羽田空港で活用したいお得な「MCC」航空会社は?――大手・LCCとの比較&国内4社最新情報
大手航空会社(FSC)と格安航空会社(LCC)の中間にあたる「MCC」をご存じですか? MCCは大手航空会社とほぼ同じサービスで運賃がリーズナブルと、実はどの利用客にとっても“狙い目”。MCCもよく利用する旅行ジャーナリスト・フォトグラファーのシカマアキさんが、購入のコツや国内4社のサービス面も含め詳しく解説します。MCCは首都圏の空港で「羽田発着」という便利さ 航空会社には、大手航空会社(FSC)と格安航空会社(LCC)に加え、その中間にあたる「MCC」があります。LCCは運賃が高速バス並みに安い分、「座席指定や手荷物が有料」「機内持込ルールが厳しい」などFSCとの違いが多いのが特徴。一方、MCCはFSCとほぼ同じサービスで運賃がリーズナブルと、実はどの利用客にとっても“狙い目”です。 MCCとは、「ミドル・コスト・キャリア」(Middle Cost Carrer)の略。日本では「中堅航空会社」などと呼ばれ、国内航空会社では、スカイマーク、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤーの4社です。 日本で「MCC」の航空会社は4社ある(画像:シカマアキ) 日系4社はいずれも、羽田空港を発着する日本国内線を運航しています。ちなみに、LCCの日本国内線は、首都圏ではすべて成田空港発着。都心からのアクセスで「羽田空港が利用できる」のが、MCCの主なメリットの1つです。 MCCは4社、それぞれの特徴やサービスの最新情報 まず、MCCの4社について。最新情報を交え、ご紹介します。 ■スカイマーク スカイマークは羽田空港に本社を置き、国内線輸送人員数はANAとJALに続く3位、定時運航率は2022年度まで6年連続1位の航空会社。羽田-福岡、新千歳、那覇といった基幹路線に就航ネットワークを持ち、FSCより運賃がリーズナブルで「使い勝手が良い」と、老若男女問わず人気です。 機内サービスでは、ネスカフェのコーヒーとキットカットが無料。その他、ミネラルウォーター、コーラ、緑茶などのペットボトルやスナックなどをワンコイン「100円」で販売しています。 スカイマークはすべての機体が「ボーイング737-800型機」(画像:シカマアキ)運航開始:1998年 拠点空港:羽田、神戸 主な路線:羽田-福岡、新千歳、那覇、神戸、鹿児島、下地島など 保有機材(座席数):ボーイング737-800(177席) シートピッチ:31インチ(約79cm) 機内サービス:コンセント(一部)、ドリンク(ネスカフェ、無料)、キットカット(無料)、機内販売など ■AIRDO(エア・ドゥ) エア・ドゥは北海道が拠点の航空会社で、札幌はもちろんそれ以外の道内の都市へ行くのに便利。MCCで唯一「中型機」を保有し、機内が広くてゆとりが感じられます。2023年11月からプレミアム席を撤去し、全機で座席が統一されます。 「機内に入った瞬間から北海道」が実感でき、北海道産オニオンスープや「珈房 サッポロ珈琲館」のコーヒーなどはさすが北国のおいしさ。さらに、北海道にこだわる機内販売のスナックやグッズはファンも多く、機内誌には北海道の情報が満載です。 AIRDO機内ではマスコットキャラクターの「ベアドゥ」が出迎えてくれる(画像:シカマアキ)運航開始:1998年 拠点空港:羽田、新千歳 主な路線:羽田-新千歳、旭川、女満別、釧路、帯広、函館など 保有機材(座席数):ボーイング767-300(288席、270席)/737-700(144席) シートピッチ:31インチ(約79cm) 機内サービス:ドリンク(無料) ■ソラシドエア ソラシドエアは宮崎市に本社がある航空会社で、主に九州発着便を運航。そのため、機内でも九州らしさが感じられます。自分の端末で動画やフライトマップなどを機内で楽しめる「ソラタイム」のサービスがあります。 ドリンクのおすすめは「アゴユズスープ」で、九州の素材を使った風味豊かな味わいは毎回飲みたくなるほど。機内販売でも購入できます。心地よいブランケットやかわいいクッションの貸出もあり、機内誌は九州の情報たっぷりで読み応えがあります。 九州の航空会社、ソラシドエア。アゴユズスープが特におすすめ※キャンディは現在配布のものと異なる(画像:シカマアキ)運航開始:2002年(スカイネットアジア航空から2011年ブランド変更) 拠点空港:羽田 主な路線:羽田-宮崎、熊本、長崎、鹿児島、大分、那覇など 保有機材(座席数):ボーイング737-800(174席、176席) シートピッチ:平均81cm 機内サービス:USB電源(新造機JA813Xのみ)、ドリンク(ソフトドリンク・アゴユズスープ無料/沖縄のご当地アルコールも販売)、機内エンターテインメント、その他機内販売など ※2023年8月31日情報修正 ■スターフライヤー スターフライヤーは北九州空港を拠点とする航空会社です。デビュー当初から他のMCCと一線を画す、黒の本革張り座席(ヘッドレスト・フットレスト付き)、個人液晶モニター、コンセントなどを完備し、普通席にもかかわらずFSC以上のシートピッチ(座席間隔)でビジネスパーソンを中心に人気。無料ドリンクのタリーズコーヒー(スターフライヤーオリジナルブレンド)も定番です。 2023年7月から導入された新コンセプトの機内では、従来と比べて60%以上大きい頭上荷物棚、フルLED照明、無料Wi-Fiサービス、新型シートなどが特徴。個人液晶モニターが廃止された代わりに、デバイスホルダーやUSBポート(Type-A/Type-C)およびAC電源などが全席に設置されています。 機内で提供されるコーヒーはタリーズのスターフライヤーオリジナルブレンド(画像:シカマアキ)運航開始:1998年 拠点空港:北九州 主な路線:羽田-北九州、福岡、関西、山口宇部など 保有機材(座席数):エアバスA320-200(150席、162席) シートピッチ:34インチ(約86cm) 機内サービス:コンセント、USB、ドリンク、無料Wi-Fi(一部)、個人液晶モニター(一部)など 羽田空港の利用ターミナルに注意!航空券の買い方も MCCがおすすめの理由は、LCCと同等または若干高い運賃で、FSC並みのサービスが受けられること。LCCの場合は事前座席指定や手荷物が1個から有料で、ルールを超えると高い追加料金を支払わないといけません。変更やキャンセル時も、LCCは慣れていないと手続きが大変です。 ANAとコードシェア運航するソラシドエアとAIRDO(画像:シカマアキ) スカイマーク以外の3社は、ANAでも航空券を購入できます。ANAで買うと、ANAのマイルが貯まり、上級会員であればラウンジなどを利用することが可能です。ただ、より安く買うなら、それぞれの航空会社から直接購入しましょう。セール時が狙い目です。 羽田空港では、スカイマークとスターフライヤーは「第1ターミナル」、AIRDOとソラシドエアは「第2ターミナル」の利用です。特に、ANAとのコードシェア便(共同運航便)があるスターフライヤーは、羽田空港ではANAとは別のターミナルなので注意しましょう。 FSCにはない魅力もあるMCC、それぞれの個性も楽しい 例えば、羽田から札幌へ向かう場合、FSCの便だと他の路線とサービスはほぼ同じ。一方、AIRDOの便を利用すると、機内誌は北海道の情報、機内オーディオは北海道ゆかりの音楽、そして北海道北見地方産のオニオンスープ。まさに、着く前から北海道の気分が味わえます。 AIRDOは紙コップもかわいい。お絵描きもできる(画像;シカマアキ) また、九州方面ならソラシドエア、スターフライヤーでは普通席でも優雅な空の旅となります。急な用事などで飛行機を利用しなければいけなくなった際など、スカイマークのリーズナブルな運賃は本当にありがたい存在です。 今回紹介した4社には、それぞれ「個性」があります。FSCにはない魅力、しかもLCCより旅の初心者でも使いやすい――そんなMCCでの空の旅に、羽田空港から飛び立ってみてはいかがでしょうか。
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