なぜ都内では書店閉店が相次ぐのか? 大手チェーン「文教堂」経営再建から見る、リアル店舗の現実とは
2019年8月22日
お出かけ6月に業再生ADR手続を申請し、経営再建に入ることとなった大手書店チェーン「文教堂グループホールディングス」。その詳細と首都圏「リアル書店」の今後について、都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。
「新時代の旗艦店」も閉店
渋谷駅から徒歩約7分。渋谷から原宿に続くキャットストリート近くにある商業ビル「ココチ」2階には、「文教堂書店カルチャーエージェント渋谷店(以下、CA渋谷店)」がかつてありました。
規模は大きくないものの、「書店 + ホビー + カフェ」の複合業態でアニメなどとのコラボイベントが開催されていたこともあり、文教堂書店の新時代の旗艦店として多くの人で賑わっていました。しかし、2019年6月28日(金)に惜しまれつつ閉店。現在は空き店舗となっています。

同店を運営する文教堂グループホールディングスは2013年8月期以降、赤字から抜け出せず、2018年8月期には約2億3000万円の債務超過に。東京証券取引所による上場廃止に係る猶予期間入り銘柄となったことを受け、6月28日、「事業再生ADR」手続による私的整理を開始するに至っています。
事業再生ADRとは2007年の産業再生法(産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法)改正により設けられた制度です。民事再生法、会社更生法や破産法のように裁判所による法的整理を伴わず、公正な第三者が関与したうえで企業と金融機関などの話し合いによって、債務を解消する私的整理のことです。ADRとは「Alternative Dispute Resolution(裁判外紛争解決手続)」を指します。
今後、文教堂グループホールディングスは金融機関などと約135億円にもおよぶ借入金の返済猶予交渉を行いつつ、債務超過の解消を目指すことになりますが、その前途は多難なものとなるでしょう。

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