音楽でも古着でも阿波踊りでもない。実は高円寺、昭和レトロな「看板建築」の見本市だった
2019年12月20日
お出かけ高円寺といえば音楽や古着、サブカルチャー、阿波踊りなどのイメージがもっぱらですが、実は看板建築の街としても知られています。都市探検家の黒沢永紀さんが解説します。
都内屈指のバラエティ
新宿から中央線に乗って7分。JR高円寺駅の周辺は、古着を中心にした若者向け洋服店や雑貨店、廉価な飲食店、小規模なライブハウスや古本屋がひしめきあい、日本のインドとまで言われるほど、混沌とした魅力を放ちます。
そんな高円寺駅周辺は、実は種々雑多な看板建築が集積する、看板建築の見本市の様な場所でもあります。今回は、さまざまな魅力を放つ高円寺を、看板建築という視点で巡る話です。

高円寺という駅名は、駅の南口から程近いところにある、曹洞宗の寺院「宿鳳山(しゅくほうざん)高円寺」(杉並区高円寺南)に由来します。徳川三代将軍家光が鷹狩りの際に立ち寄った故事を持つ古刹で、寺の界隈はいささか閑静な雰囲気ですが、それ以外のエリアはおよそ寺町とはかけ離れた、高密度の商店街で埋め尽くされています。
特に商店街が細分化されているのが特徴で、南口駅前に広がる「南商店会」、その西に隣接して南に伸びるアーケードの「パル」と、その先から東京メトロの新高円寺駅まで続く「新高円寺通商店街」、通称ルック。パルとルックの接点から西へ伸びる「エトアール通り」というように、横文字の多めな商店街が広がっています。
かたや北口の商店街はすべて日本語表記で、駅前一帯の「銀座商店会」を中心に、東に隣接して北に伸びる「あずま通り」、西に隣接して北に伸びる「庚申通り」があり、さらに駅から北西方向へ伸びる「中通」と、それに続く「北中通」というように、実にさまざまな商店街がひしめきあっています。
ルックとエトアール通り以外の全ての商店街名には、頭に「高円寺」と付きますが、確かにそれがないと、全国の商店街名で上位にランクインしそうな、ありふれた名称のものばかり。また、銀座商店会は、出身者でもあるねじめ正一氏の著書にあやかって、今では「純情商店街」と呼ばれています。
そしてこれらの商店街に並ぶ多くの店舗が、いわゆる看板建築と呼ばれる工法によって建てられたもので、特に高円寺は、都内屈指のバラエティさを誇るのが最大の特徴です。

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