「秋葉原の顔」は郊外に新業態!――コロナ禍のなか閉店した都内の大型店、その「新たな姿」とは?

  • ショッピング
  • 小川町駅
  • 新宿三丁目駅
  • 浅草
「秋葉原の顔」は郊外に新業態!――コロナ禍のなか閉店した都内の大型店、その「新たな姿」とは?

\ この記事を書いた人 /

若杉優貴のプロフィール画像

若杉優貴

都市商業研究所

ライターページへ

コロナ禍のなか、都心の有名大型店舗の閉店が相次いでいます。ところが、場所を変えて仮営業を続けたり、場所も形も変えて復活営業しているという大型店が、少なくないのです。いったいどこに行けば、生まれ変わった店舗たちに会えるのでしょうか。都市商業研究所の若杉優貴さんが前編・後編に分けて解説します。本編は後編です。

やっぱり「閉店」は大きな話題になるけれど…。

閉店したと思われがちな大型店が新業態として展開(撮影:藤井瑞起)



コロナ禍のなか、東京都内でもさまざまな理由による有名大型店の閉店が相次いでいます。

こうした大型店が閉店する際はテレビニュースや新聞で大きく取り上げられることが多く、SNSでも惜しむ声が多く聞かれる一方で、実際に店舗を訪れてみると「移転しました」「新店舗オープン予定」という看板があり「新天地で営業を続けている」「再開発後に再出店」という例も少なくありません。

前回の記事(2022年9月8日公開 「閉店しません」の看板も!――コロナ禍のなか「閉店」したデパート、その生まれ変わった姿とは?【前編】」)ではそうした百貨店にスポットを当てましたが、それはデパート以外でも同様。今回も前回に引き続き「本当は消えていない!」という店の叫びが聞こえてきそうな、「閉店したと思われがちだけど実は形を変えて復活した大型店 」の新たな姿を紹介していきましょう。

建て替え中の「三省堂書店神保町本店」跡。(千代田区) コロナ禍のなか閉店した店舗は数知れず。一方で「新たな姿」で生まれ変わる店も少なくありません。

「ラオックス」は生まれ変わって都内各地に

家電量販店、ホビー店、免税店――時代に合わせて変化を遂げつつも半世紀以上にわたって秋葉原の顔となっていた秋葉原・万世橋の顔「ラオックス秋葉原本店」。

コロナ禍のなかでもホビー・アニメグッズやアジアンフード・アジアンコスメを強化することで営業を続けていたラオックス秋葉原本店でしたが、今年(2022年)6月10日の営業をもっていったん閉店、無期限休業に入っています。

閉店セール中だったラオックス秋葉原本店、2022年6月。(千代田区) 末期の店内にはアニメグッズやアジアン食材が並んでいました。

しかしラオックスは本店の無期限休業によって「都内から消えてしまった」わけではありません。しかも、コロナ禍にもかかわらず都内のラオックスグループの店舗は「増えている」のです。

ラオックスは、主力だった免税店業態の店舗は数を大きく減らした一方で、2021年からは傘下となったギフト店「シャディ」と共同で「ラオックスビューティーエアポート」と「亜州太陽市場」という2つの新業態の展開を開始しています。

ラオックスグループの新業態「亜州太陽市場吉祥寺店」。(武蔵野市) ラオックスグループは2021年末から都内郊外に「アジアン商品」を販売する小型店舗を出店しています。(撮影:藤井瑞起)

この2つの新業態はいずれもラオックスで日本人客から人気を集めていた商品に特化した業態で、前者はおもに「アジアンコスメ」を、後者は「アジアングルメ」を販売。ラオックスに取材したところ、とくに「亜州太陽市場」については「今後も新店舗を増やしていきたい」としており、この夏には井の頭線浜田山駅前に3号店を開業させるなど、都内や東京郊外の駅チカを中心に店舗網を拡大しています。

かつて主業であった「家電量販店」「ホビー店」だった頃の面影は少ないですが、常に時代に合わせて変化を続けてきたラオックスの精神は都内各地で生き続けているのです。

ラオックスによると「秋葉原本店は改装等も検討中」とのこと。 この周辺は再開発計画もあり、今後の動きが注目されます。

「三省堂書店」は靖国通りから消えた訳じゃない!

三省堂書店の創業100年記念として1981年3月に開店した三省堂書店神保町本店。
「千代田区神田神保町1丁目1番地」と言う住所が示すとおり、まさに神保町の顔ともいうべき店舗でしたが、老朽化による建て替えのため2022年5月にいったん閉店しています。

こちらも閉店の際には多くのメディアに取り上げられたため「次にここで三省堂書店に会えるのは数年後か…」と思っている人も少なくないかも知れませんが、実は三省堂書店は6月に、神保町から1駅東側の都営新宿線小川町駅近くに「仮店舗」を出店しています。

三省堂書店小川町仮店舗。(千代田区) 仮店舗といえどもかなりの大きさ。看板は神保町方面から見やすい位置に設置されました。

「三省堂書店小川町仮店舗」はヴィクトリアゴルフ御茶ノ水店跡(同店も近隣に移転)への出店で、「仮店舗」といえども売場は地階から6階までの7フロア。こちらは新業態などではなく、フロア構成も上層階が児童書・参考書・理系書籍、中層階が文系書籍・ビジネス、低層階が文芸・話題書・地図と、旧店舗に近くなっており、旧店舗になじみがある客であれば目的の売場がわかりやすいようになっています。

「ユニクロ」は新宿三丁目に復活!

2022年6月に10年の歴史に幕を下ろしたユニクロとビックカメラの複合店「ビックロ」。2022年8月時点ではビックロ跡は「ビックカメラ新宿東口店」として営業しており、新宿三丁目駅からユニクロに行くには1つ隣駅の新宿駅前まで行かねばなりませんでした。

2022年に閉店した「ビックロ」。(新宿区) 現在はビックカメラとGUが入居しています。

「伊勢丹やマルイに行くついでにユニクロに寄っていたのに」「メトロの乗り換えの時にユニクロに寄れていたのに」(新宿三丁目駅は改札外乗り換えの場合1時間以内なら出場可能)と思っている人もいるかも知れませんが、実はユニクロはビックロの閉店を受けて9月16日に新たな大型店「ユニクロ新宿三丁目店」を出店しています。

ユニクロ新宿三丁目店が出店するのは伊勢丹東側、2002年から2012年までユニクロ(2014年までGU)が出店していたことがある「新宿文化ビル」で、副都心線からは以前よりも利用しやすい立地となります。こちらは新業態ではなく一般的なユニクロの都市型店舗となりますが、店舗限定アイテムとして世界堂や内藤とうがらしなどとコラボした「ユニクロ新宿地域Tシャツ」など新宿グッズの販売も行われています。これを身に着けて歌舞伎町やゴールデン街に行けば注目されること間違いなしでしょう。

観光商業施設「まるごとにっぽん」は新業態で再始動

浅草で人気を集めていたものの2020年11月に閉店した観光商業施設「まるごとにっぽん」。この「まるごとにっぽん」も規模を縮小したものの浅草に復活しています。

まるごとにっぽんは全国各地の人気店舗や自治体のPR施設が出店する“毎日が物産展”のような観光商業施設として浅草六区「東京楽天地ビル」(浅草ボウル跡)に2015年12月開業。全国各地のアンテナショップが軒を連ね、「ここでしか買えない商品」が多く販売される浅草の新名所として話題を集めましたが2020年11月に閉店し、その後2021年6月に大部分が「ユニクロ浅草店」となりました。

大部分が「ユニクロ浅草店」となった東京楽天地ビル・旧まるごとにっぽん。(台東区) 「まるごとにっぽん」の看板も再設置されました。

惜しまれつつ閉店したまるごとにっぽんですが、実はユニクロの開店に合わせてその一画に新業態として復活を遂げています。

新たな「まるごとにっぽん」はユニクロ浅草店の1階の一部、面積はわずか約270㎡と、郊外型コンビニ1つぶんほど。

新業態となって以前よりもかなり狭くなったため全国各地のアンテナショップやパンフレットコーナーは姿を消してしまったものの、かつてと同じく都内ではなかなか買えない銘菓や珍味などを豊富に取りそろえており、とくに酒類の品ぞろえは幅広く「角打ちコーナー」も設置されています。

以前よりも遠出しづらい今だからこそ、浅草観光の際には六区まで足を延ばして全国各地への旅行気分を味わってみては。

観光商業施設「まるごとにっぽん」は新業態でコンパクトに。(台東区) 運営は以前と同じ東京楽天地。ユニクロとのコラボも行われており、入口では関東大震災前の浅草ジオラマが迎えてくれます。

今回は2度にわたって、首都圏の「いったん閉店したものの新たな形で復活した大型店」を集めてみました。

大型再開発や建物の老朽化、そしてコロナ禍など、さまざまな理由による閉店や移転が目立つ昨今。一方で、最近は長期休業していたお店の営業再開なども見られるようになってきています。

いま一度「お気に入りだったあの店」を調べてみてはどうでしょうか。もしかするとどこかでこっそりと営業を再開しているかもしれませんよ。

関連記事