スープストックトーキョーが、1年に1日だけ「カレー専門店」になる理由
「スープストックトーキョー」から、1年に1回だけ「スープが消える日」 東京を中心に60店舗以上を展開するスープ専門の外食チェーン「スープストックトーキョー」(目黒区中目黒)。2019年6月21日(金)、その全店舗から「スープ」が姿を消します。代わりに登場するのは8種類の「カレー」。その名も「カレーストックトーキョー」は、年に1度開催される人気イベントで、SNS上には「絶対行く」「待ち遠しい」などの声が上がっています。 「カレーストックトーキョー」開催時の店舗の様子(画像:スープストックトーキョー) 複数のカレーを同時に楽しめるメニューが豊富なのも特筆すべき点で、4回目を数える今回は、4種類のカレーを同時に楽しめるという「カレーとカレーとカレーとカレーのセット」(税抜1406円)が新登場。2018年の開催時に「2種がけカレー」や「カレーとカレーとカレーのセット」(カレー3種類のセット)が好評だったことを受け、企画されたといいます。 カレーのセットメニューに対し、「初めは、果たしてニーズはあるのだろうかとも考えていたんです」と話すのは、スープストックトーキョーの広報担当者。ですが、蓋を開けてみれば大好評で、「朝、昼、晩と3食食べに来て、6種類を制覇したというお客様もいました。色々な種類を試してみたいという声が寄せられています」と話します。 スープ専門店がカレーを扱い始めたきっかけは「夏」 ところで、そもそもなぜスープの専門店が、カレーを扱い始めたのでしょうか。1999(平成11)年に営業をスタートした同店にカレー登場したのは、約10年前に遡るといいます。 「夏場の食欲が湧きにくい時期に、暖かいスープではないものを提供しようと考えたことに始まります。冷たいスープ、カレー、その双方を組み合わせたものを出すのはどうだろうという話が出て、そこから一気に話が進み、カレーの販売が始まりました」(広報担当者) 実は、スープとカレーとは調理工程がほぼ同じ。「スープの最終形態に、スパイスを加えたものがカレーともいえます。両者は地続きのようなものです」と話します。そんな同店のカレーは2019年現在約20種類を数え、イベントの日以外でも1~2種類ずつ(店によって異なる)メニューに登場しています。 「個性があるが、クセがないカレー」「個性があるが、クセがないカレー」 同社のカレー開発を中心に行うのは、フードプランナーの桑折(こおり)敦子さん。世界中を飛び回りながら、アイデアを紡ぎ出す桑折さんの発想の起点はさまざまといいます。 「カレーストックトーキョー」で注文可能な「2種がけカレー」(画像:スープストックトーキョー) たとえば、「無花果(いちじく)チャツネのキーマカレー」は、無花果の生産者の「熟すのがはやくて困っている」という声を起点に、その熟度の高さを生かすかたちで誕生したとのこと。カシューナッツをココナッツミルクで煮込んだ「カシューナッツのホッダ(スリランカ風ココナッツカレー)」は、スリランカを旅するなかで出会った「現地の味」をなるべく忠実に再現したカレーだといいます。 また、隠し味に「梅干し」を加えた「サンバール(豆と野菜のスパイスカレー)」もあります。これは、タイやインドで使われている、酸味のある食材タマリンドを梅干しに置き換えたもの。「日常的な食材に置き換えたら、もっとおいしいかもしれない」という閃きをもとに作られたといいます。 そんな同社のカレーすべてに通じるポイントに、「個性がありながらも、クセがなく、辛すぎず食べやすいこと」が挙げられます。 「カレーの世界は、本当に多様です。いわゆる、ルーを使って作られるような家庭のカレーもあれば、スパイスを焙煎して作られるようなものもあり、国や地域ごとにも全く異なります。私たちの提供するカレーが、奥深く幅広いカレーの世界を楽しむための入口になれたらとも考えています」(広報担当者) 当日、おすすめの過ごし方は?当日、おすすめの過ごし方は? 最後に、カレーストックトーキョー当日のおすすめの過ごし方を聞きました。 「混雑が予想されるため、ランチに利用するのであれば、12時よりも早めに到着しておくと良いかもしれません。全店で利用可能な『テイクアウト』もおすすめです。例えば、4種類のカレーセットを2セット購入すると、8種類すべてのカレーを制覇できるので、自宅で食べ比べをしたり、オフィスに持ち帰って皆で食べたりするのも良いのではないかと思います」(広報担当者) 「黄色い何か」のイメージ(画像:スープストックトーキョー) 来店時、「黄色い何か」を持っていくと、「少しだけ良いこと」もあるとのこと。身近にある文房具や小物、ハンカチや洋服など、ワンポイントでも構わないそうです。 年に1度のスペシャルな日。すごくカレー好きな人も、ちょっとカレー好きな人も、お祭りのようなこの瞬間をぜひ楽しんでみては。
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