めてもいいですし、乗る便が決まっていればインターネット上にある予約サイト「高速バスネット」でも買い求めることができます。いずれにしても少し時間に余裕を持って乗るようにしましょう。 一般道とは違う風景を楽しもう一般道とは違う風景を楽しもう 東京駅を出たバスは外堀通りを南下します。左手では大規模再開発がおこなわれており、完成するとオフィスビルのほかに地下には大きなバスターミナルが設けられます。東京駅周辺には東京駅高速バスターミナル以外に高速バス乗り場がいくつかあり、それらを再開発ビルの地下にまとめる計画です。 バスは間もなく鍛冶橋交差点で右折、JR線をくぐり、東京国際フォーラム(千代田区丸の内)を左に見ながら丸の内のビル群を抜け、馬場先門交差点で今度は左折、日比谷通りを南下すると内幸町交差点で右折し、霞が関の官庁街を抜けます。 普段ニュースで映像は見ることはあってもどんな場所かイメージがつきにくい霞が関も、車窓から見ると少し身近に感じられるかもしれません。 官庁街を抜けると財務省上交差点でバスは左折し、首都高速の霞が関ランプから都心環状線に入り、間もなく谷町ジャンクションから3号渋谷線に入ります。バスの速度はあがり、左右の車窓には丸の内とはまた違った雰囲気のビルが目立ち始めます。車窓左側には六本木ヒルズ(港区六本木)も見ることができ、普段とはまた違った六本木の景色が楽しめそうです。 六本木を過ぎて、青山学院大学(渋谷区渋谷)の運動施設の下をくぐる「青山トンネル」を抜け、隣を走っている一般道が急に坂を下り、首都高速は高架の上を走り始めます。すると間もなく渋谷で、近年大規模再開発で誕生した高層ビル群も駅周辺よりも高い視点から楽しむことができます。 首都高速3号渋谷線から渋谷の高層ビル群を眺めるイメージ(画像:(C)Google) 渋谷を抜けるとまた地形がせり上がり、首都高速と同じ高さまで一般道が登ってきます。このあたりの車窓はめまぐるしく変わり、いかに渋谷の「谷」が深いかを高速バスから実感できるのではないでしょうか。 渋谷を過ぎると高い防音壁に挟まれた高架の上を再び走るようになりますが、六本木のあたりで見られたビルの雰囲気とはまた違い、オフィスだけではなくマンションも車窓に見られます。 また、首都高速を走る車に向けた広告看板も見えるように。カーブも少なく、先の見通しが効くようになるため、狭いビル群を割って首都高速が通っているようにも感じられる区間です。 ビルの高さが低くなり、宙が広くなってくると間もなく用賀料金所を通過します。 1時間弱のプチトリップを1時間弱のプチトリップを そして環状8号線を越えると、首都高速から東名高速に。よく見ていると、車線が片側3車線になり、1車線の道幅も広くなります。そのために首都高速より広々としたところを走り始めたようにも感じられます。首都高速と東名高速の道路規格の違いによるものですが、面白い車窓の変わり方です。 東名高速に入ると間もなく多摩川を渡り、神奈川県に入り、多摩丘陵の中を走ります。間もなく東京料金所があり、ゲートをくぐった直後にあるのが東名向ヶ丘バス停です。 東京料金所と東名向ヶ丘バス停(画像:(C)Google) 東名向ヶ丘バス停から東京方面に戻るには、いくつかの方法があります。 まずは反対側、東京方面の高速バスに乗る方法です。実は東名向ヶ丘では東名ハイウェイバスだけではなく、新宿と箱根を結ぶ小田急箱根高速バスも乗り降りできます。そのため、帰りは新宿方面に戻るというのもいいでしょう。 こちらのバスは交通系ICカードで運賃を支払うことも可能です。周辺の住民には新宿や東京へ向かうのに高速バスを活用するという人もいます。 周辺には一般路線バスもあります。東名向ヶ丘バス停から北に3分ほど歩いたところにある川崎市営バスの「東名向丘入口」バス停からは東急田園都市線、東急大井町線、南武線が集まる溝の口駅へ向かうことができます。他にも近くから東急田園都市線宮崎台駅に向かう路線バスに乗ることもできます。 今回は1コインで楽しめる高速バスの車窓を紹介してきました。ちょっと遠くまでは行けないけれど、遠くに行った気分を味わいたいときや違った東京の風景を見たいとき、そんなときは東京駅発の高速バスに乗って、1時間弱のプチトリップを試してみるといいかもしれません。
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