明治通りと交差する古き橋 40年前の昭和歌謡が物語る悲しき「目白の情景」とは
2019年11月28日
知る!TOKYO1979年発表の昭和歌謡「千登勢橋」。同曲とその舞台となった目白の風景について、法政大学大学院教授の増淵敏之さんが解説します。
モデルは目白の「千登世橋」
1970~80年代に活躍したミュージシャンに西島三重子がいます。現在でも活動しているので、息の長いミュージシャンのひとりといえるでしょう。
代表作は1976(昭和51)年にリリースされた「池上線」という悲恋の曲で、歌詞に登場する「角のフルーツショップ」の場所について当時議論されたことがあります。結果、作詞家・佐藤順英の証言により、東急池上線の池上駅(大田区池上)だというのが定説になりました。
今回紹介する曲は、彼女の「千登勢橋」(1979年)です。作詞は門谷憲二。「池上線」の作詞家である佐藤は学習院大学(豊島区目白)出身なので、ずっとこの曲も彼の作詞だと思っていました。なお西島三重子自身が目白にある川村短期大学(現・川村学園女子大学)の出身で、歌にリアリティがあります。
歌詞に出てくる千登勢橋のモデルとなった「千登世橋」は豊島区目白1丁目と雑司が谷の境界にあり、最寄りの駅は副都心線「雑司が谷駅」と都電荒川線「鬼子母神前停留場」。JR目白駅からも学習院のキャンパス沿いに、目白通りを歩けば5~6分といったところでしょうか。

千登世橋は明治通りとの立体交差になっており、東側に隣接する千登世小橋が都電荒川線をまたいでいます。目白通りがちょうど台地状を走る地形を利用して、明治通りを切り通しにして交差させています。
千登世橋が架設されたのは1932(昭和7)年で、東京で初めての幹線道路同士の立体交差橋ということになります。もちろん土木史的にも価値が認められており、「東京の著名橋」に指定され、一種の文化遺産です。構造形式は上路2ヒンジソリッドアーチ橋というのだそうです。この界隈のランドマーク的な存在であることは間違いありません。

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