絵本は自由で、作家と心通うもの。目黒の「魔法使い」が開く、大人も楽しめる専門店

2018年10月14日

お出かけ
ULM編集部

絵本を使ったさまざまなイベントを行う「ニジノ絵本屋」のオーナー・いしいあやさん。いしいさんは子どもだけでなく、大人が絵本を読むことの大切さを発信しています。


絵や写真がたくさんあれば「絵本」?

「いしいさんの一番好きな絵本って、何ですか?」

 35度を超える、うだるような昼間の暑さから少し解放された2018年8月27日(月)の19時過ぎ。東急東横線都立大学駅から徒歩3分の場所にある「ニジノ絵本屋」(目黒区本町)のなかから、女性たちのにぎやかな声が聞こえてきました。

「ニジノ絵本屋」で行われたトークイベントの様子(2018年8月27日、國吉真樹撮影)

 昭和の香りただよう銭湯やそば店などが並ぶ、ゆるい坂道の途中にある同店。そこで行われているのは、開催8回目を迎えたトークイベント「いしいあやがニジノ絵本屋の絵本づくりについてゆる~く語ります。」です。

 400種類の絵本が並べられた、こじんまりした7坪の店内。その真ん中に置かれた木製のテーブルに座っている、魔法使いのような黒色のシルクハットをかぶった丸眼鏡の女性に、7人の参加者たちが次々と質問を投げかけます。

「私の好きな絵本ですか? うーん、よく聞かれるんですけど。好きな絵本とか、しっくりくる絵本って、そのときの気分で変わるんですよね」

 困ったような顔つきをしながら笑顔を見せるこの女性は、「ニジノ絵本屋」のオーナー・いしいあやさん(38歳)です。

「ぱたぱた自己紹介カード」を使ってコミュニケーションを図るイベント参加者(2018年8月27日、國吉真樹撮影)
にぎわうトークイベントの様子(2018年8月27日、國吉真樹撮影)

 そんないしいさんが選んだのは、絵本ではなく写真集。アメリカの写真家、ガス・パウエルさんの作品「ザ・ロンリー・ワンズ」です。

「絵本とひとことで言っても、どこまでが絵本なのか分からないじゃないですか?」と、いしいさん。参加者たちは細かくうなずいています。

「文字だけではなくて、絵や写真がたくさんある本だったら、私にとって、それは絵本かなって思います」

 店内の「うなずき」は深いものへと変わっていきました。

作り手と読み手をつなぐ架け橋を目指して

 いしいさんが「ニジノ絵本屋」を都立大学駅近くにオープンしたのは、2011(平成23)年1月のこと。現在とは場所が異なり、駅から徒歩1分の雑居ビル3階、広さわずか1.5坪からのスタートでした。

「ニジノ絵本屋」の看板(2018年8月27日、國吉真樹撮影)
「ニジノ絵本屋」の外観(2018年8月27日、國吉真樹撮影)
つばめをかたどったウォールデコなどが飾られた「ニジノ絵本屋」の入口付近の様子(2018年8月27日、國吉真樹撮影)

 仕入れた絵本を販売する一方、イラストレーターのはらぺこめがねさんとオリジナルの絵本をつくったことをきっかけに、2012年7月から出版事業を開始。現在では12タイトルを揃えるまでになりました。

「ニジノ絵本屋」の店内。約400種類の絵本がディスプレイされている(2018年8月27日、國吉真樹撮影)
いしいさんの知人の作家による、絵本の選書コーナー(2018年8月27日、國吉真樹撮影)

 2017年4月に現在の店舗に移転。現在では、国内外で音楽や食とのコラボレーションイベントを行ったり、ワークショップなどを開催したりするまでになりました。

 いしいさんが絵本に関するさまざまな活動で目指すのは、絵本の作り手と読み手をつなぐ架け橋となって、いっしょに楽しい時間を過ごすことです。屋号の「ニジ(虹)」にも、そのような思いが込められています。

「良い出会いに恵まれて、毎日が目まぐるしく変化しています。新しい人たちと出会うことで、自分の人生がどのような変化をしていくのか楽しみ。良い意味で『行き当たりばったり』の姿勢で頑張ってます(笑)」

渋谷の「TRUNK BY SHOTO GALLERY」で2017年10月に行われたイベント、「渋谷でママ大学」で絵本ライブを行ったいしいさん(画像:ニジノ絵本屋)
埼玉県飯能市の「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」で2018年6月に行われたイベント、「飯能グリーンカーニバル」に参加したいしいさん(画像:ニジノ絵本屋)

「ニジノ絵本屋」には、30代前半から80代まで幅広い年齢層の人たちが訪れます。女性の割合が圧倒的だと思いきや、「男女半々」とのこと。男性は結婚を機に、絵本に「出会い直す」人が多い印象だといいます。そこで興味をふたたび持ってくれることに大きな喜びを感じるそうです。

絵本は誰のためのもの?


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