30年続くブームに変化? いまテイクアウトで食べたい「激辛グルメ」とは?
1980年代から始まった激辛ブーム。その歴史と最新トレンドについて、ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の有木真理さんが解説します。2021年注目の激辛グルメとは 激辛グルメは夏になると必ずといっていいほど注目を集めます。そのブームは1980年代に始まり、すでに約30年の歴史があります。 湖池屋(板橋区成増)のカラムーチョに代表されるスナック菓子からスタートした第1次激辛ブーム。それに続いて、第2次ブームは韓流(はんりゅう)ブームの影響もあり、韓国料理のほか、タイ料理などのアジア系激辛グルメが流行しました。 2000年代に入ると第3次ブームが到来し、辛さは最高潮に。スナック菓子をきっかけに世界一の辛さと言われる唐辛子・ハバネロが話題となり、外食では蒙古タンメン中本の北極ラーメンなど、辛さが苦手な人は食べられないほどの激辛料理が一世を風靡(ふうび)しました。 続いて第4次ブームは、 ・花椒(ホアジャオ) ・ゆずこしょう ・わさび ・黒こしょう など辛さのバラエティーが増し、その辛さは激化していきました。 その激しさもバラエティーも最高潮に達した昨今、今度はただ辛いだけでなく、本格的な辛さに注目が集まりました。例えば、素材にこだわった生スパイスや国産スパイスがそれです。 コロナ禍の激辛グルメブームの行方はコロナ禍の激辛グルメブームの行方は 新型コロナウイルスが感染拡大し。激辛ブームも再び姿を形を変えていきました。外出自粛が続くなか、2021年はいまだかつてないほどテイクアウトグルメに注目が集まりました。 そこで筆者(有木真理)が上席研究員を務めるホットペッパーグルメ外食総研(リクルート)では、コロナ禍の激辛グルメへの影響とテイクアウトニーズに関する調査を行いました。 激辛の象徴・唐辛子(画像:写真AC) まずコロナ禍の激辛グルメへの影響ですが、「コロナ禍とそれ以前を比較して、外食の自粛が続き刺激を求めるようになったか?」との問いに、辛い料理が好きな人のうち43.6%が「そう思う」と答え、辛い料理が嫌いな人の結果(31.7%)と10ポイント以上の差をつけました。 辛い料理が好きな人はそもそも、自粛などのストレスを感じるときに刺激を求める傾向があるのかもしれません。 続いて「コロナ禍とそれ以前を比較して、辛い料理を食べたいと思う頻度が増えたか?」との問いに、辛い料理が好きな人の22.2%が増えたと回答。辛い料理が好きな人の5人にひとりが、コロナ禍で辛い料理を食べたい頻度が上がったと答えました。 また、外出自粛でニーズの高まったテイクアウトでも辛いものが食べたいかとの問いに、辛い料理が好きな人の24.4%が食べたいと回答。辛い料理が好きな人は外食に限らず、テイクアウトでも辛いものを欲していることがわかりました。 辛い料理が好きな人にとって、コロナ禍で激辛グルメを楽しむこと自体がストレス発散につながっていることがうかがえます。 コロナ禍における激辛グルメブームの行方はいかに!? ホットペッパーグルメ外食総研では、テイクアウトで食べてみたい「激辛グルメ」について調査し、ランキングにしました。 テイクアウトで食べてみたい「激辛グルメ」ランキング(画像:リクルート) ランキング化は2018年、2019年と今回で3度目。過去の調査と異なり、今回はテイクアウトに特化しました。 その結果、前回と前々回でそれぞれ1位だった「カレー」「麻婆豆腐」が上位を占めることに。この結果から、コロナ禍でも消費者の本質的な嗜好は大きく変わらないことがわかりました。 2021年夏の激辛グルメはよりパワーアップ2021年夏の激辛グルメはよりパワーアップ コロナ禍では、テイクアウトに比較的適さなかったメニューが楽しめるようになりました。スパイスカレーのテイクアウトもそのひとつで、スパイスカレーはその味はもちろんのこと、鮮やかな盛り付けも特徴のひとつです。 Curry & Spice HANAKO(目黒区祐天寺)では、カレーだけでなく「スパイシー半熟ゆで玉子」「ココナッツの揚げバナナ」「2種豆のマスタードピクルス」など、スパイスカレーにぴったりのトッピングも併せてテイクアウトできるため、テイクアウトしたスパイスカレーを自宅に持ち帰り、自分なりに盛り付けて楽しめます。そんなことも、コロナ禍における食の楽しみ方のひとつです。 テイクアウトならではの顔ぶれは、3位にランクインした「スパイシー味の鶏のから揚げ」です。鶏のから揚げはもともとテイクアウトの人気メニューでしたが、コロナ禍でその人気はさらに増加。激辛グルメでもこの食トレンドが反映されていることがわかります。 なかでも注目を集めているのは、以前から青山で人気の老舗中華・シャンウェイ(渋谷区神宮前、現在は一時閉店中)の激辛から揚げ「毛沢東プレッシャーチキン」です。 2013年頃のシャンウェイ青山本店(画像:(C)Google) こちらは唐辛子や干しエビ、揚げネギなどをブレンドし、ただ辛いだけではなく深いうまみを味わえる一品として知られています。そんな同店は激辛から揚げの専門店・シャンウェイ フライドマスター店(同)も青山にオープンしています。 前述の2店舗は以前から人気のレストランだったこともあり、その店の味が自宅で味わえることには大きな価値があります。長引く外出自粛で、消費者が「あのお店」でしか食べられないものを欲していることもうかがえます。 2021年夏の激辛グルメは、以前よりもパワーアップしたテイクアウトを活用しながら楽しめそうです。
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