「中医学」がまるわかり!5分で分かる中医学・東洋医学の基礎講座

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中医学とは中国の伝統医学をさしており、日本の漢方とも大きく関わりがあります。中医学の中でも、特に薬膳の知識は生活や仕事に活かすことができ、近年では薬膳に関する資格を取得する人も増えています。

 中医学とは、中国で発達した医学をさしており、2000年以上の歴史を持っています。中医学という言葉は耳にしたことがあっても、東洋医学との違い・漢方との違いなど、どこが違うのかが分かりにくいものです。

 本記事では、中医学について基礎からわかりやすく解説しますので、中医学の基礎知識を知りたい方はぜひ参考にしてください。

中医学とは?

 中医学とは「中国伝統医学」の略称であり、陰陽五行説をはじめとした自然哲学を根底に持つ伝統医学です。中医学の考え方として、病気の状態を見るのではなく、患者そのものを見るというものがあります。病気にかかっている場所のみを治療する西洋医学とは異なり、身体全体のゆがみを整え治療をしながら、食べ物や生薬で体内バランスを正常に戻し、自然治癒力を高めることを目的とします。

 中医学では、鍼灸・湯液(漢方薬)・推拿・気功・中医営養学(薬膳)の五つを使って治療が行われますが、これらはすべて五行学説(人間の生活に必要な元素)や陰陽学説(季節による陰陽の変化)などの中医基礎理論に基づいています。

中医学の治療法

 中医学には、次の五つの治療法があります。それぞれの治療方法について、簡単に解説します。

  • 鍼灸
    獣医学の基礎理論に基づき、鍼や灸を使って身体のツボに刺激を与えます。
  • 湯液(漢方薬)
    煎じ茶のことを指します。生薬を複数配合した漢方薬を、30分から40分ほど弱火で煎じて作ります。
  • 推拿
    治療法のひとつであり、中国伝統医学においては鍼灸・輸液・薬膳と並んで、広く用いられている手法です。手技を使って、自然治癒力を高める効果が期待できます。
  • 気功
    体内の気を巡らせ、 健康増進を図る方法であり、中国では4000年前から行われています。 気功法の種類は2,000を超えるといわれていますが、体を動かす「動功」とあまり動かない「静功」に分類されます。
  • 中医栄養学(薬膳)
    医食同源と言われている中国では、薬と食事を一体とする考え方があり、食べたものがそのまま薬の原点となる考え方を言います。中医学の考え方をもとにし、個々の体質に合わせて食材や生薬を組み合わせた料理が薬膳料理です。

 中医学の特徴として、理論的な学問の上で治療法が選択される点が挙げられ、どの医師が診察しても治療の方向性はほぼ同じです。

東洋医学との違い

 医学を指す言葉にはいろいろありますが、その中の東洋医学は、日本・韓国・中国などの東アジア地域で発展した医学であり、発祥地は2000年以上前の中国です。中国から、日本(漢方)や韓国(韓医学)に伝えられたのち、それぞれ独自の発展を遂げ現在に至っています。

 世界三大医学のひとつとして知られるアーユルヴェーダ(インド医学)も、東洋医学のひとつです。アジアでは、地域独自の医学が発展してきましたが、東洋医学はその中のひとつであり、東洋医学のなかで最も歴史が長く体系化されているのが中医学なのです。

漢方と中医学も実は違うもの?

 日本で漢方と言うと、生薬を使った医療をまとめた呼称という認識が広まっています。漢方のルーツとなるのは中医学ですが、日本に入ってきて独自の発展を遂げています。このため、日本における漢方は日本伝統医学の専門用語であり、厳密に言うと漢方と中医学は異なります。中国に、「漢方」と呼ばれるものが存在しない事実からも、双方が全く別の治療法であることがわかります。

 「漢方」という言葉は、漢の国(中国の王朝)から伝わった医学との意味を込められており、江戸時代に日本へ伝わったオランダ医学を表す言葉「蘭方」に対して名づけられました。

 漢方では、「方証相対」という手法が用いられ、症状に合わせた漢方を処方します。これに対し、中医学では「弁証論治」という考え方で治療が行われ、理論を追求した上で症状と治療法を結びつける点が大きな特徴です。

西洋医学との違い

 中医学と西洋医学は、診るところを始めとして、治療の目的・方法・手段が大きく異なります。

 西洋医学は、現在で一般的に行われている医学であり、症状が出たら薬や手術などで取り除いて症状を改善します。例えば、頭痛や発熱があった場合に薬を飲んで症状を取り除く治療方法です。即効性はあるものの、症状の発生を持続して抑えることは難しくなっています。

 これに対して、東洋医学(中医学)は症状が出る前の原因に対して働きかける医学であり、病名が分からない不調や病気に至る前段階の不定愁訴であっても治すことができます。

 近年では、西洋医学と東洋医学の優れた特性を合わせて、日本でも統合医療として現場で採用されるケースが多くなっています。両方の併用により、患者に対して有効な治療ができるケースも多く、漢方薬を使用している医師が8割にのぼっている事実からも、効果の高さが分かります。漢方薬の種類によっては健康保険が適用されるため、患者の負担も軽減できます。

中医学の基礎 ~用語解説~

 中医学の概要について解説してきましたが、中医学はとても奥深い医学であり、基礎を知ろうとしても大変難しいものです。

 ここからは、中医学を理解するにあたって知っておきたい用語を解説しますが、考え方の中でごくわずかな部分のみを解説します。

健康を保つからの構成要素「気・血・水」

 東洋医学では、人体を構成する要素は次の三つであると述べています。3要素をバランス良く整えることで病気にならない体を作るのが、東洋医学の考え方です。


  • 気とは、人間が体を動かすためのエネルギーであり、臓器だけでなく自律神経などを司る働きも持っています。気が滞ると、精神的・神経的な不調が見られるようになります。

  • 血とは、体内を流れる血液そのものをさし、全身に酸素や栄養を運ぶほかホルモンバランスの調整も行います。血の流れが滞ると血行不良が発生し、身体に大きな影響が及びます。

  • 水とは、リンパ液・尿・鼻水など、体内を流れているあらゆる水分をさし、体の免疫力と大きく関係しています。水の流れが滞ると代謝機能が落ち、むくみやめまいなどの症状が現れます。

 例えば、気が不足して働きが低下すると「気虚」と呼ばれる状態になり、疲れやすい・元気がない・倦怠感が続く・ 気力がわかないなどと言った症状が現れます。ほかにも、風邪をひきやすい・胃腸虚弱などの症状がみられることもあります。

人体の内臓器官「五臓六腑」

 中医学と現代医学では、内臓に対する考え方が異なり、中医学における内臓器官とは以下の五臓六腑をさしています。

五臓


  • 現代医学では肝臓にあたり、血量や自律神経の調整を行います。働きが弱まると、精神不安や筋肉のけいれん、四肢のしびれなどが起こります。

  • 現代医学では循環器系にあたり、精神神経も関連しています。働きが弱まると、血液循環精神状態の悪化を引き起こします。

  • 現代医学では消化機能全体にあたり、食べたものを消化吸収したうえで、エネルギーとして全身に送る役割を果たしています。働きが弱まると、疲れ・手足のむくみ・だるさ・下痢・胃もたれなどの症状が出やすくなります。

  • 現代医学の呼吸器系に加え、体温調節や免疫機能、鼻の働きなども含まれます。働きが弱まると、咳・くしゃみ・息切れ・鼻水・鼻づまりなどの症状が出やすくなります。

  • 現代医学の腎臓に加え、膀胱などの泌尿器系や内分泌系・免疫系のほかにも毛髪・ 耳・骨なども関係しています。働きが弱まると、水分代謝の低下によるむくみや尿漏れ、足腰のだるさ、耳鳴り、骨粗鬆症などの症状が出やすくなります。

 六腑とは、胆・胃・大腸・小腸・膀胱の5臓器に加え、三焦という代謝の概念を合わせた言葉であり、食べ物の消化・吸収・排泄までに必要なものです。

体の状態をあらわす「陰と陽」

 漢方で重要視しているのは、「陰と陽」という概念です。分かりやすくいうと、体が冷えているのか、もしくは体に熱がこもっているのかの違いを意味しています。全身のバランスをとるためには、体の状態を知り、温めた方がいいのか冷ました方がいいのかを判断することが大切です。体を熱くしすぎても、反対に冷やしすぎても、体に良くないため適度に調整しましょう。

 ここで知っておきたいのは、自分の体が冷えていると思い込んでいる人が多いことです。本当は冷えていないのに、冷えていると思い体を温めようとすると、逆に気分が悪くなってしまうこともあります。陰と陽を判断するには、顔色や手足の冷たさ、鼻水や咳の状態、尿や舌の色、お通じの傾向などをチェックするようにしましょう。

 体に同じ症状が現れた時でも、陰と陽のどちらに該当するかによって原因が異なる場合があります。例えば、下痢が起きた場合に辛いカレーを食べたことが原因であれば、熱の影響による陽性の下痢となります。反対に、アイスクリームなどの冷たいものを食べたことで下痢が起きたのであれば、身体の冷えが原因である陰性の下痢となるのです。このため、症状だけでなく原因を知った上で治療法を判断する必要があります。

中医学の知識は毎日の生活や仕事などいろいろなことに活かせます

 中医学について、おおよそのイメージを掴んでいただけましたでしょうか。中医学の知識を持っていると、毎日の生活や仕事などで幅広く活用することができます。具体的なメリットとして、以下の二つが挙げられます。

自分と家族の美容と健康に活かせる

 中医学の中でも、特に薬膳は毎日の食事に関することであり、毎日の生活に役立てられます。薬膳料理への知識が深まると、自身の体調に合わせた食事が考えられるようになり、スムーズな体調管理ができるようになります。

 自分自身だけでなく、家族の生活や健康にも役立つため、最近では薬膳に関する講座が増えており学ぶ人も増えています。薬膳料理は、漢方や生薬を取り入れるメニューも多く、一種の薬として考えられるケースがあるため、薬の効果を活かすには正しい知識の習得が必要です。

中医学や薬膳の知識で仕事の幅が広がる

 中医学や薬膳の考え方を多くの人に知ってもらうために、仕事に活かすことや仕事の幅を広げることも可能です。薬膳の知識を、料理教室を開いて一般的に広めたり、飲食店などでレシピ開発などに活用したり、美容エイジングケアなどの仕事に役立てたりできます。特に、薬膳を使ったスイーツは、近年女性を中心に注目が高まっているので、仕事の需要も見込めます。

知識を活かせる仕事

  • 飲食業界
  • セミナーやアドバイザーなど個人での活動
  • 美容エイジングケアを扱うエステティシャン
  • 料理教室の講師

まとめ

 今回紹介したように、中医学は中国から発展した医学ですが、日本とも深いつながりを持っています。東洋医学と中医学を融合させた医療を提供している医療機関も増えており、以前に比べると中医学に接する機会は多くなっているでしょう。東洋医学と中医学は、お互いにない利点を補って患者の治療にあたることができるため、統合医療として注目が集まっているのです。

 中医学の中でも、薬膳は特に生活に身近なものであり、誰でも学べる講座も増えています。自分自身や家族の美容と健康に活かしたり、仕事の幅を広げたりできますので、薬膳について学んでみるのもおすすめです。

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