もしや自宅が浸水被害に? 焦ったライターが「ハザードマップ」片手に避難ルートを歩いてみた
避難所まで歩いてみる 2020年のある日、筆者(増田剛己、散歩ライター)が自宅のポストを開けたら台東区の「神田川水害ハザードマップ」が入っていました。見てみると、神田川が大雨で氾濫した際に想定される「浸水区域」「浸水深(水面から地面までの深さ)」が示されていました。 さらには各地域の避難場所も。これは重要だと思い自宅の玄関ドアに張って、それから暇なときになんとなく眺めていました。 神田川水害ハザードマップには「水害ハザードマップの見方」という欄があります。そこには、 1.自宅を見つけましょう 2.自分が避難するところを見つけましょう 3.実際避難経路を歩いてみましょう 4.地域で考えましょう と書いてあります。 どうやらまずは、自宅のある場所をマップ上で見つけることから始めるようです。そして避難場所を探してから、実際に歩いてみるとよいのでしょうか。ちなみに「4」は、地域の人たちと避難情報を共有し、高齢者などの避難に支援が必要な人たちのことも考えましょうという意味だそうです。 そんなわけで、神田川水害ハザードマップを見ながら歩くことにしました。といいつつ、年をまたぎ、歩く予定も延び延びに。実は自宅の周辺の被害は想定されておらず、切迫感があまりなかったのです。 ところが最近、新たなマップがポストに入っており、それを見たら思わずビックリ。のほほんとしていられない事実が記されていたのです。 台東区はほぼ全域で被害に台東区はほぼ全域で被害に 新たなマップは「荒川水害ハザードマップ」「高潮水害ハザードマップ」でした。 「荒川水害ハザードマップ」をもとに避難ルートを歩く筆者(画像:増田剛己) いずれのマップも前出の「神田川水害ハザードマップ」同様に、まずは自分の住んでいる場所を確認せよとあります。早速見てみると、どちらのハザードマップも自宅がある台東区のほぼ全域が浸水被害地域になっていました。 特に荒川水害ハザードマップは台東区がすっぽりと浸水被害の地域になっています。自宅はマンションの上層階なので、浸水しないかもしれませんが、万が一浸水したら2週間以上孤立することもあるようです。これはまずい……ということで、避難場所へのルートを歩いてみることにしました。 東日本大震災の記憶 その際、思い出したのが、2011年3月11日に起きた東日本大震災です。 2011年3月11日夜に届いた緊急地震速報(画像:増田剛己) この日の夕方、東京では公共交通機関が止まり、多くの人たちが徒歩で帰宅しました。筆者は当時、東新宿駅最寄りの靖国(やすくに)通り沿いに住んでいたのですが、そこにはこれまで見たことのないくらいの多くの人たちが歩道を歩いていたのを覚えています。災害時に頼りになるのは自分の足だけなのだと強く感じました。 ということで、今回は避難場所になっている忍岡中学校(台東区上野公園)を目指して歩くことにしました。水害ハザードマップだけに、標高の高い場所が避難場所になっています。 避難所まで歩いてみる 実際に自宅から歩いてみると、忍岡中学校までの道はひとつだけでないことがわかります。幹線道路以外にも、路地などさまざまな道が。しかし最終的には必ず通らなくてはならないルートがあります。それは、言問通りの鶯谷駅下交差点から上野恩賜公園へ抜ける凌雲橋(りょううんばし)です。ここを抜けると、避難場所の忍岡中学校があるのです。 もし、この凌雲橋が壊れていたりした場合は、南側にある両太子橋まで迂回(うかい)をしなくてはなりません。 青い旗が忍岡中学校、赤い部分が凌雲橋、黄色い部分が両太子橋(画像:国土地理院) せっかくなので、筆者は両太子橋を渡ってみました。こうして実際に歩いてみることは、災害に遭遇したときにずいぶん助けになります。 1000m歩く目安は15分でカウント1000m歩く目安は15分でカウント 今回届いたハザードマップには、ほかにも「おおよその距離と時間を計ってみよう」と書かれていました。 これによると、普通の人が1000m歩くには15分が目安なのだそうです。しかし渋滞の発生や気象状況、自分の体力などでさらに時間がかかる場合があるとのこと。これらを考慮して、あらかじめ避難にかかる時間を計算し、余裕を持って避難計画を立てておく必要があります。 両太子橋から上野公園方向を臨んだ景色(画像:増田剛己) ハザードマップはインターネットでも見られるので、自分の住んでいる区はもちろん、近隣区もチェックすることをお勧めします。 そしてなにより重要なのは、実際に避難所まで歩いてみるということ。地図には載っていないことがいろいろとあるはずです。
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