行政書士の勉強は時間の無駄になる?必要な勉強時間や価値の高め方について解説

  • 全国
  • 行政書士
行政書士の勉強は時間の無駄になる?必要な勉強時間や価値の高め方について解説

\ この記事を書いた人 /

アーバンライフメトロ編集部のプロフィール画像

アーバンライフメトロ編集部

編集部

ライターページへ

行政書士の取得を考えているものの、時間の無駄という意見を聞いて、悩んでいませんか?本記事では「行政書士が無駄と言われる理由」「行政書士を目指すメリット」について解説します。行政書士の受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 法律に関する国家資格である行政書士の取得は、「時間の無駄」で「価値はない」という意見を知り、不安になっていませんか?

 結論から述べると、行政書士の資格には、高い価値があります。

 今回は、「行政書士が無駄だ」と言われる理由を中心に、行政書士の取得に必要な時間、会社員が取得するメリットを紹介します。

 さらに、行政書士の取得を目指す人が、行政書士試験に挑戦する前後に取得するとよい資格や、おすすめの勉強方法をお伝えしますので、ぜひ、合格に向けたモチベーションの上昇に役立ててください。

行政書士の勉強は時間の無駄になる?

 行政書士の資格を取得するには一般財団法人行政書士試験研究センターが年に1回実施する試験に合格する必要があります。「街の法律家」と呼ばれ、行政書士にしかできない独占業務を複数有しています。にも関わらず、時間の無駄と言われる理由は、主に以下の三つです。

  1. 試験の難易度が高い
  2. 試験内容が実務に直結しない
  3. 独立・開業が前提の資格である

 ここでは、それぞれの根拠を述べた上で、「行政書士の資格は決して無駄にはならない」ことを説明をします。

試験の難易度が高い

 行政書士の合格率は、例年、10%程度です。一般財団法人行政書士試験研究センターの令和2年行政書士試験実施結果によると、合格率は10.7%でした。

 他の国家資格と比較しても、高難度の資格であることに、間違いありません。

 さらに、税理士試験などと異なり、科目ごとの合格を翌年に持ち越す制度がないことも、難易度を上げる要因となっています。不合格の場合、翌年以降、改めてすべての科目を受験する必要があるのです。

 合格できなければ、得られるものがないため、勉強の時間が無駄だと意見が挙がるケースが見られます。

 ただし、多くの資格試験は同様の方式で実施されているため、行政書士試験だけが特段厳しいとは、一概に言えません。

試験内容が実務に直結しない

 司法書士や簿記、FP(ファイナンシャルプランナー)などの資格は、試験内容が実務に直結しています。資格を取得すると即戦力として、知識を実務に還元できる点が特徴です。

 対して行政書士は、試験の内容と実務に差異があります。

 試験では、行政法や民法などの法律知識が出題されますが、合格後、請け負う主な実務は、行政に提出する書類や、権利義務・事実関係に関する書類の作成などです。

 勉強で得た知識が実務と直結しておらず、取得後に、改めて実務経験を積むことが不可欠です。

 加えて、資格を取得したばかりでは、行政書士事務所に採用されにくい傾向があります。その結果、経験を積む場があまりない状況が生まれます。

 

 行政書士として経験を積む場が保障されているか、あるいは独立しなければ資格取得のメリットを得にくいため、時間の無駄と言われるのです。

独立、開業が前提の資格

 行政書士の求人数は少なく、基本的に独立・開業が前提の資格です。

 たとえば、就職活動のアピールポイントとして行政書士を取得しても、あまり役に立ちません。

 社員として安定した生活を送りたい、独立・開業を視野に入れない人は、取得した資格を活かせる機会が少ない傾向があります。

 仮に、新人でいきなり開業しても実践経験がないためうまくいかず、廃業するケースが多くあります。

 行政書士の資格を得てもすぐに収入は上がりません。まずは行政書士事務所の社員として経験を積むことが大切です。得意分野やスキルを身につけて独立すれば、成功する可能性が大きく上がります。

行政書士の合格に必要な勉強時間は?

 行政書士の資格は合格率が10%ほどと低く、合格のためには多くの勉強時間が必要です。

 実際にどれくらいの勉強時間が必要なのか。法律の初学者と学習経験者にわけて、合格に必要な勉強時間を紹介します。

 加えて、必要な勉強時間を確保するための、具体的な期間を説明しているので、ぜひ参考にしてください。

法律の初学者

 法律を勉強したことのない初学者の場合、最低でも800時間、場合によっては1,000時間以上が必要です。

 行政書士の試験では、法律に関係する専門知識が問われます。専門的な知識を多く要するため、長期間にわたって、粘り強く勉強を続けなければなりません。

 また、問題の難易度が高く、解答するための膨大な知識を得るためには根気が必須です。

 1日平均2時間を確保して最低400日間、2.5時間で最低約11カ月間、平均3時間で約9カ月間が必要です。

 社会人が毎日一定の勉強時間を確保するのは困難なため、1~2カ月程度の余裕を持ったスケジュールの設計をおすすめします。初学者であれば最低でも約1年間、勉強時間を見積もりましょう。

法律の学習経験者

 法律の学習経験のある人の場合は予備知識の量に伴って500~800時間と、かかる時間が変動します。

 また、行政書士事務所や弁護士事務所などでスタッフとして働いていれば、業務の中で得た知識を 活かすことができるので、勉強時間を減らせます。

 個人差はありますが、目安としては1日平均2時間を確保して約8カ月間、2.5時間で約7カ月間と考えてよいでしょう。

 このように初学者と比べると短い期間での取得が可能です。合格の確率を上げるために、苦手な分野の勉強に時間をあて、学習を進めましょう。

 やみくもに勉強せず、合格ラインに達することを目標に、各分野にかける時間を振り分けることで、より効率的に合格に近づくことができます。

 試験日から逆算して約1年前から勉強を始めるなど、余裕のあるスケジュールで取り組みましょう。

会社員が行政書士を目指すメリット

 試験内容が実務に直結しないため、独立・開業を目指す人以外に役に立ちにくい行政書士ですが、会社員が取得を目指すメリットは複数あります。

 たとえば、会社が倒産した・リストラされたなど、退職をする場面で、行政書士事務所や独立・開業という選択肢が生まれます。将来の不安を減らす、大きな安心材料です。

 

 ここでは、行政書士として働く予定のない会社員が資格取得を目指す、主なメリット三つを紹介します。

法律に関する知識を習得できる

 行政書士の資格取得を目指して勉強する中で、憲法・民法・行政法といった、生活に密接に関係する範囲の法律の知識を取得できます。

 司法書士や司法試験ほど難易度が高くなく、働きながら取得を目指せる資格です。企業の法務部や総務部に所属して、法律について学んでいる人には、特におすすめです。

 合格できるだけの知識があれば、遺言書・遺産分割・内容証明・車庫証明など、身近に起こりうる法律問題に対して、適切な対処ができます。

 行政書士の仕事に就いた場合は、問題を抱えて困っている人の手助けとして、社会に貢献することが可能です。

転職に活かせる

 行政書士の資格は、行政手続き・憲法・民法、行政法に関する法律の知識があることの証明です。

 合格率10%程度の高難度の資格を取得している成果は、関係のない職種でも評価の対象です。学習能力の高さと、努力する力を備えている人物だと認識されます。

 国家資格という肩書きは、転職の際、アドバンテージとして働く可能性があります。

 行政書士事務所や弁護士事務所、税理士事務所などへの転職や、大企業の法務部・総務部に法律担当の社員として応募する際、大きな強みとして自己アピールが可能です。

難関資格に挑戦する足掛かりとなる

 行政書士試験の出題範囲は、法律の土台の部分です。

 はじめに、民法や行政法の専門家である行政書士を取得し、その後、より難易度の高い、法律に関係する資格の取得を目指す受験者もいます。

 法律に関する資格を複数保有する人は少数なので、将来、独立・開業した場合、他者との差別化を図れます。

 ここからは、行政書士と関連性の高い、司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士について詳しく紹介します。

司法書士

 「権利や財産の番人」として活躍する司法書士は、国家資格の中で難易度の高い試験の一つです。合格には、3,000時間以上もの勉強時間が必要です。

 例年の合格率は4~5%ほどで、令和3年度の試験では5.14%でした。主な仕事内容は、法務局・裁判所・検察庁などに提出する書類の作成、登記の手続きです。

 業務の幅は広がりを見せ、簡易裁判所での訴訟業務・高齢者などの権利を守る成年後見人になる・債務整理や相続に関する業務など増加する傾向にあります。

 司法書士は行政書士と同様に、独立・開業するだけでなく、一般企業の法務部に就職することができるため、自身の望む働き方を選択しやすくなる資格だと言えます。

社会保険労務士

 社会保険や労働関連の法律の専門家として人気の社会保険労務士(社労士)も、難易度の高い国家資格です。

 合格には1,000時間を超える勉強時間が必要です。例年の合格率は6~7%、令和3年度の試験では7.9%でした。

 社労士の主な仕事内容は、三つに分類できます。

 一つ目は1号業務に分類される、健康保険や雇用保険、厚生年金などに関する書類を作成して、労働基準監督署などの行政官庁へ提出する手続き代行業務。

 二つ目は2号業務に分類される、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成業務です。

 1号業務と2号業務は、社労士のみが行える独占業務です。

 独占業務ではないものの、3号業務に分類される、人事労務の問題を解決に導くコンサルティング業務も、法律のプロである社労士が大いに活躍できます。

中小企業診断士

 中小企業に経営面の助言をする中小企業診断士も、難易度の高い国家資格です。

 資格取得には、1次試験と2次試験にともに合格する必要があります。1次試験の合格率は約15~40%、2次試験の合格率は20%前後です。

 令和3年度の合格率は、1次試験が36.4%、2次試験が18.3%でした。1次試験のみに合格した場合は、翌年以降、2次試験のみの合格を目指します。

 ただし、1次試験の合格が反映される有効期限は3年です。もし、期限を過ぎた場合は、あらためて1次試験から受験し直す必要があります。

 中小企業診断士の主な仕事内容は、経営コンサルティング、経営改善計画書と経営診断書の作成、専門的な知識の発信です。

 金融機関から融資を受ける際に欠かせない経営改善計画書や、「産業廃棄物許可申請」で必要な、経営診断書の作成は、中小企業診断士しかできない業務です。

行政書士試験の勉強前に取りたい資格

 はじめから行政書士の資格取得を目指すことは可能ですが、約1,000時間の勉強でモチベーションを維持するのは困難です。

 その際は、腕試しとして行政書士試験の前に法律に関係する資格を取得する方法があります。

 おすすめは、ビジネス実務法務検定・FP(ファイナンシャルプランナー)・宅地建物取引士の3種類の資格です。いずれも行政書士ほど難しくない、法律の資格です。

ビジネス実務法務検定

 ビジネス実務法務検定試験とは、東京商工会議所が主催する資格試験です。

 

 実践的かつ基礎的な法律知識の獲得を目指すもので、民法や商法、労働法など、さまざまな法律の知識が問われます。試験級は、1〜3級まであるため、学習進度によって級の選択が可能です。

 ビジネス実務法務検定の合格率は、3級は約60~70%、2級は約40%ほどです。ただし、令和2年度は3級が83.9%、2級は65.2%で、例年以上に高い傾向が見られました。

 1級に関しては、合格の難易度が跳ね上がります。令和2年度の合格率は、21.2%でした。

 1級の受験資格は、2級合格者のみに与えられるため、1級取得を目指す際は、まず2級の受験が必須です。

 ビジネス実務法務検定は基本的な法律の知識を学べるため、行政書士・司法書士などの取得を考えている人の腕試しに適しています。

FP ファイナンシャル・プランナー

 FP(ファイナンシャルプランナー)とは、税金・投資・住宅ローン・不動産・教育・老後・相続など、お金に関する幅広い知識を求められる資格です。

 FPの資格には2種類あります。一つは国家資格である「FP技能士」、もう一つは民間資格である「AFP、CFP」です。

 「FP技能士」には3~1級があり、日本FP(ファイナンシャル・プランナーズ)協会と、金融財政事情研究会(きんざい)の二つの団体が試験を実施しています。

 「AFP、CFP」は二つの段階で構成され、AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)は比較的簡単な内容で、CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)は上級資格です。

 FPはお金に関する豊富な知識を有しているため、金融業界や不動産業界をはじめとする、さまざまな業界で重宝されます。

宅地建物取引士

 宅地建物取引士は、不動産取引の専門家である国家資格です。一般的に「宅建」と呼ばれます。

 資格の取得には、試験合格後に受験をした都道府県知事に対して登録手続きをして、取引士証の交付を受けなければなりません。

 試験の合格率は例年15~17%で、令和3年度は15.6%でした。

 主な業務内容は、以下の三つで、いずれも宅地建物取引士にしかできない独占業務です。

  1. 不動産に関する契約前に行う重要事項の説明
  2. 説明内容を記載した重要事項説明書面(35条書面)への記名
  3. 契約内容を記載した書面(37条書面)への記名

 上記はいずれも、不動産業界に不可欠な業務です。

行政書士試験の最短合格を目指すなら

 行政書士試験に合格するためには、学習経験者で500時間以上、初学者は1,000時間もの勉強時間が必要です。

 限られた時間で合格の可能性を上げるには効率的な勉強が重要です。

 最近はスキマ時間で勉強ができる通信講座が注目を浴びています。法律に関する専門的な知識を身につける必要がある行政書士資格を、独学で合格するのはハードルが高いからです。

 通信講座であれば、蓄積されたノウハウを詰め込んだテキストや映像授業を用いて勉強することができ、効率よいインプットが目指せます。

 スマートフォンやタブレット端末で、場所を選ばず学習できる点も大きなメリットです。

 質問サービスが付属している講座が多く、疑問点があった場合はすぐに解決できます。

まとめ

 資格を取得しなければできない業務があるにも関わらず、行政書士資格の勉強が時間の無駄と言われる理由は、以下の二つが原因でした。

  • 難易度が高く、試験内容と実務が直結しない
  • 独立が前提となっている

 しかし、専門的な知識を身につけられ転職にも役立つため、取得するメリットは十分にあります。

 司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など、行政書士以上の難関資格を目指す前の腕試しとして取得に挑戦する選択肢もあります。

 行政書士の試験に合格するには500~1,000時間もの勉強時間が必要で、初学者が効率的な勉強を目指す際は、通信講座がおすすめです。

多くの会社が通信講座を開講しているため、各社を比較して自分に合った講座を選びましょう。

関連記事