広尾の「小さなレストラン」に訪れた閉店の危機 店を救ったのは地域の「寂しくなるよ」の声だった
2020年1月31日
お出かけ渋谷区広尾にある小さなレストランが、2020年2月、共同オーナー制の創作料理レストランとして生まれ変わることになりました。一時は閉店の危機にひんしていた同店の再起の物語には、地域とのつながりを築き、さまざまな人と共同で事業を展開するためのヒントが満ち満ちています。
広尾駅から徒歩5分、路地の角にともる明かり
東京メトロ日比谷線広尾駅から徒歩約5分。小さな民家も立ち並ぶ広尾商店街から1本入った路地の角に、柔らかい明かりがともる1軒のレストランがあります。

店の名前は「カフェ ド マイ(cafe.de.mai)」(渋谷区広尾)。シェフ歴30年の田中舞さんが5年間ひとりで切り盛りしてきた同店は2020年2月3日(月)、共同オーナー制の「創作料理店 ケース(CASE)」としてリニューアルオープンを迎えます。一度は閉店の危機に見舞われた同店。その再出発を支えたのは、地域住民から寄せられる温かい愛情と、約40人の新しいオーナーたちでした。
たったひとりで店を経営し続けていく難しさ
もとはチュロス(洋菓子)ショップだった物件を、田中さんが居抜きで借りてレストランとしてオープンさせたのは2014年12月。数席が並ぶカウンターと、そのすぐ対面に田中さんの調理スペースがある小さな間口のお店です。
予約制の「シェフおまかせコース」を楽しむカップルや女性客がいる一方、近所の常連がちょっと1杯ワインをつまみで引っかけていく、気さくで温かみのあるレストランでした。
順調にファンを増やす一方で田中さんの悩みのタネとなったのは、たったひとりでお店を続けていくことの難しさ。お客さんに提供する料理作り、ケータリングの大口注文、食材の調達、経営管理……。お店2階の小部屋に寝泊まりするほど、多忙を極めたといいます。すべてをこなし持続させていく困難に直面し、お店を続けるかどうか、迷うようになったといいます。
「実はお店を閉めようかと思っているんだけど、食材用の冷蔵庫、要らなくなるから使う?」
2019年10月、田中さんがメッセージを送った相手は、古くからの友人である起業家の近藤威志(たけし)さんでした。「お店やめちゃうの? その前に今度食べに行くよ」。近藤さんが旧友の店を久々に訪ねたのは翌11月のこと。そこで初めて、田中さんが長らく抱えてきた悩みを耳にすることになります。
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