記者クラブ制度と「演説 補助装置」が死守する、総理官邸という永田町の「異界」

「東京都千代田区永田町2丁目3番1号」に位置する総理官邸。「総理大臣の仕事場」である同館では、首相や官房長官の記者会見が日々行われています。それらの仕組みを通して、総理官邸という「異界」をフリーランスライターの小川裕夫さんがあぶり出します。


取材現場に行かないと分からない情報がある

 2009年に民主党政権が誕生し、永田町・霞が関にも大きな変革の波が押し寄せました。それまでは、首相をはじめとする各省庁の大臣会見は、新聞社やテレビ局で組織する記者クラブが情報を独占していたのですが、政権交代により、大臣会見はオープン化。これにより、雑誌やネット、フリー記者たちにも門戸が開かれたのです。

新元号「令和」発表会見で揮毫された色紙を掲げる菅官房長官。官房長官は定例会見を1日に2回実施しているが、オープン化されているのは金曜午後のみ(画像:小川裕夫)

 新元号「令和」を発表する菅義偉(すが よしひで)官房長官の会見も、官邸の会見室で実施されています。この会見を、固唾を飲んで見守っていた人は多いでしょう。

 安倍晋三首相の一挙手一投足はテレビや新聞が取り上げるため、その会見はテレビで頻繁に目にします。そのため、時間と交通費をかけて官邸にわざわざ足を運ばなくても、安倍首相が何を話したのかを瞬時に知ることができます。

 しかし、実際に現場に足を運ぶと、テレビや新聞からはうかがい知れない情報がたくさん転がっているのです。

冷遇されるフリーランス記者

 国会議事堂の正門から見て、官邸はその裏手に位置しています。入館時は正面窓口で受け付けを済ませ、金属探知機によるチェックを受けてから、会見室へ入室。

 官邸は小高い丘の上にあるため、正面玄関は官邸の3階にあたり、会見室は玄関から2フロア下った1階にあります。そうした構造を把握していなかった当初、官邸に足を運ぶたびに困惑しました。

 また、会見室内の暗黙のルールも、現場に足を運ばなければ知ることはできません。会見中は、ストロボを使った撮影はNG。東日本大震災直後は、節電を理由に会見室の照明も暗くされました。省エネを意識したものでしたが、ただでさえ明るくない会見室がさらに暗くなったため、カメラマン泣かせな措置でした。

 また雑誌社やネット、フリーなどの、記者クラブに所属していないスチールカメラ(写真などの静止画を撮影するためのカメラ)の記者は、記者クラブの代表カメラよりも前の位置から撮影はできません。そのため、首相を間近で撮影できないハンデを負うのです。

 動画を撮影するための固定カメラにも、同様のハンデが課されています。ネットニュースは「場所の制約上」という、もっともらしい理由から全社でムービーカメラ1台の代表撮影のみしか許されていません。

ネットの動画班は指定された場所での代表撮影のみ(画像:小川裕夫)

 また、カメラの設置場所も、テープで「ネット」と指定された場所からしか撮影できません。他方、記者クラブ加盟のテレビ局は、会見室後方の高い場所にカメラを設置しています。床面にテーピングされた「ネット」の文字はいかにも貧相で、「切なさと屈辱感」を増幅させます。

2012年から使われる「プロンプター」とその効果


【画像】明らかな冷遇? 記者クラブ加盟社と他メディアの撮影場所の違い

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