シティポップに描かれた80年代の「東京」を探しに出かけよう

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シティポップに描かれた80年代の「東京」を探しに出かけよう

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日野京子

エデュケーショナルライター

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SNSや音楽配信サービスの台頭で世界的にシティポップが流行し始めて数年。洋楽から派生した新しい音楽として独自に発展した楽曲が描く「東京」の姿は、80年代の活気や哀愁を含んでいます。今回はエデュケーショナルライターの日野京子さんが今も残る「80年代の風景」を感じられる場所をご紹介します。

 インターネットでの音楽配信サービスが浸透し、80年代のシティポップが世界的に人気を集めています。NHKの情報番組「あさイチ」でも特集が組まれるほど、シティポップは昨今のレトロブームを飛び超えた音楽ジャンルになっています。

 洗練されたメロディーからは、バブル経済へと向かう活気あふれる都会の姿が浮かんできます。東京は常にどこかしらで再開発が行われアップデートし続ける世界都市ですが、一方で80年代の下町の面影が残る場所も街の個性として共存しているのがおもしろいところ。今回は東京都心に残る「80年代の風景」を感じられるエリアをご紹介していきます。

シティポップには都会の恋愛模様が描かれることが多い(株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド プレスリリースより)



かつてフジテレビがあった新宿区河田町

 「フジテレビ」と聞くと、お台場が浮かびますよね。球体展望台が特徴的なフジテレビ本社は、レインボーブリッジと同じくお台場のランドマークとなっています。

 80年代、テレビ界で圧倒的な影響力を誇っていたフジテレビが臨海副都心であるお台場に移転したのは1997(平成9)年でした。子どもや若い世代がお笑い番組やトレンディドラマに夢中になっていた80年代、フジテレビは新宿区の河田町に本社がありました。かつての本社に隣接する場所にある商店街「あけぼのばし通り商店街」は、かつて「フジテレビ通り」と呼ばれ、テレビ局関係者が往来する通りでした。

 フジテレビ移転後の跡地には高層マンションが立ち、テレビ局があったとは思えないほどすっかり様変わりしていますが、商店街は80年代の雰囲気を残す佇まいを残しています。

新宿三丁目駅から一駅、曙橋駅前に広がる商店街(画像:photoAC)

新宿ゴールデン街

 都内屈指の繁華街である新宿歌舞伎町。1980年代以降、再開発事業で高層ビルが立ち並ぶ新宿でも、とくに歌舞伎町1丁目にあるゴールデン街は昭和の街並みがそのまま残っているスポットです。

 新宿のような都市部では当たり前のように行われる再開発を拒み、令和の今も300件近い小さな飲食店がひしめき合うように並ぶ貴重な場所です。

レトロな字体もあちこちに(画像:photoAC)

 80年代には全国の繁華街でよく見られた光景ですが、バブル経済による土地の値上げや再開発でここまで街として残っているのはとても珍しいです。20代にとって、生まれてから見たこともないような「1970年代や80年代を彷彿とさせる飲み屋街」は新鮮に映るのでは。
 
 最近では外国人観光客が立ち寄る人気スポットとして大いににぎわいを見せています。日本人だけでなく外国人も魅了する新宿ゴールデン街は、東京では消滅しつつある「80年代の居酒屋」です。タイムトラベラーになった気分で足を運んでみてはいかがでしょうか。

木造長屋が並ぶ路地に200軒以上のバーが集まる。作家や役者の集まる文化人の街としても有名(画像:photoAC)

レトロな雰囲気が残る上野周辺

 北の玄関口としての役割を担ってきた上野駅は2000年代に商業施設アトレがオープンし、周辺は現代風なエリアへと変わりました。

昔の雰囲気を残したまま改修が行われた駅舎(画像:photoAC)

 その一方で、上野周辺はアメ横や老舗喫茶店といった昭和の風景が残るエリアです。古き良き喫茶店が多い理由は、日本初の喫茶店が上野に誕生したことや、列車の待合などでニーズがあったため。今なおその伝統が残っています。

戦後の雰囲気を今に伝えるアメヤ横丁(画像:photoAC)

 上野駅から徒歩2分の場所にある創業1977年のギャランは、ドラマロケ地としても使用されている喫茶店です。今では珍しい全席喫煙可能で、テーブルにはタバコ皿が置いてあります。豪華な照明や内装からは昭和時代そのままの雰囲気を感じられます。

 今ではチェーン店が多くなりましたが、80年代は「行きつけの喫茶店のマスターに恋愛相談をする」というのが若者の定番で、ドラマでもそうした描写が度々登場していました。シティポップで歌われている「華やかな都会の生活」の背景にあった東京の雰囲気を堪能してみては?

ナポリタンやオムライス、クリームソーダといった昔ながらのメニューが時を超えてリアルに残っている場所(イメージ画像:photoAC)

東京タワー

 スカイツリーが誕生するまで東京の絶対的なシンボルだったのが東京タワーです。テレビの電波塔として昭和33(1958)年に完成した頃は周囲に高層ビルはなく、まさにそびえ立つタワーでした。

東京タワーの高さは333m。建築基準法が改正された70年代から、都市部では超高層ビルが次々と建設されていったがその高さは200m級にとどまる(画像:photoAC)

 シティポップの代表的な一曲、角松敏生の『TOKYO TOWER』でも歌われている東京タワー。1950年代後半~70年代前半の高度経済成長期のシンボルとして見られることが多い東京タワーですが、ビルが高層化していなかった80年代においても別格の高さを誇る建造物でした。電波塔としての役割はスカイツリーに譲ったものの、今もなお東京のシンボルとして人々の心をつかんでいます。

飲食物やレジャーシート、テントの持ち込みも可能(イメージ画像:株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド プレスリリースより)

 東京タワーを間近に臨む「ザ・プリンス パークタワー東京」と「東京プリンスホテル」では、5月4日(木・祝)~6日(土)の3日間、ピクニックイベント「PARK DAY 2023」が開催されます。プリンス芝公園には入場無料で野外ライブやキッチンカーが用意され、誰でもピクニックを楽しむことができます。

 グランピングテント内でピクニックを楽しめる有料プランでは、ドリンクやスナックセット、ボードゲームが貸出され、コンピュータゲームのなかったアナログな時代を体感することもできます。

 また東京タワーがライトアップされる夜には、普段は入ることのできないプリンスホテル屋上で夜ピクニックができるという、バブル時代を彷彿とさせる宿泊限定プランも。目の前の東京タワーを眺めながら、お酒を片手に都会的なアウトドアシアターが楽しめます。

80年代を探しに出かけよう

 若い世代のハートをつかむシティポップ。音楽は時代を超えて受け継がれていきます。「かつての若者が見た風景」を進化し続ける東京で探し、当時に思いをはせてみるのも悪くはないですね。

 懐かしい風景を探しに出かけてみてはいかがでしょうか?

都会に埋もれる孤独と哀愁(イメージ画像:photoAC)

■あけぼのばし商店街
住所: 東京都新宿区住吉町8-5
アクセス:都営地下鉄新宿線 曙橋駅より徒歩2分

■新宿ゴールデン街
住所:東京都新宿区歌舞伎町1
アクセス:東京メトロ丸の内線 副都心線 都営地下鉄新宿三丁目駅より徒歩3分 JR新宿駅より徒歩で6分

■コーヒーショップ ギャラン
住所:東京都台東区上野6-14-4
TEL:03-3836-2756
営業時間:8:00~22:30
アクセス:JR/
東京メトロ銀座線・日比谷線 上野駅より徒歩2分

■東京タワー
住所:東京都港区芝公園4-2-8
TEL:03-3433-5111
営業時間: 9:00~23:00(メインデッキ最終入場 22:30)
定休日:年中無休
アクセス:都営地下鉄大江戸線 赤羽橋駅より徒歩5分
都営三田線 御成門駅より徒歩6分
東京メトロ日比谷線 神谷町駅より徒歩7分
都営浅草線 大門駅より徒歩10分
JR浜松町駅より徒歩15分

■「PARK DAY 2023」
開催日程:2023年5月4日(木・祝)~6日(土)
開催時間:11:00~19:00
開催場所:ザ・プリンス パークタワー東京 プリンス芝公園、神殿「神明」(2F)
東京プリンスホテル 屋上
・ザ・プリンス パークタワー東京
住所:東京都港区芝公園 4-8-1
・東京プリンスホテル
住所:東京都港区芝公園 3-3-1
※有料プラン詳細は公式サイトをご確認ください

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