和食とプロジェクションマッピングが融合? 上野「モリキュール」、ライブ感あふれる調理シーンも人気、和牛も真空状態に

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和食とプロジェクションマッピングが融合? 上野「モリキュール」、ライブ感あふれる調理シーンも人気、和牛も真空状態に

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2018年に上野に誕生した「Molecu-L.」は、非日常を五感で楽しむエンターテイメント型レストランです。その「イノベーティブ」な料理スタイルを紹介します。

非日常感を演出するエンタメ型レストラン

 記念日やデート、女子会にいつもとはちょっと違う食シーンを楽しみたい。そんなときにおすすめの、一風変わったレストランを紹介します。上野広小路の駅前にある、イノベーティブフュージョンレストラン「Molecu-L.(モリキュール)」です。

「Molecu-L.」の料理パフォーマンス(2019年8月13日、宮崎佳代子撮影)



 近年、ミシュランでもカテゴライズされるようになった「イノベーティブ(革新性)」。「フュージョン料理」もここ数年よく見かけるようになった、さまざまな国の料理要素をミックスした新ジャンルです。

「Molecu-L.」の革新性について同店責任者の石濱耕平さんに尋ねたところ、「非日常を演出する」「誰も見たことのない」「固定観念にとらわれない」料理との答えでした。「これらを、プロジェクションマッピングの映像と一体にしたエンターテインメントショーのような演出で提供します」と聞き、にわかには想像がつかず、店を訪れました。

 店内に足を踏み入れて、一番目についたのはカウンター前に設置された幅10mを超える巨大スクリーン。ここに映し出されるプロジェクションマッピングが料理によって変わっていくため、全席一斉に食事がスタートします。

 料理は和食がベースで、最初に出てきた先付けは「二種の根菜サラダ〜枯山水風〜」。枯山水をイメージした盛り付けの美しさが、ひときわ目を引く一品です。

 石に見立てた塩の上に浮かぶ、ふたつの「岩」は、かぼちゃとジャガイモのサラダ。水蒸気と熱風を同時に使う特殊なオーブンで調理したそうで、表面の色付けに竹炭を使用しています。

 先付けと聞くと、軽やかで冷たい料理をイメージしがちですが、温かくずっしりとした食べ応えのある料理。「固定観念にとらわれない」アプローチのひとつと感じました。

意外性に富んだコース料理を実食

 椀物は「茶碗蒸し〜海岸仕立て〜」。「椀物」「茶碗蒸し」ときて、涼し気なガラス器で提供されたのも意外でした。

椀物「茶碗蒸し〜海岸仕立て〜」(2019年8月13日、宮崎佳代子撮影)



 料理は、蒸し焼きにしたクリームチーズ入りの茶碗蒸しの上に水色のジェル、その上にホタテ、カニ、イカをトッピングして海岸をイメージしています。

 料理に合わせて、プロジェクションマッピングには、水の泡が映し出されて涼やかな雰囲気。茶碗蒸しの塩分が強めで、うま味成分が抽出されたジェルと、さっぱりとした魚介類の味わいが口の中でいい塩梅に完成される面白い料理でした。

 焼物には、「黒毛和牛の真空低音たたき ウィスキーフレーバー」。低音調理した黒毛和牛のもも肉を真空状態にしたものを、目の前でウィスキーオークのチップに火をつけて燻(いぶ)します。肉を覆ったガラス容器の内側に煙が充満する背後で、プロジェクションマッピングにもゆらゆらとした煙のような映像が映し出され、なんとも幻想的。

 ウィスキーオーク特有の強い香りをまとった肉は、添えられた3種類の塩がスモーク独特の風味を緩和してくれます。塩は燻製塩、トリュフ塩、自家製のシーズニングスパイスで、各々まったく異なるフレーバーを楽しめました。

 飯物の「ひつまぶし 葛飾北斎 赤富士」も、見たことのないような「ひつまぶし」が登場。葛飾北斎の描いた赤富士をメージしたもので、プロジェクションマッピングにも映し出されます。

 まずはそのままで食べ、次に山椒をかけ、締めに自家製豆乳出汁を絡めて食べるという、3種類の味わいを賞味。富士山型のご飯の表面はお焦げになっていて香ばしく、その頂に盛られた鰻のふっくらとした食感がたまらない逸品でした。

気になるコース料理の価格は4800円から

 実際にコース料理を食べてみて、「非日常を演出する」「誰も見たことのない」「固定観念にとらわれない」という、3つの要素が網羅されているのがよくわかりました。

飯物「ひつまぶし 葛飾北斎 赤富士」とマッチングさせたプロジェクションマッピング(2019年8月13日、宮崎佳代子撮影)



「エンターテインメント型」と聞いていたので、パフォーマンスに比重が置かれていると思っていましたが、それらはあくまで料理のコンセプトをより深く理解して、おいしく食べてもらうための手段。和食材へのアプローチをこれまでにない独自の手法で行い、意外性に富む料理に仕立て、エンタメ性をもって提供する。その「イノベーティブ」な世界観は、総合デザインによって完成されるので、「体験」してこそわかるものといえます。

 気になるコース価格は5品が4800円から、7品が6000円から、9品が7500円から(予約サイトによっても価格の相違あり)。飲み物は、料理とのペアリングや飲み放題付きの価格設定もあります。日本酒のラインアップが豊富なのも、同店の特徴のひとつです。

 オープンより1年、目下のところインバウンドの利用が多いとのこと。日本人も楽しめる内容なので、いつもとは違う食シーンを楽しむ手札のひとつにおすすめです。

●Molecu-L.
・住所:東京都台東区上野2-1-9 GAOH黒門ビル4F
・営業時間:月~金・祝前日 19:00~21:00、土日祝 18:00~20:00 ※開演が一斉スタートのため、開始時刻までに来店のこと。
・定休日:なし
・アクセス:地下鉄各線「上野駅」から徒歩1分、JR「上野駅」から徒歩5分
※コースは侘コースと寂コースの2種類。完全予約制

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