入園後に後悔しないために「見学」は必須
待機児童問題が解決されないなか、入園選考の基準となる「点数」アップのために涙ぐましい努力が求められる東京の「保活」(保育園に入るための活動)。
利便性のために、「正直、認可保育園に入園できるならどこでもいい」「家や駅に近い園から希望する」と考える保護者は少なくないでしょう。しかし、保育園はそれぞれの特色があり、実は千差万別。見学をせずに入園した結果、「ここにしなければ良かった」と後悔することも珍しくありません。
そこで保育士経験者として、保育園見学において見るべきポイントをご紹介します。
園児の態度から保育士の信頼度が分かる
●見学ポイント1:保育士の働き方
保護者が気になるのは、やはり保育士の「質」ではないでしょうか。認可保育園では国が定める保育士の配置基準があるため、「こんなに子どもが多いのに、これしか保育士がいない」という状況になることはあり得ません。しかし数は足りていても、保育士がどのように子どもと接してくれるのかといった点は非常に差があります。
見学の際に子どもの目線で話しているのか、子ども同士がぶつかったり、おもちゃの事故が起きたりしないように、危険を察知して機敏に動いているのかについては見ておきたいポイントです。
そして何より大事なのは、保育士ひとりひとりが楽しそうに仕事をしているか。「やりがいがあって楽しい」のかどうかを確かめるため、保育士に「ここで働いていてどうですか?」と、直接質問してみてもいいかもしれません。やはり、保育士の目が輝き、楽しそうに働いている保育園は信頼に足る園だというのが、筆者の所感です。
●見学ポイント2:園児の様子
また、保育園の雰囲気はすでに在園している子どもたちの様子から、なんとなくつかめることもあります。親御さんのしつけにもよりますが、見学に来た保護者に対して子どもたちが挨拶をする保育園では、マナーや常識をしっかり教えてくれていることが多いです。
預ける子どもが0歳だとしても、2歳以上のすでに話せる子どもたちが「〇〇先生~」と保育士を好いているかどうかも重要。子どもと保育士の信頼関係が築けているかは、子どもの様子をチェックしましょう。
リスク管理への意識も要チェック
●見学ポイント3:お散歩の方法
大津園児死傷事故で、保育園における園外へのお散歩は保護者にとって、とても気がかりなポイントになりました。園庭を持っていないところが多い認可外保育園と異なり、認可保育園にはたいてい園庭があります。しかし認可保育園でも、保育園周辺にお散歩に行くことは珍しくありません。
見学をする時には、ぜひ行先の公園や頻度、お散歩ルート、お散歩時の保育士の数、お散歩のさせ方、道路状況などを確認することをおすすめします。時間帯によって見学の時に実際にお散歩する様子を見られないにせよ、園長先生や保育士に質問すれば詳しく教えてくれるでしょう。
大津の事故以来、お散歩については保育園側も、どのように保護者に安心してもらえるのか日々悩んでいます。見学の際には細かいお散歩のやり方だけでなく、保育園がお散歩に対してどのような考え方を持っているかについても聞いておけば、より安心することができるはずです。
●見学ポイント4:リスク管理
そのほかにも、災害時の避難方法やその時の保護者の送迎、不審者が来た時の対策、消化用具の有無などもチェック。不安な方は、避難訓練の内容も聞いてみてもいいでしょう。月に1度と頻繁に避難訓練を行っている園でも、内容がおざなりの状況になっていることも正直なところ、ままあります。
また、0歳から保育園に預ける場合にはSIDS(乳幼児突然死症候群)対策も気になるところ。うつぶせ寝をさせていないか、呼吸チェックは何分ごとに行っているのかなど細かく質問して普段の様子を確認しましょう。
やはり、普段からしっかりと行っていないことについては、質問されても答えることができません。保育士を試すような質問を繰り返すことで心苦しくなるかもしれませんが、子どもの安全を把握するためにも、見学の際にはぜひこれらのことを質問してみてください。
質問に対して誠意をもって答えるかどうか
●見学ポイント5:質問への対応
保育園は、大事な子どもをいわば他人に長時間、長期間預けることになる場所。今回ご紹介したこと以外にも、「テレビは見せているのか」「おもちゃの消毒はどのくらいの頻度でおこなっているのか」など、気になりだせばキリがありませんし、すべての保護者の不満や不安要素が一切ない保育園などきっと存在しないでしょう。
筆者個人の考えとしては、園長先生や保育士が、保護者の質問に対して誠意をもって答えてくれるかどうかが、見学する際の最も大事なポイントだと思います。
保育園としては保護者からの要望や意見をすべて聞くことはなかなかできませんが、可能な限り保護者に歩みより、不安を取り除き、よりよい保育に努めるのは当然のこと。そしてそのような保育園であれば信頼関係を築いていくことができ、安心して子どもを預けることができるはずです。
見学の時にはさまざまな質問を通して、そうした姿勢を見せてくれる園なのかを見極めてほしいと思います。
時間を作って足を運んで行う保育園見学。入園してから「こんなはずじゃなかった!」ということがないように、見学でたくさんの情報を持ち帰って、保活に活かしてみてください。