K-POPファンが新大久保の「カフェ」に続々と集まる事情
2019年4月30日
知る!TOKYO新大久保のカフェで、好きな音楽やアイドルについて語り合うK-POPファンたち。彼らはなぜ、自宅でも楽しめる趣味を、あえて新大久保に集まって行うのでしょうか。東京都市大学の岡部大介教授が社会情報学の視点から、その理由を考察します。
韓流の“テーマパーク”、新大久保へ
チーズドッグやダッカルビ、そしてコスメなど、新大久保は韓国文化を1日楽しめるテーマパークのような場所です。
美容や食文化だけではありません。新大久保の駅に降り立つと、K-POP(韓国のポップ・ミュージック)が耳を刺激し、日本のアイドルショップをしのぐ勢いで立ち並ぶ店舗が目に飛び込んできます。

社会科学系の大学の研究室にいると、K-POPファン(「ペン」といいます)の心理や、ファン活動のためのSNS利用といった内容の卒論を書こうとする学生に出会うことがあります。
百聞は一見にしかず。研究室の机に向かっていても分かりません。なにはともあれ、K-POPファンの大学生がファン友達と遊ぶ様子を観察させてもらうべく、新大久保の「現場」へ一緒に出掛けてみました。
K-POPファンたちがカフェに集う理由とは?
私がチーズダッカルビに心を奪われているのを尻目に、研究室の学生たちが向かった先は、雑居ビルのなかにあるK-POPファンの集うカフェでした。
飲み物を注文するときに、曲をひとつリクエストすることができるシステムでした。リクエスト曲のミュージックビデオは、店内のプロジェクターから順番に投影されます。ただしこのK-POPのミュージックビデオは、公式にYouTubeにアップロードされているものです。
ファンたちはスクリーンに投影されるミュージックビデオを観ながら談笑したり、店内に置いてある雑誌を一緒に眺めたり、スマホでK-POPグループのTwitterをチェックしたりと、さまざまなメディアを利用しています。研究室の学生たちもK-POPの雑誌を手に取り、すぐにふたりで盛り上がっていました。
YouTubeのミュージックビデオも、Twitterも、雑誌も、どこでも楽しめるメディアです。私が不思議に思ったのは、「なぜ家でできることを、わざわざファン友達と待ち合わせ、新大久保のカフェまで行き、一緒に行うのか?」という点です。たまたま居合わせた他のお客さんと一緒に何か盛り上がるわけでもありません。
しかし、大学生の話を聞いたり、しばらく店内を観察したりしていると、K-POPのカフェという場の持つ意味が少しずつ分かってきたのです。
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