明治維新の身分制解体後も「遊郭」が残り続けた理由
2021年11月7日
知る!TOKYO江戸時代の身分制が解体された明治維新。そのなかでも今回は遊女について取り上げます。ブログ「山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期」管理人の山下ゆさんが解説します。
解放令後も残った遊女と遊郭
明治維新によって江戸時代の身分制は解体され、四民平等の世の中となりました。現在からすれば当たり前の変化かもしれませんが、身分ありきの社会で生きていた当時の人にとって、これは劇的な変化であったはずです。
今回紹介する横山百合子『江戸東京の明治維新』(岩波書店)は、江戸が東京に変化していくなかで、その劇的な変化を生き抜いた市井(しせい)の人々の姿を紹介した本になります。
・仕事を失った旧幕臣の不動産をめぐるサバイバル
・地主の代理人として土地や家屋を管理しつつ、捨て子や行き倒れの世話、道普請(みちぶしん。道路を直したり、建設したりすること)などさまざまな公的役割も担っていた家守(やもり)たちの地位の行方
・賤民廃止令によって賤民身分から解放された人々のその後
など、本書はさまざまな人々の動きを追っていますが、そのなかで1章を割いてとり上げられているのが、遊郭とそこで働く遊女たちです。

明治維新後、1872(明治5)年の芸娼妓(しょうぎ)解放令によって遊女の人身売買は禁止されましたが、遊郭は結局残ることとなります。人気漫画『鬼滅の刃』では大正時代の遊郭が描かれていましたが、芸娼妓解放令があったにもかかわらず、遊郭というシステムは残り続けていたのです。
なぜそれが可能だったのか? 遊女たちは芸娼妓解放令をどう受け止め、どのように行動したのか? そういったことを本書は教えてくれます。
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