江戸時代にバーチャル登山体験? 国内最古の富士塚「千駄ヶ谷富士」でその歴史を振り返る
2019年10月19日
お出かけ千駄ヶ谷にある国内最古の富士塚・千駄ヶ谷富士について都市探検家・軍艦島伝道師の黒沢永紀さんが解説します。
富士塚とは何か?
JR千駄ヶ谷駅から南へ徒歩5分。将棋の神様で知られる鳩森八幡宮(渋谷区千駄ヶ谷)の境内の一角に、高さ約5mの円錐形の山があります。かつて江戸の町にあまたあった富士塚のひとつ「千駄ヶ谷富士」。富士塚とはなんでしょうか? 今回は都会の中に忽然と現れる富士山の話です。

江戸時代、信仰とともに庶民の間に浸透し、たくさんの人が詣で、縁日で賑わいながらも、大正時代以降急速に衰退してしまった富士塚は、もともと霊峰富士への信仰から生まれたものでした。同時に、富士山へ登りたくてもなかなか行けなかった時代の、手軽な疑似登山の役割も担っていたようです。
疑似登山というだけあって、ただ富士山のような形に造るだけではなく、盛り上げた土の表面には、実際の富士山から運んだ黒ボク(溶岩)をあしらい、山頂や山麓には浅間(せんげん)神社を奉り、また1合目から順に合数を表示するなど、いわば富士山をミニチュアで再現したのが富士塚です。
では、なぜ富士山を模造した富士塚が関東一円にたくさん築山されたのでしょうか。どうやらそこには日本人と山の深い関係があるようです。
古来日本には山そのものを神として崇める風習があり、特に平地から見てひときわそそり立っている山は、富士山に限らず神として敬われてきました。

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