渋谷だけじゃない? 東京近郊に続々誕生、個性際立つ「駅ビル」4選
都内近郊で近年、個性豊かな「駅ビル」が続々と誕生しています。その動向について、都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。鉄道地下化で変わる「下北沢」、演劇を見たあとに一杯も 渋谷駅の新たな「駅ビル」となる渋谷スクランブルスクエアが話題を集めるなか、都内近郊でも規模は小さいながら個性が光る新たな「駅ビル」たちが次々と生まれています。今回は、2019年11月から12月にかけて開業した4つの駅ビルを紹介します。 まず最初に紹介するのは、11月1日(金)に開業した小田急電鉄の商業施設「シモキタエキウエ」(世田谷区北沢)です。 下北沢駅上層部分にオープンした「シモキタエキウエ」(画像:都市商業研究所) シモキタエキウエは地下化された小田急小田原線の下北沢駅上層部分の改札内外に開業した商業施設で、施設のコンセプトは「UP!(シモキタアガル)」。毎日の暮らしの楽しさや利便性が「アガル」、訪れた人の気持ちが「アガル」施設をコンセプトに掲げています。 テナントとしては、改札内外に2店舗出店するコンビニエンスストア「セブンイレブン」、生活雑貨「SOCO thinking GORILLA」、時計「タイムランド」のほか、「スターバックスコーヒー」など飲食店を中心に16店舗が出店。 飲食店街には「立呑み天ぷら KIKU」や「タイ料理研究所」など個性的な店舗も軒を連ねており、多くは23時までの営業で、仕事帰りや下北沢でのライブや演劇を見たあとのちょっと一杯も楽しめそうです。 このほか、小田急電鉄は小田原線代々木上原駅・梅ヶ丘駅間の連続立体交差化・複々線化事業によって地下化された鉄道跡地を「下北線路街」として整備を進めており、数年後には下北沢駅前に温泉旅館なども誕生する予定となっています。 平凡な駅構内がオシャレ空間に平凡な駅構内がオシャレ空間に 次に紹介するのは、12月11日(水)に開業したばかりの西武鉄道グループの「Emio(エミオ)桜台」(練馬区桜台)です。 「エミオ桜台」の外観(画像:西武鉄道) エミオ桜台は西武池袋線桜台駅構内のリニューアルにより開業した商業施設で、改装コンセプトは「HIGURASHI」。「『ひびのくらし』をもっと心地よく。もっと笑顔に。ひと・まち・えきが有機的につながり、日々の暮らしが豊かになる縁側づくり」をコンセプトとした施設を目指すとしています。 テナントとしては、従来から駅構内に出店していたドラッグストア「Tomo’s」とハンバーガーチェーン「マクドナルド」、地元・練馬区の美容室「ぬばたま」に加え、ベーカリーカフェ「R Baker Inspired by court rosarian」や東京駅の立ちそばランキングで3つ星を受賞した「越後そば」、越後そばの姉妹店で御膳や日本酒も提供する和食レストラン「麺DINING凜や」など6店舗が出店します。 桜台駅構内には改装前まで、マックとガストの2店舗しか飲食店が出店していませんでしたが、今までなかった高級感のあるベーカリーカフェや和食レストランの登場でくつろぎやすい空間が生まれそうです。 終点でお馴染み「和光市」にホテル併設の大型駅ビル誕生終点でお馴染み「和光市」にホテル併設の大型駅ビル誕生 続いて紹介するのは、12月12日(木)に一部が開業する東武鉄道の商業施設「EQUiA PREMIE(エキア プレミエ)和光」(和光市)です。 12月12日に一部開業する「エキアプレミエ和光」の外観(画像:東武鉄道) エキアプレミエ和光は東京メトロ副都心線・東武東上線和光市駅の新たな駅ビルで、建物は地上7階建て。1階から3階が商業施設、4階から7階には東武グループのホテル「和光市東武ホテル」(158室)となります。 12月12日に開業するのはそのうちエキナカ部分で、この部分には「スターバックスコーヒー」「ファミリーマート」「新宿さぼてん」など6店が出店。 2020年春には上層階の商業ゾーンとホテルゾーンも開業し、グランドオープンを迎える予定となっています。上層階のテナントはまだ発表されていませんが、食品やファッション、雑貨など約20店舗が出店するということで期待がかかります。 和光市駅前にはこれまで目立った大型商業施設がなく、南口の大型店といえばスーパーマーケット「イトーヨーカドー」程度だったため、駅ビルの完成は地域全体に大きなインパクトを与えることとなるでしょう。 隠れた高級住宅街「ときわ台」にも駅ビルが 最後に紹介するのは、11月29日(金)に東武東上線ときわ台駅北口に開業した同じく東武鉄道の商業施設「EQUiA(エキア)ときわ台」(板橋区南常盤台)です。 「エキアときわ台」の外観(画像:東武鉄道) ときわ台は東上線沿線在住者以外にはあまり知られていない駅ですが、駅前には1935年(昭和10年)に東武鉄道により高級住宅街として分譲された「常盤台住宅地」があり、青瓦の三角屋根の古い駅舎も相まって戦前の住宅街の面影を残す落ち着いた街並みが特徴です。2004(平成16)年には東京都から「街並み景観重点地区」の指定も受けています。 エキアときわ台はこの古い三角屋根の駅舎を壊さずにロータリーに面した隣接地に建設されたもので、建物は5階建て。下層階は駅舎に合わせた青い帯が特徴で「成城石井」を核に飲食店「ビッグミート」「ポポラマーマ」など7店舗が出店しています。 ※ ※ ※ 現在、東京近郊ではこのほかにJR五反田駅や京急金沢八景駅などでも新たな商業ビルの建設が進められており、駅構内のリニューアルによる商業施設の新設は各地で行われています。 あまり大きくない駅でも久々に降りたら全く姿が変わっていた……ということも少ない東京。かつて今回紹介した駅を使っていたという人は、ぜひその「変貌ぶり」を味わいに出掛けてみてはどうでしょうか。
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