東証1部企業、2019年「初任給」の引き上げ率4%減少 その背景には何が

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東証1部企業、2019年「初任給」の引き上げ率4%減少 その背景には何が

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労務行政研究所が東証1部上場企業を対象に行った調査で、約4割の企業が2019年の初任給を引き上げたことが分かりました。しかし、前年度比較4.0ポイント減少となっています。

約4割の企業が初任給引き上げ

 人事労務の専門情報誌を発行する労務行政研究所(品川区西五反田)が2019年5月8日(水)に発表した、東証1部上場企業の2019年度「新入社員の初任給」に関する調査で、約4割の企業が初任給を「全学歴」で引き上げたことが分かりました。

現代の若者は初任給で何を買うのか(画像:写真AC)



 調査は東証1部上場企業2090社のうち、4月9日(火)までに同研究所に回答した241社の速報値をまとめたもの。初任給を、高校卒から大学院卒までの「全学歴」で引き上げた企業は35.7%で、2018年度と比べ4.0ポイント減少となりました。

 その結果を受け、労務行政研究所は次のように話します。

「減少は、2014年から5年間続いたベースアップ(従業員全体の賃金水準・基本給の引き上げ)が落ち着いた結果といえるでしょう。今回の数値は、東証1部上場企業のみを対象とした速報値であるため、中小企業を含めた(同研究所が発表する)8月の最終集計では、35.7%を上回るものと予想されます。その背景には、中小企業の深刻な人手不足による積極的な(社員引き留めのための)ベースアップがあります」

「全学歴」の初任給の引き上げ企業が減少する一方、金額の水準そのものは2018年度と比べ、大学卒が21万2304円(0.7%増)、高校卒が17万505円(0.9%増)となっています(同一企業での比較)。

「増加率では高校卒が上回っていますが、双方の基本給はそもそも異なるため、金額ベースでは大学卒が上回っています。特に1万円以上の引き上げは、大学卒の12.0%であるのに対し、高校卒は9.1%と3ポイント差が開いており、大学卒が金額の底上げを行っている形です。もちろん例外はあり、一部では高校卒の初任給のみを引き上げる企業もあります」

 今回の調査による最高の引き上げ額は、大学卒が1万7800円、院卒が2万3300円、高校卒が2万円でした。しかし短大学卒で3万4000円というケースも。

「(大学卒と比べて2年の年齢差がある)短大学卒の金額を、大学卒と一律にするケースもあります」

 また産業別では、製造業の46.9%が引き上げたことに対し、非製造業は22.5%にとどまり、24.4 ポイントと大きな差が見られました。

「製造業で、電気機器業界などは業界全体で初任給の引き上げ方針を採用しています。その一方、建設や商業、金融、情報通信などの非製造業はそのような方針がないため、このような差が出ていると考えられます」

 中小企業を調査対象に含めた8月の最終集計では、いったいどのような結果に落ち着くのか。目が離せません。

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